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相続した家の手続き

土地と建物で名義が違う実家は、どう売りますか

土地と建物の名義が違う実家は、両方の名義人が売主に加われば売れます。名義人が亡くなっている場合は、亡くなった順に相続登記をしてから売ります。土地が他人の名義の場合は、借地なら地主の承諾が要り、無償で借りている使用貸借なら土地の所有者と一緒に売る形になります。家屋だけ、または敷地だけを相続した人は、空き家の3,000万円特別控除の対象に含まれません。名義の組み合わせごとの進め方と、整える順番を書きます(2026年10月時点)。

更新日
2026年10月7日
障子と畳の、誰もいない和室

期限の一覧

期限 手続き
3か月 相続の開始を知った日から 相続放棄 借金のほうが多い場合の手続きです。家財を処分すると、放棄できなくなる場合があります。
10か月 相続の開始を知った日の翌日から 相続税の申告と納付 遺産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合だけ必要です。
3年 相続で取得したと知った日から 相続登記の申請 2024年4月1日から義務です。それより前に起きた相続は、2027年3月31日が期限です。
3年目の12月31日 相続が始まった日から 3,000万円の特別控除を使った売却 正確には「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日」までです。
3年10か月 相続が始まった日から 取得費加算の特例を使った売却 相続税の申告期限の翌日から3年以内です。特別控除とは、どちらか一方を選びます。
2027年12月31日 制度そのものの期限 空き家の特別控除の適用期限 自分の3年の期限より、制度の期限が先に来る場合があります。早いほうが締め切りです。
翌年3月15日 売った年の 譲渡所得の確定申告 控除で税額が0円になる場合も申告が必要です。申告しないと、控除は適用されません。

期限は、物件や相続の事情で変わります。自分の場合の期限は、司法書士か税理士に確かめてください。

「実家の登記を取ったら、土地は祖父、建物は父の名義だった。このままで売れるのか」土地と建物の名義が別々になっている実家を、これから売る人に向けて書いています。

結論

土地と建物の名義が違っていても、実家は売れます。売買契約には、土地の名義人と建物の名義人の両方が売主として加わります。名義人が亡くなっている場合は、先に相続登記をします。亡くなった順に、土地と建物を別々に申請します。土地が他人の名義の場合は、借地か使用貸借かで進め方が変わります。借地は地主の承諾が要り、使用貸借は土地の所有者と一緒に売る形になります。

この記事で分かること

  • 名義の組み合わせごとの、売主になる人と先にする手続き
  • どちらの名義を先に整えるかの順番
  • 借地と使用貸借の違いと、空き家の3,000万円特別控除への影響

こんな場合は診断へ

  • 固定資産税の通知は1通なのに、登記は土地と建物で名義が違っていた
  • 土地が祖父や親族の名義のままで、誰に話せばよいか分からない
  • 名義を直す費用をかける前に、いくらで売れる家かを知りたい

一つでも当てはまる場合は、空き家の診断で買取価格の目安を出せます。名義を直す前でも診断は受けられます。診断で「名義を直せば売れる家」と出た人は、この記事の順に進めてください。

名義が違うと、なぜそのままでは売れないのですか

土地と建物は、登記の上では別々の不動産です。登記事項証明書も、土地と建物で1通ずつ取ります。手数料は窓口の請求で1通600円です(法務局、2025年4月1日〜)。

買主は、土地と建物の両方の名義を自分に移せることを条件に代金を払います。片方の名義人が売主に加わらないと、買主は家全体を取得できません。土地の名義人と建物の名義人が、そろって売主になる必要があります。

名義人が亡くなっている場合は、その人から買主へ直接名義を移せません。先に相続人へ相続登記をします(東京法務局 相続登記ガイドブック Q29)。相続登記は2024年4月1日から義務になりました。取得を知った日から3年以内に申請しないと、10万円以下の過料の対象です(法務省)。2024年4月1日より前に相続した不動産は、2027年3月31日が期限です。

ポイント

固定資産税の納税通知書の宛名は、登記の名義と同じとは限りません。名義は登記事項証明書で確かめます。土地の証明書と建物の証明書を並べて、所有者の欄を見比べてください。

名義の組み合わせ別の進め方

名義の組み合わせを6つに分けて、売主になる人と先にすることを並べます。

土地の名義 建物の名義 売主になる人 先にすること
亡くなった父 亡くなった母 父の土地と母の建物を相続した人 父と母それぞれの相続登記
亡くなった祖父 亡くなった父 祖父から続く相続人 祖父の代からの相続登記
存命の親 亡くなった親 存命の親と、建物を相続した人 建物の相続登記
亡くなった親 自分 土地を相続した人と自分 土地の相続登記
地主(他人) 亡くなった親 建物を相続した人 建物の相続登記と地主の承諾
親族(おじなど) 亡くなった親 親族と、建物を相続した人 建物の相続登記と親族との話し合い

父の土地と母の建物

両親とも亡くなっている場合は、父の相続と母の相続の2つがあります。相続人が同じ顔ぶれでも、遺産分割協議は父の分と母の分で行います。協議書の書き方は遺産分割協議書が要る場合にあります。

土地と建物を同じ人が相続すると、売主は1人になります。別々の人が相続すると、売買契約には2人が売主として加わります。代金も、土地の分と建物の分に分けます。

祖父の名義のままの土地

祖父が亡くなり、相続登記をしないうちに父も亡くなった状態です。祖父の相続人全員と、父の相続人全員が関係します。おじやおばが亡くなっていれば、いとこも相続人に入ります。

祖父から最終の相続人へ直接の登記を申請できるのは、祖父の相続が単独相続だった場合に限られます。遺産分割や相続放棄の結果として父が1人で相続した場合も、単独相続に含まれます(同 Q28)。祖父の相続で複数の人が権利を取得している場合は、1件の申請では登記できません。

存命の親の名義が混ざっている場合

母が存命で土地が母の名義なら、土地は相続の対象になりません。母本人が売主になります。母の判断能力が落ちている場合は、親が認知症の場合の手続きが先になります。

建物が自分の名義で、土地が親の名義

親の土地に子が家を建てた形です。地代も権利金も払わない土地の貸し借りは、使用貸借にあたります(国税庁 No.4552)。親が亡くなったら、土地の相続登記をしてから売ります。兄弟がいる場合、土地は遺産分割の対象です。

どちらの名義を先に整えますか

整える順番は次のとおりです。

  1. 土地と建物の登記事項証明書を、それぞれ取ります。建物が登記されていない場合は未登記の建物がある実家の手続きが加わります。
  2. 亡くなっている名義人を、亡くなった順に並べます。
  3. 先に亡くなった人の相続から、遺産分割協議と相続登記を進めます。
  4. 存命の名義人には、売主に加わってもらう了解を取ります。
  5. 土地が他人の名義なら、相続登記と並行して土地の所有者に連絡します。

査定は、名義が整う前でも受けられます。名義を直す費用をかける前に、売れる金額の見当を付けておきます。

相続登記の登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%です(国税庁 No.7191)。土地の評価額が900万円なら36,000円、建物の評価額が120万円なら4,800円です。司法書士に頼む場合の報酬は相続登記の費用にまとめてあります。

ポイント

土地の相続登記には、2つの免税があります(法務局)。1つは、相続登記をしないまま亡くなった人を名義人にするための登記です。祖父から父への登記がこれにあたります。もう1つは、価額が100万円以下の土地の相続登記です。期限はどちらも2027年3月31日です。法務局の案内は土地だけを対象にしていて、建物は入っていません。申請書に根拠の条文を書かないと、免税は受けられません。

土地が他人の名義の場合

土地の名義が地主や親族の場合は、建物を建てて使う権利が何かを先に確かめます。地代を払っていれば借地、無償なら使用貸借です。

比べる点 借地(地代を払っている) 使用貸借(無償)
根拠 借地借家法 民法593条
第三者への主張 登記した建物があれば主張できる(借地借家法10条) 借地借家法の対象外
借主が亡くなったとき 借地権は相続財産になる 借主の死亡で終了する(民法597条3項)
相続税の評価 自用地の価額に借地権割合を掛ける(国税庁 No.4611) 使う権利の価額はゼロ(国税庁 No.4552)
売り方 地主の承諾を得て、建物と借地権を売る 土地の所有者と一緒に売る

借地の上の建物

借地権は、建物の所有を目的とする地上権か土地の賃借権です。借地権割合は路線価図に記号で載っています。Aが90%、Gが30%で、10%刻みの7段階です(国税庁)。

建物を第三者に売ると、借地権も買主に移ります。土地の賃借権を譲渡するには、地主の承諾が要ります(民法612条)。承諾なしに第三者に使わせると、地主は契約を解除できます。

地主が承諾しない場合は、裁判所に申し立てて、承諾に代わる許可を受ける手続きがあります(借地借家法19条1項)。借地非訟と呼ばれる手続きです。地主には、建物と借地権を自分で優先して買い取ると申し立てる権利があります。東京地方裁判所の案内では、郵便切手は相手方1名で6,000円分です。申立手数料は、土地の固定資産評価額をもとに計算します。

注意

民法612条が承諾を求めているのは、賃借権の譲渡と転貸です。相続で建物と借地権を引き継ぐ場合の承諾は、同条に書かれていません。相続したら、建物の相続登記をして、地主に書面で知らせます。地代の支払いは止めないでください。契約書に相続のときの定めがあるかも確かめます。

売り先は3つあります。地主に買い取ってもらう方法、地主と一緒に土地ごと第三者へ売る方法、地主の承諾を得て借地権付きの建物として売る方法です。地主と一緒に売る場合は、代金を土地の分と借地権の分に分ける割合を、契約の前に決めます。

3つの売り方の比較と、更地にして返す場合の解体費は借地に建つ実家は売れますかに書いています。

親族の土地を無償で使っている場合

おじの土地に親が家を建て、地代を払っていなかった形です。使用貸借は、借主が亡くなると終了します(民法597条3項)。建物を相続しても、土地を使い続ける権利まで引き継げるとは限りません。

建物だけを第三者に売ることは難しくなります。買主が土地を使える保証がないためです。土地の所有者と一緒に売るか、土地の所有者に建物を引き取ってもらう方向で話し合います。

空き家の3,000万円特別控除は使えますか

親が1人で住んでいた家を相続して売ると、譲渡所得から最大3,000万円を引ける特例があります。対象は、相続か遺贈で「被相続人居住用家屋および被相続人居住用家屋の敷地等を取得した相続人」です(国税庁 No.3306、令和8年4月1日現在)。

国税庁の通達は、家屋だけ、または敷地だけを取得した相続人は含まれないとしています。土地と建物の名義が違う家では、この点で特例から外れることがあります。

  • 土地が存命の母の名義で、建物が亡くなった父の名義の場合。子が父から相続するのは建物だけです
  • 建物が自分の名義で、土地が亡くなった親の名義の場合。親から相続するのは土地だけです
  • 土地が先に亡くなった父の名義のままで、建物が母の名義の場合。父の土地を誰が相続した形にするかで、母から取得する財産が変わります

3つ目の場合は、遺産分割協議書の書き方が特例の判定に関わります。特例を使う予定があるなら、協議書に署名する前に税理士か税務署に確かめてください。要件は空き家の3,000万円特別控除にあります。

解体の補助金は誰が申請できますか

建物を解体して土地を売る場合、補助金の申請者は建物の所有者か相続人とする市が多数です。土地の所有者が別にいる家では、市によって扱いが分かれます。掲載している市の要件から、名義に関わる部分を抜き出しました(2026年10月時点)。

市 申請できる人・条件
町田市 土地の所有者が別にいる場合は、所有者全員の同意書が必要
鹿児島市 所有者か相続人のほか、所有者の同意を得た敷地の所有者も申請できる
呉市 建物所有者の同意を得た土地の所有者も申請できる
山口市 空き家の所有者、その土地の所有者、相続人。土地の所有者が別にいるときは同意が必要
尼崎市 借地の上にある長屋の空き家と、道路に接していない敷地の空き家が対象
豊田市 所有者のほか、誓約書を出した相続人も申請できる

相続登記が済んでいない家でも、相続人として申請できる市があります。申請の順番は解体補助金の申請にまとめてあります。

まずやること

  1. 法務局で、土地と建物の登記事項証明書を1通ずつ取る
  2. 名義人ごとに、存命か、亡くなっているか、亡くなった日を書き出す
  3. 土地が他人の名義なら、地代の領収書や契約書を探し、借地か使用貸借かを確かめる
  4. 不動産会社か買取業者に査定を頼み、名義の状況を伝える
  5. 亡くなった順に遺産分割協議と相続登記を進める。司法書士に頼む場合は、土地と建物の証明書を両方見せる
  6. 特例を使う予定があれば、協議書に署名する前に税理士に確かめる

まとめ

  • 土地と建物の名義が違う家は、両方の名義人が売主に加わって売る
  • 亡くなった名義人の分は、亡くなった順に相続登記をする。土地には2027年3月31日までの免税がある
  • 借地は地主の承諾が要る。承諾が得られないときは、裁判所の許可を受ける手続きがある
  • 無償で借りている土地は、土地の所有者と一緒に売る方向で話し合う
  • 家屋だけ、敷地だけを相続した人は、空き家の3,000万円特別控除の対象に含まれない

よくある質問

Q. 土地と建物を、別々の相続人が相続してもよいですか
できます。その場合、売買契約には土地を相続した人と建物を相続した人の2人が売主として加わります。代金は土地の分と建物の分に分け、譲渡所得もそれぞれが申告します。国税庁の通達は、家屋だけ、または敷地だけを取得した相続人は空き家の3,000万円特別控除の対象に含まれないとしています。特例を使う予定がある場合は、分け方を決める前に税理士に確かめてください。
Q. 祖父の名義のままの土地は、相続人が多くても売れますか
相続人全員で遺産分割協議をして、相続登記をすれば売れます。祖父の相続が単独相続だった場合に限り、祖父から最終の相続人へ直接の登記を申請できます(東京法務局 相続登記ガイドブック Q28)。相続登記をしないまま亡くなった人を名義人にするための土地の登記は、2027年3月31日まで登録免許税が免税です(法務局)。
Q. 借地の上の建物を相続しました。地主の承諾は要りますか
民法612条が地主の承諾を求めているのは、賃借権の譲渡と転貸です。相続で引き継ぐ場合の承諾は、同条に書かれていません。建物を第三者に売るときは、地主の承諾が要ります。承諾が得られない場合は、裁判所に承諾に代わる許可を申し立てる手続きがあります(借地借家法19条1項)。
Q. 売る前に、建物だけ先に解体してもよいですか
解体できるのは建物の所有者です。名義人が亡くなっている場合は、相続人全員の同意を取ってから進めます。借地の場合は、解体の前に地主と話し合ってください。借地権を第三者に主張する根拠は、借地の上に登記した建物があることです(借地借家法10条)。補助金を使う場合は、契約や着工の前に申請します。

壊す前に、査定を取る

建物を残したまま買い取る業者もあります。査定は無料で、金額を見てから断れます。 市ごとの補助金は、市区町村のページに載せています。

建物を残したまま、無料で査定を頼む

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お住まいの市の条件で計算する

建物を残して売った場合の手取りと、解体した場合の自己負担を、市の地価と補助制度から計算します。 所要時間は1分です。名前や連絡先の入力はありません。

お住まいの地域の条件で診断する

出典

  1. 法務局|主な登記手数料 令和7年4月1日〜(登記事項証明書 書面請求600円)
  2. 東京法務局|相続登記ガイドブック Q&A編(Q28 中間の相続が単独相続の場合の直接の登記、Q29 被相続人から買主への直接の移転登記はできない)
  3. 東京法務局|相続登記ガイドブック 相続登記未了の間に相続人が死亡した場合による相続(共同相続人数名が権利を取得している場合は1件の申請では登記できない)
  4. 法務省|相続登記の申請義務化について(3年以内の申請、10万円以下の過料、令和9年3月31日までの猶予)
  5. 法務局|相続登記の登録免許税の免税措置について(相続登記をしないで死亡した場合、価額100万円以下の土地。令和9年3月31日まで)
  6. 国税庁|No.7191 登録免許税の税額表(相続による所有権移転 1,000分の4)
  7. 国税庁|No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(令和8年4月1日現在。家屋および敷地等を取得した相続人が対象)
  8. 国税庁|租税特別措置法通達 第35条関係(家屋のみ又は敷地等のみを取得した相続人は含まれない)
  9. 国税庁|No.4552 親の土地に子供が家を建てたとき(令和8年4月1日現在。使用貸借、使用する権利の価額はゼロ)
  10. 国税庁|No.4611 借地権の評価(令和8年4月1日現在。自用地としての価額に借地権割合を乗じる)
  11. 国税庁|路線価図の説明(借地権割合の記号 A:90%〜G:30%)
  12. e-Gov法令検索|民法(第593条、第597条第3項、第612条)
  13. e-Gov法令検索|借地借家法(第10条、第19条)
  14. 東京地方裁判所|借地非訟とは(土地の賃借権譲渡又は転貸の許可申立、土地所有者の介入権)
  15. 東京地方裁判所|借地非訟事件の費用(申立手数料の算定、郵便切手 相手方1名で6,000円)

記事の内容は、2026年10月7日時点の各出典にもとづいています。

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この記事の情報について

一般的な情報としてまとめたものです。控除が使えるかどうかや税額は、物件と世帯の事情で変わります。 最終的な判断は、税理士や司法書士、または管轄の税務署と法務局に確かめてから決めてください。