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空き家の3,000万円特別控除は、どんな家なら使えますか

昭和56年5月31日以前に建てられた一戸建てで、亡くなった親が一人で住んでいた家が対象です。売却代金1億円以下、相続開始から3年を経過する年の年末までの売却が条件です。制度の期限は2027年12月31日です。

更新日
2026年11月4日
空き家の3,000万円特別控除は、どんな家なら使えますか

期限の一覧

期限 手続き
3か月 相続の開始を知った日から 相続放棄 借金のほうが多い場合の手続きです。家財を処分すると、放棄できなくなる場合があります。
10か月 相続の開始を知った日の翌日から 相続税の申告と納付 遺産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合だけ必要です。
3年 相続で取得したと知った日から 相続登記の申請 2024年4月1日から義務です。それより前に起きた相続は、2027年3月31日が期限です。
3年目の12月31日 相続が始まった日から 3,000万円の特別控除を使った売却 正確には「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日」までです。
3年10か月 相続が始まった日から 取得費加算の特例を使った売却 相続税の申告期限の翌日から3年以内です。特別控除とは、どちらか一方を選びます。
2027年12月31日 制度そのものの期限 空き家の特別控除の適用期限 自分の3年の期限より、制度の期限が先に来る場合があります。早いほうが締め切りです。
翌年3月15日 売った年の 譲渡所得の確定申告 控除で税額が0円になる場合も申告が必要です。申告しないと、控除は適用されません。

期限は、物件や相続の事情で変わります。自分の場合の期限は、司法書士か税理士に確かめてください。

昭和56年5月31日以前に建てた一戸建てで、亡くなった親が一人で住んでいた家が対象です。売却代金が1億円以下で、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ります。制度の期限は2027年12月31日です(国税庁 No.3306、2026年9月時点)。

こんな場合は診断へ

  • 実家の建築年が昭和56年より前かどうか、はっきりしない
  • 親が最後は老人ホームにいたので、対象になるか分からない
  • 兄弟3人で相続したため、控除額がいくらになるか知りたい

一つでも当てはまる場合は、空き家の診断で建築時期と名義の状態から、使える見込みを確認できます。

家の鍵と、押印された書類のイメージ

3,000万円特別控除とは

正式には「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」です。相続した空き家を売って出た利益(譲渡所得)から、最大3,000万円を差し引けます。

譲渡所得には所得税と住民税がかかります。所有期間5年超の長期譲渡なら、税率は合計20.315%です(国税庁 No.3208)。控除が使えると、税額が最大で約609万円変わります。

家の条件

家そのものについて、次の4つを満たす必要があります。

  • 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
  • マンションなどの区分所有建物でないこと
  • 相続の直前まで、被相続人が一人で住んでいたこと
  • 相続してから売るまで、貸したり住んだりしていないこと

建築年は登記事項証明書の「原因及びその日付」欄で確認できます。新築年月日が昭和56年5月31日以前なら対象です。

対象にならない例

次のような家は対象になりません。

  • 親と子が同居していた家(一人暮らしの要件を満たさない)
  • 相続後に親族が住んだ家、または人に貸した家
  • 分譲マンションなどの区分所有建物
  • 昭和56年6月1日以降に建てた家
  • 店舗や事務所として使っていた建物

母が亡くなる前に父が先に亡くなり、その後は母が一人で住んでいた場合は対象です。判定は「相続の直前」の状態で行います。

老人ホームに入っていた場合

要介護認定を受けて老人ホームなどに入所し、家が空いていた場合も対象になります。入所後に家を貸していないことなど、一定の要件があります(国税庁 No.3306)。

売り方の条件

売却代金は1億円以下です。共有で相続した場合は、相続人全員の売却代金を合計して判定します。

以前は、売主が耐震改修するか取り壊してから売る必要がありました。2024年1月1日以後の売却からは、買主が引き渡し後に工事する場合も対象です。期限は譲渡した年の翌年2月15日までです。

これにより、古い家を建物付きのまま売っても控除を使えます。解体費を自分で払う必要がなくなりました。

自分で取り壊してから売る場合

取り壊してから敷地だけを売る方法も、引き続き対象です。取り壊しから売却までの間に、駐車場などとして貸していないことが条件です。

解体費は木造で平均約192万円です(2025年1〜5月、日本経済新聞)。買主が工事する方法なら、この費用を先に出す必要がありません。

解体の補助金と控除を両方使えますか

市の解体補助金の中には、この控除を使う人を対象外にする制度があります。埼玉県狭山市の空家等除却補助金は、「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除に該当しないことが明らかであること」を要件にしています(2026年10月時点)。狭山市の補助金は解体費の2分の1、上限50万円です。

控除で減る税額は、譲渡所得が846万円なら約172万円です(この記事の高松市の計算例)。補助金の上限50万円より大きくなります。両方は使えない市では、控除を優先してください。

補助金を受け取った場合の税金の扱いは解体の補助金に税金はかかりますかに書いています。お住まいの市の補助金の条件は狭山市のページのように、市ごとのページで確認できます。

2026年11月4日に加えた市。解体の補助と売る時期が関わる市

解体の補助金には、売る時期に関わる条件を付けている市があります。控除の期限と並べて確認してください。

市 補助(2026年11月時点) 売る時期に関わる条件
西条市 5分の4・上限80万円 除却後1年間は土地の売却や貸与ができない
筑紫野市 60%・上限60万円 相続で取得した空き家は取得から3年以内の解体に限る
桐生市 2分の1・上限30万円 完了報告の期限が2026年12月末
多治見市 3分の1・上限20万円 実績報告は完了から60日以内か3月15日の早い方

西条市の補助は、除却後1年間、土地の売却や貸与を認めていません。守らないと補助金の返還を求められます。2026年度の受付は9月30日で終わっています(西条市老朽危険空家除却事業補助金交付要綱)。

控除は、相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売る必要があります。解体から売却まで1年空くと、この期限に届かない場合があります。相続から日がたっている家は、建物付きで売る方法も比べてください。

筑紫野市の補助は空き家専用ではなく、古い木造住宅の耐震対策の制度です。相続や遺贈で取得した空き家の解体は、取得から3年以内に限り対象です。受付は2026年11月30日までです。

桐生市の上限30万円の区分は、昭和56年5月31日以前に建った家が対象です。多治見市は、同じ日以前に着工した家が対象です。控除の家の条件と同じ日付です。桐生市は完了報告の期限が2026年12月末のため、年内に工事を終える必要があります。

注意

解体の補助を申し込む前に、売る予定の時期を市の担当課に伝えてください。西条市のように、除却後の売却を一定期間認めない市があります。

期限は2つあります

一つは、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日です。2024年6月に相続が始まったなら、2027年12月31日が期限です。

もう一つは制度自体の期限です。2027年12月31日までの売却が対象です(2026年9月時点)。どちらか早いほうが締め切りになります。

相続人が3人以上の場合

2024年1月1日以後の売却では、相続人が3人以上いると控除額が一人2,000万円に下がります。2人までは一人3,000万円です。

兄弟3人で3等分して売った場合、一人の譲渡所得から引けるのは2,000万円です。3人合計では6,000万円になります。

相続人の人数は、実際に家を取得した人の数で数えます。遺産分割で兄一人が取得し、兄が売った場合は3,000万円です。

取得費加算の特例との関係

相続税を納めた人には、納めた相続税の一部を取得費に加える特例があります(国税庁 No.3267)。期限は相続税の申告期限の翌日から3年以内です。

この特例と3,000万円控除は併用できません。どちらか一方を選びます。相続税がかからなかった家なら、選ぶ余地なく3,000万円控除です。

計算例

いずれも取得費が不明で、売却代金の5%を取得費とした場合です(国税庁 No.3258)。仲介手数料は売却代金の3%+6万円に消費税10%を加えた額です。数字は2026年9月時点の目安です。

高松市、土地150㎡を930万円で売却

地価6.2万円/㎡の土地です。取得費は46.5万円、仲介手数料は約37万円です。

譲渡所得は約846万円です。控除を使えば課税所得は0円、税額も0円です。控除がなければ税額は約172万円です。

千葉市、土地150㎡を1,800万円で売却

地価12万円/㎡の土地です。取得費は90万円、仲介手数料は約66万円です。

譲渡所得は約1,644万円です。控除を使えば税額は0円です。控除がなければ約334万円かかります。

豊中市、土地150㎡を3,225万円で売却

地価21.5万円/㎡の土地です。取得費は約161万円、仲介手数料は約113万円です。

譲渡所得は約2,951万円です。相続人2人までなら控除で税額は0円です。相続人3人で一人あたり約984万円の譲渡所得なら、2,000万円の控除内に収まります。

確定申告で必要な書類

控除は自動では適用されません。売った翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をします。

主な添付書類は次のとおりです。

  • 譲渡所得の内訳書
  • 登記事項証明書
  • 被相続人居住用家屋等確認書(市区町村が発行)
  • 耐震基準適合証明書、または取り壊しを証明する書類
  • 売買契約書の写し

被相続人居住用家屋等確認書は、家がある市区町村の窓口に申請します。発行まで日数がかかるため、申告期限の前月までに申請してください。

まずやること

  1. 登記事項証明書で建築年月日と所有者の名義を確認する
  2. 相続開始日から「3年を経過する年の12月31日」を計算する
  3. 相続人の人数を確認する。3人以上なら控除額は一人2,000万円
  4. 相続登記を済ませ、査定を取る
  5. 売却した翌年に確定申告をする。確認書は前もって市区町村に申請する

相談先

  • 税務署の電話相談センター。特例の要件を確認できます
  • 税理士会の無料相談。譲渡所得の計算を依頼できます
  • 被相続人居住用家屋等確認書は、家がある市区町村の空き家担当課
  • 建築時期と名義から使える見込みを見たい場合は、このサイトの空き家の診断

税務署の電話相談の番号と予約の要否は空き家の相談は、どこにすればいいですかに載せています。昭和56年5月31日より前に建った家は、診断で税金の特例が効く家と出る場合があります。売ったときの税額の計算は実家を売ったときの税金はいくらかかりますかに書いています。

よくある質問

Q. 昭和56年6月以降に建てた家は対象になりますか
なりません。昭和56年5月31日以前に建築された家が対象です。建築年月日は登記事項証明書で確認できます。
Q. 取り壊してから売らないと使えませんか
2024年1月1日以後の売却では、買主が引き渡し後に耐震改修または取り壊しをした場合も対象です。期限は譲渡した年の翌年2月15日までです。建物付きのまま売っても使えます。
Q. 親が老人ホームに入っていた家でも使えますか
要介護認定を受けて入所し、その後に家を貸したり他の人が住んだりしていなければ対象になります。詳しい要件は国税庁 No.3306に記載があります。
Q. 兄弟3人で相続した場合の控除額はいくらですか
2024年1月1日以後の売却では、相続人が3人以上いると一人2,000万円です。2人までは一人3,000万円です。
Q. 取得費加算の特例と両方使えますか
併用できません。相続税を納めた場合は取得費加算、納めていない場合は3,000万円控除を選ぶのが一般的です。どちらが有利かは税理士に計算を依頼してください。
Q. 解体の補助を使うと、すぐに土地を売れなくなりますか
市によります。西条市は除却後1年間、土地の売却や貸与を認めていません(2026年11月時点)。補助を申し込む前に、要綱で売却の制限を確認してください。

壊す前に、査定を取る

建物を残したまま買い取る業者もあります。査定は無料で、金額を見てから断れます。 市ごとの補助金は、市区町村のページに載せています。

建物を残したまま、無料で査定を頼む

広告当サイトは提携先から報酬を受け取ることがあります。査定は無料で、依頼しても売る義務はありません。

お住まいの市の条件で計算する

建物を残して売った場合の手取りと、解体した場合の自己負担を、市の地価と補助制度から計算します。 所要時間は1分です。名前や連絡先の入力はありません。

お住まいの地域の条件で診断する

出典

  1. 国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
  2. 国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算
  3. 国税庁 No.3258 取得費が分からないとき
  4. 国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
  5. 国土交通省|消費者の皆様向け 不動産取引に関するお知らせ(仲介手数料の上限)
  6. 日本経済新聞|木造住宅の解体費(クラッソーネ調べ)
  7. 狭山市|空家等除却補助金
  8. 西条市|西条市老朽危険空家除却事業補助金交付要綱
  9. 西条市|令和8年度 老朽危険空家除却事業のご案内
  10. 筑紫野市|住宅性能向上(耐震+省エネ)改修工事等に補助します
  11. 桐生市|きりゅう暮らし応援事業(空き家除却助成)補助金
  12. 多治見市|老朽・危険空き家除却工事補助金

記事の内容は、2026年11月4日時点の各出典にもとづいています。

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この記事の情報について

一般的な情報としてまとめたものです。控除が使えるかどうかや税額は、物件と世帯の事情で変わります。 最終的な判断は、税理士や司法書士、または管轄の税務署と法務局に確かめてから決めてください。