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家財の処分

空き家の雪下ろしは誰の責任ですか。費用と自治体の支援

空き家の雪下ろしは所有者の責任です。落雪や倒壊で隣に損害を与えると、民法717条により所有者が賠償します。雪下ろしの費用は、作業員1人1日あたり1万8,000円から3万円が目安です(山形市・あわら市の公表額、2026年10月時点)。高齢者向けの雪下ろし助成は住んでいない家には使えません。管理不全空家の指導との関係と、寒冷地13市の解体補助金の受付状況もまとめています。

更新日
2026年10月14日
家財を運び出したあとの、空っぽの部屋

かかる費用の内訳

解体費と呼ばれる費用は、5つの費目に分かれます。 金額が決まっているのは解体工事の部分だけです。残りは見積もりを取るまで決まりません。

家財・残置物の撤去 量と間取り、搬出のしやすさで変わります。仏壇や金庫、農機具は別料金になる場合があります。 見積もりで確認
解体工事(木造) 全国平均です(2025年1〜5月、日本経済新聞)。重機が入りにくい場所は、これより高くなります。 約192万円
解体補助金 補助率は1/3〜1/2、上限は市ごとに違います。築年数や耐震性の条件があります。 −50万〜−150万円が目安
整地・廃材の運搬 見積書で別立てか、含まれているかを最初に確かめてください。 解体費に含まれる場合が多い
建物滅失登記 取り壊しから1か月以内に申請します。土地家屋調査士に頼むと数万円が目安です。 自分で申請すれば実費のみ
自己負担の合計 見積もりが出るまで決まりません

解体費の平均は、市区町村のページと同じ前提です。 補助金の上限と受付期間は市ごとに違います。お住まいの市のページで確かめてください。

「雪国の実家を相続した。誰も住んでいないが、冬の雪下ろしは誰がやるのか」遠くに住みながら、雪の降る地域の空き家を持っている人に向けて書いています。

結論

空き家の雪下ろしは、所有者の責任です。落雪や倒壊で隣の家や通行人に損害を与えると、民法717条により所有者が賠償します。雪下ろしの費用は、作業員1人1日あたり1万8,000円から3万円が目安です(2026年10月時点、山形市・あわら市の公表額)。高齢者向けの助成は、住んでいない家には使えません。

この記事で分かること

  • 落雪・倒壊の責任が誰にあるか(民法717条の条文)
  • 雪下ろしの費用の公表例と、自治体の支援が空き家に使えるか
  • 雪が降る前に解体するか売るかを決めるための、寒冷地13市の補助金一覧

こんな場合は診断へ

  • 冬の前に、解体して更地にするか、建物を残して売るかを決めたい
  • 雪下ろしの費用を毎年払うより、手放したほうが安いか知りたい
  • 寒冷地の実家の買取価格の目安を、現地に行かずに知りたい

一つでも当てはまる場合は、空き家の診断で、解体する場合とそのまま売る場合の手取りの目安を出せます。

雪下ろしをしないと、誰の責任になりますか

建物は、民法でいう「土地の工作物」です。屋根の雪が落ちて隣の車を壊した場合や、雪の重みで建物が倒れて隣家を傷めた場合は、工作物の責任の問題になります。

用語

民法717条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない(e-Gov法令検索、2026年10月時点)。

空き家には占有者がいません。この場合、賠償するのは所有者です。雪下ろしをしていなかった事実は、「保存に瑕疵があった」と判断される材料になります。条文のただし書き(必要な注意をしたときは責任を負わない)は、占有者にだけ付いています。所有者には、この免責の定めがありません。

相続登記が済んでいない家でも、相続人は所有者です。「名義は亡くなった親のまま」という状態は、責任を免れる理由になりません。名義の整理は相続登記をしないまま実家を放置するとどうなりますかに書いています。

雪による倒壊と落雪の事故

雪の重みで空き家の屋根が落ちた例は、国土交通省の事例集に載っています(平成28年度調査)。新潟県妙高市では、豪雪地の温泉街にある元旅館の木造部分の屋根が、平成23年冬に雪の重みで崩落しました。市は平成28年9月に略式代執行で解体し、費用は約3,960万円でした。群馬県前橋市でも、平成26年2月の大雪で屋根が崩落した空き家を、市が略式代執行で解体しています。

雪下ろしの作業自体にも危険があります。総務省消防庁の集計では、令和3年11月から令和4年3月までの雪による死者は97人でした。このうち屋根の雪下ろしなど除雪作業中の死者が74人、落雪による死者が16人、倒壊した家屋の下敷きによる死者が5人です。

国土交通省の資料では、令和6年度冬期の除雪作業中の死者は34人で、約9割が65歳以上でした(令和7年2月5日時点)。慣れていない人が、年に1度だけ実家の屋根に上がるのは危険です。業者か、市が紹介する作業組合に頼みます。

雪下ろしの費用の目安

自治体が公表している額を集めました(2026年10月時点)。

自治体 公表している額 位置づけ
山形市 作業員1人1日あたり1万8,000円、3人まで5万4,000円 高齢者世帯向け補助の上限
あわら市(福井県) 1名1日3万円、半日1万5,000円から2万円 市が公表する協力事業者の料金(令和7年度)
長岡市 除雪1回につき上限2万2,900円、一冬の上限4万円 要援護世帯向け助成の上限(令和8年2月拡充)
青森市 雪下ろし費用の2分の1、1シーズン上限2万5,000円 高齢者世帯向け助成(令和5年度版の案内)
旭川市 1万5,000円分の助成券 高齢者等向け(令和7年度)

山形市は、作業員の安全のため必ず2人以上の作業になると案内しています。あわら市の例で2人が1日作業すると、1回あたり約6万円です。一冬に2回なら約12万円、3回なら約18万円の計算になります。回数は、地域と年の降雪で変わります。

注意

表の助成は、どれも住んでいる高齢者の世帯が対象です。青森市は、居住していない建物の費用を対象外と明記しています。空き家の雪下ろし費用を所有者に直接補助する制度は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。

雪下ろしのほかに、通水や換気などの管理の費用もかかります。管理サービスの相場は空き家の管理サービスは月いくらですかにまとめています。

空き家の雪に関する自治体の支援

空き家に使える支援は、所有者向けではなく地域向けの型が中心です。

自治体 制度 内容
大仙市(秋田県) 地域協働雪対策事業 自治会などが空き家を除雪すると、空き家1戸あたり年1万円を交付。所有者の同意書が要る(令和8年度)
上越市(新潟県) 空き家等除却費補助金 倒壊のおそれがある空き家の解体に2分の1・上限50万円(2026年4月の広報)
十日町市(新潟県) すまい雪おろし安全対策支援事業 命綱アンカーなどの設置に2分の1・上限15万円。空き家は対象外と明記(令和8年度)
国(国土交通省) 豪雪地帯対策の支援措置 積雪による倒壊を防ぐための空き家の除却に補助率5分の2(市町村向け、令和7年2月の資料)

大仙市の制度は、自治会や自主防災組織が申請します。所有者が自分で申請する制度ではありません。地元の自治会に空き家があることを伝え、同意書を出せば、冬の間の除雪を頼める可能性があります。

豪雪地帯は、全国1,719市町村のうち532市町村です。面積では国土の50.8%、人口では14.5%を占めます(国土交通省、令和7年2月)。該当する市町村では、県や市の雪対策の窓口が空き家の相談を受けています。

管理不全空家の指導との関係

2023年12月13日に施行された改正空家特措法で、「管理不全空家等」の制度ができました。放置すれば特定空家等になるおそれがある空き家に、市が指導と勧告をできる仕組みです。

国土交通省のガイドラインは、落雪を判断の例に挙げています。管理不全空家の参考基準は「通常の雪下ろしがなされていないことが認められる状態」、特定空家の参考基準は「頻繁な落雪の形跡」です。

ポイント

勧告を受けると、敷地の固定資産税の住宅用地特例が外れます。200㎡以下の部分は6分の1に減額されていた税額が、減額なしに戻ります(国土交通省)。雪下ろしをしない状態が続くと、賠償の責任と税の増額の両方が重なります。

ガイドラインは、老朽化した空き家が大雪の影響を受けやすい地域にある場合は、早い段階から措置を講ずる必要性が高いとしています。指導の通知が届いたあとの手順は空き家を放置するとどうなりますかに書いています。

冬の前に手放す場合の補助金

雪下ろしの費用を毎年払うより、雪が降る前に手放す選択があります。寒冷地の掲載13市の解体補助金は次のとおりです(2026年10月14日時点、このサイトの掲載データ)。

市 補助率 上限 受付
札幌市 3分の1 50万円 9月30日で終了
旭川市 3分の1 30万円 11月27日まで
函館市 2分の1 30万円 12月4日まで
青森市 2分の1 30万円 11月30日まで
八戸市 5分の4 20万円から40万円 事前調査の申請は11月13日まで
秋田市 2分の1 50万円 予算到達で停止中
山形市 5分の2 100万円 6月30日で終了
上越市 2分の1 50万円 受付期間は未公表
富山市 2分の1 50万円 受付期間は未公表
金沢市 2分の1 50万円 受付期間は未公表
福井市 2分の1 50万円 11月30日まで
長野市 2分の1 100万円 予算到達で停止中
松本市 2分の1 50万円 予算到達で停止中

13市のうち、10月14日時点で受付中と確認できるのは5市です。上越市、富山市、金沢市の3市は、受付期間が公表されていません。多くの市で、申請の前に市の判定や事前調査があり、工事は年度内に終える条件が付きます。雪が積もると解体工事はできないため、寒冷地では10月までに申請しないと、今年度の補助金で冬の前に解体するのは難しくなります。

解体しない場合は、建物を残したまま売る方法があります。この場合、解体費も翌冬の雪下ろし費用もかかりません。土地の値段が解体費を下回る家でも、訳あり物件を専門に扱う買取業者は査定を受け付けています。比べ方は更地にしてから売るか、そのまま売るかにまとめています。

まずやること

  1. 今年の冬の雪下ろしを、業者か市が紹介する作業組合に頼む。見積もりは2人1日の額で取る
  2. 地元の自治会に空き家があることを伝え、大仙市のような地域の除雪事業があれば同意書を出す
  3. 火災保険に、雪害や賠償責任の補償が付いているかを確かめる(空き家の火災保険)
  4. 実家のある市の解体補助金の受付状況を、全国の空き家解体補助金一覧で見る
  5. 来年の冬までに手放すかを決める。空き家の診断で、解体する場合とそのまま売る場合の手取りを比べる

まとめ

  • 空き家の落雪・倒壊による損害は、民法717条で所有者が賠償する
  • 雪下ろしは作業員1人1日あたり1万8,000円から3万円が目安。2人で1回なら約6万円
  • 高齢者向けの雪下ろし助成は、住んでいない家には使えない
  • 雪下ろしをしていない状態は、管理不全空家の指導の対象になる
  • 寒冷地13市のうち、10月14日時点で受付中と確認できる解体補助金は5市。冬の前に手放すなら、建物を残して売る方法もある

見積もりで確かめること

  1. 残置物の撤去が見積もりに入っているか、別料金か
  2. 廃材の運搬と処分費が、総額に含まれているか
  3. 整地まで行うのか、更地に均すだけなのか
  4. 近隣への挨拶と養生の費用は、どちらが持つのか
  5. 補助金の申請書類を、業者が用意するのか

総額に何を含めるかは、業者によって違います。項目をそろえてから、金額を比べてください。

よくある質問

Q. 隣の家に雪が落ちて壊した場合、誰が払いますか
空き家の所有者です。民法717条は、土地の工作物の設置か保存に瑕疵があって他人に損害を与えたとき、占有者が賠償し、占有者が必要な注意をしていたときは所有者が賠償すると定めています。空き家には占有者がいないため、所有者が賠償します。相続登記が済んでいなくても、相続人は所有者です。
Q. 空き家の雪下ろしに使える補助金はありますか
所有者が直接受けられる雪下ろしの補助は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。山形市や青森市などの雪下ろし助成は、住んでいる高齢者の世帯が対象です。大仙市の地域協働雪対策事業は、自治会などが空き家を除雪すると空き家1戸あたり年1万円を交付する制度で、所有者の同意書が要ります(令和8年度)。
Q. 雪下ろしの費用はいくらですか
山形市の高齢者向け補助の上限は、作業員1人1日あたり1万8,000円です。あわら市が公表する協力事業者の料金は、1名1日3万円です(令和7年度)。山形市は安全のため必ず2人以上の作業になると案内しているため、1回あたり約4万円から6万円が目安です。
Q. 雪下ろしをしないと、市から指導されますか
2023年12月13日に施行された改正空家特措法で、市は管理不全空家等に指導と勧告をできるようになりました。国土交通省のガイドラインは、管理不全空家の参考基準に「通常の雪下ろしがなされていないことが認められる状態」を挙げています。勧告を受けると、敷地の固定資産税の住宅用地特例が外れます。
Q. 冬の前に解体したいのですが、補助金は間に合いますか
市によります。寒冷地の掲載13市のうち、2026年10月14日時点で受付中と確認できるのは旭川市、函館市、青森市、八戸市、福井市の5市です。多くの市で申請の前に判定や事前調査があり、工事は年度内に終える条件が付きます。間に合わない場合は、建物を残したまま売る方法があります。

家財が残ったまま査定を取る

処分費込みで引き取る業者もあります。査定は無料で、金額を見てから断れます。 市ごとの補助金と解体費の比較は、市区町村のページに載せています。

家財が残ったままでも、無料で査定を頼む

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売らずに片付けだけ先に済ませたい場合は、不用品回収の見積もりを取ると費用の目安がつきます。

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家財が残ったままでも、売れるかどうかの目安は出せます。 7つの質問に答えると、手元に残る金額の目安が分かります。所要時間は1分です。

お住まいの地域の条件で診断する

出典

  1. e-Gov法令検索|民法 第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)
  2. 総務省消防庁|今冬の雪による被害状況等(令和3年11月1日〜令和4年3月31日。死者97人、除雪作業中74人、落雪16人、倒壊5人)
  3. 国土交通省|豪雪地帯対策における施策の実施状況等(令和7年2月。除雪作業中の死者34人、空き家の除却に補助率2/5)
  4. 国土交通省|豪雪地帯対策 資料編(豪雪地帯は532市町村、面積50.8%、人口14.5%)
  5. 国土交通省|地方公共団体の空き家対策の取組事例(妙高市の元旅館、前橋市の略式代執行)
  6. 国土交通省|管理不全空家・特定空家の参考基準(落雪による通行障害等の発生)
  7. 国土交通省|管理不全空家等及び特定空家等に対する措置に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)
  8. 国土交通省|「空家法」と「2023改正空家法」(2023年12月13日施行、管理不全空家等)
  9. 国土交通省|固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置(勧告で特例の対象外)
  10. 山形市|高齢者・障がい者及びひとり親世帯雪下ろし等補助事業(作業員1人1日あたり18,000円が上限)
  11. 山形市|雪下ろし実施組合の紹介について(必ず2人以上の作業)
  12. あわら市|令和7年度 雪下ろし等協力事業者一覧(1名1日30,000円)
  13. 長岡市|要援護世帯の除雪費助成事業を拡充(1回上限22,900円、一冬上限4万円。令和8年2月5日)
  14. 青森市|屋根の雪下ろし費用の一部を助成します(2分の1・上限25,000円。居住していない建物は対象外)
  15. 旭川市|令和7年度 高齢者等屋根雪下ろし事業(15,000円分の助成券)
  16. 大仙市|地域協働雪対策事業(空き家1戸当たり10,000円、所有者の同意。令和8年度)
  17. 上越市|広報じょうえつ2026年4月号(空き家等除却費補助金 2分の1・上限50万円)
  18. 十日町市|すまい雪おろし安全対策支援事業(令和8年度。空き家は対象外)

記事の内容は、2026年10月14日時点の各出典にもとづいています。

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この記事の情報について

費用の目安は、一般的な相場としてまとめたものです。実際の金額は、建物の構造、面積、立地で変わります。 契約の前に、2社以上から見積もりを取って確かめてください。