空き家コンパス 1分で診断

空き家の売り方

遠方の実家を、現地に行かずに売れますか

重要事項の説明はテレビ会議でできます。契約書も、相手の承諾があれば電子書面で受け取れます。売主が現地に行くのは、実務上は決済のときだけで、それも代理人に任せられます。国土交通省の調査では、空き家の所有者の23.4%が車や電車で1時間を超える場所に住んでいます。遠方でも進められる手続きと、先に済ませておく登記の話をまとめます(2026年9月時点)。

更新日
2026年9月18日
日の差し込む古い家の縁側

3つの売り方の比較

項目 仲介で売る買取で売るそのまま持つ
現金になるまで 目安は3〜6か月です。買い手が見つかるまで進みません。目安は数日〜1か月です。査定額に納得すれば契約に進みます。—
手元に残る額 市場価格に近い金額です。仲介手数料が引かれます。市場価格より低くなります。仲介手数料はかかりません。固定資産税と管理費が毎年かかります。
向いている場合 駅に近い、建物がまだ使えるなど、買い手が見込める家早く手放したい場合。傷みや家財があり、そのままでは売りにくい家子どもが使う予定があるなど、手放さない理由がある場合
気をつけること 売れ残ると値下げが続きます。引き渡し後の不具合に責任を負う場合があります。提示額は業者で差が出ます。2社以上で比べてください。管理が行き届かないと、特定空家等に指定される場合があります。

仲介手数料の上限

売買価格が400万円を超える場合、仲介手数料の上限は「売買価格の3%+6万円」に消費税を加えた額です。 800万円以下の物件は、税込33万円まで受け取れる決まりがあります(2024年7月から)。 根拠は宅地建物取引業法46条と、国土交通省の告示です。

特定空家等または管理不全空家等に指定されて勧告を受けると、住宅用地の特例が外れます。 土地の固定資産税が上がるため、持ち続ける場合にも費用がかかります。

実家が遠くて、何度も帰れない人に向けて書いています。

結論

重要事項の説明はテレビ会議でできます。売買での本格運用は2021年3月30日に始まりました。重要事項説明書と契約書は、相手の承諾があれば電子書面で受け取れます。2022年5月18日から可能になりました。先に済ませるのは登記です。相続登記は3年以内が義務で、住所や氏名が変わっている場合も2年以内の変更登記が義務になりました(2026年4月1日施行)。ここが終わっていないと、売買契約に進めません。

この記事で分かること

  • 現地に行かずに進められる手続きと、行く必要がある場面
  • 先に終わらせる登記の期限と、過料の額
  • 権利証をなくしている場合の3つの進め方

こんな場合は診断へ

  • 実家まで片道2時間以上かかる
  • 名義が亡くなった親のままになっている
  • 何から手をつければよいか分からない

一つでも当てはまる場合は、空き家の診断で、売れるかどうかと手取りの目安が出ます。入力は約1分です。

遠方に住む所有者は少なくありません

国土交通省の令和6年空き家所有者実態調査では、空き家までの所要時間が1時間を超える世帯が23.4%でした。1時間超から3時間以内が13.0%、3時間超が10.4%です。取得のきっかけは相続が約58%を占めます。

実家を相続したが遠くて通えない、という状況は珍しくありません。手続きの側も、これに合わせて変わってきています。

現地に行かずにできること

場面 現地に行かずにできるか 根拠
査定 できる 業者が現地を見て写真で報告
重要事項の説明 できる テレビ会議での説明(2021年3月30日から売買でも本格運用)
契約書の受け取り できる 電子書面での提供(2022年5月18日から。相手の承諾が必要)
契約書への署名押印 できる 郵送で順に回す方法
登記の申請 できる 司法書士に委任。オンライン申請も可能
決済と鍵の引き渡し 代理人に任せられる 委任状と印鑑証明書が必要

テレビ会議での重要事項説明

宅地建物取引士が、画面越しに重要事項を説明する方法です。賃貸で先に始まり、売買では2021年3月30日から本格運用になりました。国土交通省が実施マニュアルを出しています。

宅地建物取引士証を画面で示すこと、書類を事前に送っておくこと、音声と映像が十分であることが条件です。途中で映像が乱れた場合は、中断して環境を整えてから再開します。

電子書面での受け取り

重要事項説明書(35条書面)と契約書(37条書面)は、2022年5月18日から電子書面で受け取れます。相手の承諾が必要で、提供の方法と記録の方式について説明を受けたうえで承諾する形になります。

承諾しない場合は紙で郵送されます。紙の場合は、署名押印して返送する流れです。売主と買主が別々の場所で署名押印し、順に書類を回す進め方を持ち回り契約と呼びます。

先に済ませる登記

相続登記は3年以内

2024年4月1日から、相続登記が義務になりました。相続の開始と所有権の取得を知った日から3年以内に申請します(不動産登記法第76条の2)。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象です(同法第164条)。

2024年4月1日より前に起きた相続も対象です。この場合の期限は2027年3月31日です。名義が祖父の代のままになっている土地も、同じ期限で申請が必要です。手順は相続登記をしないまま実家を放置するとどうなりますかにまとめています。

住所と氏名の変更登記は2年以内

2026年4月1日から、住所や氏名の変更登記も義務になりました。変更の日から2年以内に登記します。正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象です。

施行の前に住所が変わっていた場合は、2028年3月末までに登記します。実家を出てから何度か引っ越している人は、登記簿の住所が古いままになっていることがあります。売買の前に、この変更登記が必要です。法務局のオンライン申請でも手続きできます。

権利証をなくしている場合

登記識別情報(権利証)が見つからないことがあります。再発行はできません。代わりに3つの方法があります。

  1. 事前通知:法務局から本人限定受取郵便で通知が届き、2週間以内に申し出る。手数料はかからない
  2. 資格者代理人による本人確認情報:司法書士などが本人確認情報を作成する。報酬がかかる
  3. 公証人の認証:公証人に認証してもらう

遠方に住んでいる場合は、郵便の受け取りに日数がかかるため、2番目を選ぶことが多くなります。手数料はかかりますが、日程が読めます。

必要な書類

売主が用意するのは次のものです。

  • 登記識別情報(権利証)
  • 印鑑証明書。登記に添付するものは作成後3か月以内
  • 住民票
  • 固定資産評価証明書
  • 本人確認書類

印鑑証明書は期限があるため、取るタイミングを司法書士と合わせてください。先に取ると期限切れになります。

登記の申請では、司法書士が本人確認を行います。犯罪による収益の移転防止に関する法律で義務づけられているためです。面談か、これに代わる方法で確認します。

3,000万円特別控除を使う場合

相続した家を売って3,000万円特別控除を使うには、家屋がある市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」が必要です。申請先は家屋の所在地の市区町村で、郵送で受け付けている自治体もあります。

控除額は3,000万円です。相続人が3人以上の場合は2,000万円になります。売る期限は、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までで、制度そのものの期限は2027年12月31日です。条件は空き家の3,000万円特別控除は、どんな家なら使えますかで説明しています。

確定申告はe-Taxで行えます。譲渡所得の入力手順は国税庁が案内を出しています。

家財と鍵

家財が残っている場合、現地で片付けるには何日も滞在することになります。家財ごと引き取る買取業者を選べば、この滞在が不要になります。費用の目安は空き家の家財処分はいくらかかりますかにあります。

鍵は決済のときに引き渡します。代理人に任せる場合は、委任状と印鑑証明書を用意します。仲介会社が預かって引き渡す形にすることもあります。

売るまでの間の管理は、市によってはシルバー人材センターが請け負っています。高知市は、見回りと郵便物の確認、報告書の作成をまとめて1回2,500円で案内しています。

進める順番

  1. 登記事項証明書を取り、名義と住所を確認する(法務局はオンラインで請求できます)
  2. 相続登記と住所変更登記が終わっていなければ、司法書士に依頼する
  3. 買取業者と仲介会社の両方に、現地を見てもらって査定を取る
  4. 重要事項の説明をテレビ会議で受ける
  5. 契約書を電子または郵送で取り交わし、決済は代理人に任せる

注意

海外に住んでいる場合は、買主が代金の10.21%を源泉徴収します(所得税法第212条)。買主が自分の住むために1億円以下で買う場合は、この源泉徴収が免除される特例があります。

買取と仲介のどちらを選ぶかは空き家は仲介と買取、どちらで売るべきですかで比べています。市ごとの地価と補助制度は市区町村ごとの補助金にあります。

まとめ

  1. 登記事項証明書で名義と住所を確認する
  2. 相続登記と住所変更登記を先に終わらせる
  3. 重要事項の説明はテレビ会議、契約書は電子または郵送で受け取る
  4. 決済と鍵の引き渡しは代理人に任せる

よくある質問

Q. 一度も現地に行かずに売れますか
実務上は可能です。重要事項の説明はテレビ会議で受けられ、売買では2021年3月30日から本格運用されています。契約書は2022年5月18日から電子書面での受け取りができます。決済と鍵の引き渡しは、委任状と印鑑証明書を用意して代理人に任せられます。査定のための立ち会いも、業者が現地を見て写真で報告する形が一般的です。
Q. 登記簿の住所が昔のままですが、そのまま売れますか
先に住所変更の登記が必要です。2026年4月1日から、住所や氏名の変更登記は変更の日から2年以内が義務になりました。正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象です。施行前に住所が変わっていた場合の期限は2028年3月末です。法務局のオンライン申請でも手続きできます。
Q. 権利証をなくしました。再発行できますか
再発行はできません。代わりの方法が3つあります。法務局からの事前通知に2週間以内に申し出る方法、司法書士などが本人確認情報を作成する方法、公証人に認証してもらう方法です。事前通知は手数料がかかりませんが、郵便のやり取りに日数がかかります。日程を優先する場合は、司法書士による本人確認情報を選ぶことが多くなります。
Q. 3,000万円特別控除に必要な書類は、遠方でも取れますか
被相続人居住用家屋等確認書は、家屋がある市区町村が発行します。郵送で受け付けている自治体もあるため、担当課に確認してください。控除額は3,000万円、相続人が3人以上の場合は2,000万円です。売る期限は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までで、制度の期限は2027年12月31日です。
Q. 海外に住んでいますが、売れますか
売れます。買主が代金の10.21%を源泉徴収し、税務署に納めます(所得税法第212条)。買主が自分や親族の住居として1億円以下で買う場合は、源泉徴収が免除される特例があります。確定申告で精算するため、納めすぎた分は還付されます。納税管理人を定めておくと手続きが進めやすくなります。

査定は2社以上で比べる

買取の提示額は、業者によって差が出ます。複数の金額を見てから決めてください。 市ごとの解体費との比較は、市区町村のページに載せています。

建物を残したまま、無料で査定を頼む

広告当サイトは提携先から報酬を受け取ることがあります。査定は無料で、依頼しても売る義務はありません。

お住まいの市の条件で計算する

建物を残して売った場合の手取りと、解体した場合の自己負担を、市の地価と補助制度から計算します。 所要時間は1分です。名前や連絡先の入力はありません。

お住まいの地域の条件で診断する

出典

  1. 国土交通省|令和6年空き家所有者実態調査結果
  2. 国土交通省|不動産の売買取引に係るオンラインによる重要事項説明(IT重説)の本格運用について
  3. 国土交通省|不動産取引時の書面が電子書面で提供できるようになります
  4. 国土交通省|重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明 実施マニュアル
  5. 法務省|相続登記の申請義務化について
  6. 法務省|住所等変更登記の義務化
  7. 法務局|登記識別情報を紛失したのですが、どうしたらよいのですか
  8. 法務局|「印鑑証明書」はどのような申請に必要ですか
  9. 国土交通省|空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除について
  10. 国税庁 No.2879|非居住者等から土地等を購入したとき
  11. 高知市|空き家管理サービスについて

記事の内容は、2026年9月18日時点の各出典にもとづいています。

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この記事の情報について

一般的な情報としてまとめたものです。実際の売却条件や税額は、物件ごとに変わります。 契約の前に、宅地建物取引業者と税理士に確かめてください。