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家財の処分

空き家を放置するとどうなりますか。罰則と費用

空き家を放置しても、すぐに罰金はかかりません。市区町村の指導を無視して勧告を受けると、土地の固定資産税の軽減が外れます。命令に違反すると50万円以下の過料、それでも放置すると市が解体して費用の全額を請求します(2026年9月時点)。段階ごとの罰則と費用、罰則を受ける前に売るか解体するかを決める手順を説明します。

更新日
2026年9月14日
草の伸びた庭と、誰も住んでいない二階建ての家

かかる費用の内訳

解体費と呼ばれる費用は、5つの費目に分かれます。 金額が決まっているのは解体工事の部分だけです。残りは見積もりを取るまで決まりません。

家財・残置物の撤去 量と間取り、搬出のしやすさで変わります。仏壇や金庫、農機具は別料金になる場合があります。 見積もりで確認
解体工事(木造) 全国平均です(2025年1〜5月、日本経済新聞)。重機が入りにくい場所は、これより高くなります。 約192万円
解体補助金 補助率は1/3〜1/2、上限は市ごとに違います。築年数や耐震性の条件があります。 −50万〜−150万円が目安
整地・廃材の運搬 見積書で別立てか、含まれているかを最初に確かめてください。 解体費に含まれる場合が多い
建物滅失登記 取り壊しから1か月以内に申請します。土地家屋調査士に頼むと数万円が目安です。 自分で申請すれば実費のみ
自己負担の合計 見積もりが出るまで決まりません

解体費の平均は、市区町村のページと同じ前提です。 補助金の上限と受付期間は市ごとに違います。お住まいの市のページで確かめてください。

「実家を相続したまま、何年も手を付けていない」そう感じている人に向けて書いています。

結論

空き家を放置しても、すぐに罰金はかかりません。市区町村の指導を無視して勧告を受けると、土地の固定資産税の軽減が外れます。命令に従わないと50万円以下の過料、それでも放置すると市が解体し、費用の全額を請求されます(2026年9月時点)。倒壊や部材の落下で人にけがをさせれば、所有者が損害賠償の責任を負います。

この記事で分かること

  • 放置した空き家が「管理不全空家」「特定空家」になる条件
  • 指導から勧告、命令、代執行までの流れと、段階ごとの罰則と費用
  • 罰則を受ける前に、売るか解体するかを決める手順

こんな場合は診断へ

  • 市区町村から、空き家の管理についての通知や連絡が届いた
  • 屋根や外壁の一部が落ち、近所から苦情を受けている
  • 固定資産税だけを払い続け、売るか壊すかを決めていない

一つでも当てはまる場合は、空き家の診断で売れるかどうかと手元に残る金額の目安を出せます。入力は約3分です。

空き家を放置している人の数

総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、全国の空き家は900万2千戸です(2023年10月1日時点)。空き家率は13.8%で、過去最高です。

このうち、賃貸や売却に出しておらず、別荘でもない空き家が385万6千戸あります。相続した実家をそのまま持っている家が、ここに含まれます。2018年と比べて36万9千戸増えました。

改正空家法で変わったこと

空き家の放置に対する罰則は、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)で決まっています。2023年12月13日に改正法が施行され、「管理不全空家等」の区分が加わりました。

改正前は、危険な状態になった「特定空家等」だけが指導と勧告の対象でした。改正後は、特定空家になる前の段階でも、勧告を受けると固定資産税の軽減が外れます(国土交通省)。

用語

管理不全空家等 適切な管理が行われず、そのまま放置すれば特定空家等になるおそれのある空き家です。屋根や外壁の一部の損傷、窓ガラスの破損、草木の繁茂などが判断材料になります。

特定空家等 次の4つのいずれかにあたる空き家です(空家法2条)。倒壊など著しく保安上危険となるおそれのある状態。著しく衛生上有害となるおそれのある状態。著しく景観を損なっている状態。周辺の生活環境の保全のために放置することが不適切な状態。

放置した年数は関係ありません

「3年放置すると罰金」という説明を見かけますが、空家法に年数の決まりはありません。空家法の「空家等」は、居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物とその敷地です(空家法2条)。国の基本指針では、おおむね年間を通して使用の実績がないことが目安です。

空き家になって1年目でも、屋根が崩れていれば特定空家等になります。20年放置していても、手入れが行き届いていれば措置の対象にはなりません。問われるのは年数ではなく、建物の状態です。

放置した場合の4つの段階

市区町村の対応は、次の順に進みます。段階ごとに、所有者の負担が増えます。

段階 対象 所有者に起きること
指導・助言 管理不全空家等、特定空家等 修繕や解体を求める文書が届く
勧告 管理不全空家等、特定空家等 土地の固定資産税の軽減が外れる
命令 特定空家等のみ 従わないと50万円以下の過料
行政代執行 特定空家等のみ 市が解体し、費用の全額を請求

指導・助言

最初に、市区町村から改善を求める文書や訪問があります。この段階で修繕や解体をすれば、先に進みません。管理不全空家等への指導は、2025年3月31日時点で全国で3,211件です(国土交通省)。

市区町村は、空き家の状態を調べるために敷地に立ち入ることができます。立入調査を拒んだり妨げたりすると、20万円以下の過料の対象です(空家法30条)。

勧告

指導に従わないと、勧告に進みます。勧告を受けた敷地は、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます。200㎡以下の土地は課税標準が評価額の1/6に減額されていますが、この減額がなくなります。

勧告は管理不全空家等でも出ます。2025年3月31日時点で、管理不全空家等への勧告は378件、特定空家等への勧告は4,153件です(国土交通省)。

注意

勧告を受けると、解体しなくても更地と同じ税額になります。土地の固定資産税は最大で約4.2倍です。計算の詳細は固定資産税は6倍になりますかにあります。「税金が上がるから壊さない」という判断は、勧告の時点で成り立たなくなります。

命令

特定空家等の所有者が勧告に従わないと、市区町村長は期限を定めて命令を出します。命令に違反すると、50万円以下の過料に処されます(空家法30条)。過料は罰金と違い、刑罰ではなく行政上の制裁です。

命令は2025年3月31日時点で、全国で累計551件です(国土交通省)。勧告の件数に比べると少なく、ほとんどの人は勧告の段階で対応しています。

行政代執行

命令にも従わない場合、市区町村が所有者に代わって解体します。これが行政代執行です。2025年3月31日時点で、累計286件の行政代執行が行われています。所有者が分からない場合の略式代執行は592件、緊急代執行は12件です(国土交通省)。

代執行の費用は、所有者が全額を負担します。市区町村は費用の額と納期日を文書で通知します。納めないと、国税の滞納処分と同じ手続きで財産を差し押さえられます(行政代執行法5条、6条)。

ポイント

自分で解体すれば、市区町村の補助金を使えます。神戸市では上限60万円、札幌市では3分の1・上限50万円の補助があります(2026年9月時点)。代執行では補助金が使えず、解体費に加えて設計委託費や近隣家屋の調査費も請求されます。

損害賠償の責任

空き家の瓦や外壁が落ちて通行人にけがをさせた場合、所有者が損害を賠償します。民法717条は、土地の工作物の設置や保存に欠陥があって他人に損害を与えたときの責任を定めています。

占有者が損害の発生を防ぐ注意をしていた場合は、所有者が賠償責任を負います。所有者の責任には、注意していたかどうかによる免責がありません。空き家には占有者がいないため、所有者が直接責任を負います。

倒壊や火災で隣家に損害を与えた場合も同じです。損害の額に上限はなく、相手のけがの程度や建物の被害で決まります。設置や保存に欠陥がなければ、この責任は生じません。修繕して欠陥をなくすか、解体して工作物そのものをなくすことが備えになります。

相続人が複数いる場合

相続した実家を兄弟で共有している場合、共有者の全員が所有者として措置の対象です。一人が「自分は住んでいない」と言っても、所有者としての責任は変わりません。

相続登記をしていない家でも、市区町村は固定資産税の情報を空き家対策に使えます(空家法10条)。納税者や相続人を調べて連絡が来ます。

相続放棄をした人でも、放棄の時にその家を現に占有していれば、保存する義務が残ります。次の相続人や清算人に引き渡すまで続きます(民法940条、2023年4月1日施行)。放棄すれば無関係になるとは限りません。

罰則を避けるための2つの選択肢

放置をやめる方法は、解体するか売るかの2つです。どちらが手元に多く残るかは、土地値と解体費の差で決まります。

比べる点 解体して更地で売る 建物付きで売る
解体費 自己負担(補助金あり) 買主の負担
固定資産税 更地になると上がる 売却まで住宅用地の税額
売却までの期間 解体工事の期間が加わる 買取なら短い
向いている家 地価が高い地域 土地値が解体費に近い家

地価が低い地域では、土地値が解体費を下回る家があります。この場合、解体してから売ると赤字になります。建物を残したまま売る方法は、買取価格はどう決まりますかで説明しています。

どちらの場合も、市区町村から通知が来る前に動くと、選べる方法が増えます。勧告を受けてからでは、税額が上がった状態で売却期間を過ごします。

まずやること

  1. 市区町村からの通知や封書を開き、指導・勧告・命令のどの段階か確かめる
  2. 現地に行き、屋根・外壁・窓・草木の状態を写真に残す
  3. 相続登記が済んでいなければ、法務局で相続登記を申請する
  4. 土地の評価額と面積から、更地にした場合の固定資産税を計算する
  5. 解体費の見積もりと買取査定を取り、手元に残る額を並べて比べる
  6. 判断がつかない場合は、市区町村の空き家担当課に相談する

まとめ

  • 放置しても、すぐには罰金にならない。指導と勧告を経て段階的に進む
  • 勧告を受けると、管理不全空家でも土地の固定資産税の軽減が外れる
  • 特定空家の命令に違反すると50万円以下の過料。代執行の費用は全額が所有者負担
  • 倒壊や落下で人にけがをさせると、所有者が損害賠償の責任を負う(民法717条)
  • 通知が来る前に、売るか解体するかを決めると選択肢が広い

相談先

  • 指導や勧告の内容は、市区町村の空き家担当課
  • 固定資産税の特例と税額は、市区町村の資産税課
  • 相続登記は、法務局か司法書士
  • 損害賠償や共有者との話し合いは、弁護士か法テラス
  • 売るか解体するかの目安は、このサイトの空き家の診断

見積もりで確かめること

  1. 残置物の撤去が見積もりに入っているか、別料金か
  2. 廃材の運搬と処分費が、総額に含まれているか
  3. 整地まで行うのか、更地に均すだけなのか
  4. 近隣への挨拶と養生の費用は、どちらが持つのか
  5. 補助金の申請書類を、業者が用意するのか

総額に何を含めるかは、業者によって違います。項目をそろえてから、金額を比べてください。

よくある質問

Q. 空き家を何年放置すると罰則の対象になりますか
年数の決まりはありません。空家法の対象は、居住その他の使用がなされていないことが常態の建物です。国の基本指針では、おおむね年間を通して使用の実績がないことが目安です。措置の対象になるかどうかは、年数ではなく屋根や外壁などの状態で決まります。
Q. 勧告を受けると固定資産税はいくらになりますか
土地の住宅用地特例が外れ、更地と同じ税額になります。200㎡以下の部分は課税標準が評価額の1/6から評価額の70%上限に変わり、最大で約4.2倍です(2026年9月時点)。家屋分の税はそのまま残ります。実際の額は納税通知書の評価額から計算できます。
Q. 過料50万円は必ず払うのですか
命令に違反した場合に、50万円以下の範囲で裁判所が決めます。指導や勧告の段階では過料はありません。命令の前に修繕や解体をすれば、過料の対象にはなりません。立入調査を拒んだ場合は、別に20万円以下の過料があります。
Q. 行政代執行の費用を払えない場合はどうなりますか
市区町村は費用の額と納期日を文書で通知し、納めなければ国税の滞納処分と同じ手続きで徴収します(行政代執行法5条、6条)。預金や不動産の差押えの対象になります。代執行の前に自分で解体すれば、市区町村の補助金を使えます。
Q. 空き家が原因で隣の家に損害を与えたら誰が払いますか
所有者です。民法717条では、土地の工作物の設置や保存の欠陥で他人に損害を与えたとき、占有者が責任を負い、占有者が注意していた場合は所有者が負います。空き家には占有者がいないため、所有者が直接責任を負います。共有している場合は共有者全員が対象です。

家財が残ったまま査定を取る

処分費込みで引き取る業者もあります。査定は無料で、金額を見てから断れます。 市ごとの補助金と解体費の比較は、市区町村のページに載せています。

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売らずに片付けだけ先に済ませたい場合は、不用品回収の見積もりを取ると費用の目安がつきます。

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出典

  1. 国土交通省|空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報
  2. 国土交通省|空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)概要
  3. 国土交通省|改正空家法 参照条文(第2条の定義、第30条の過料)
  4. 国土交通省|固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置
  5. 国土交通省住宅局|空き家対策関連施策等について(令和8年2月27日、空家法の施行状況)
  6. 総務省・国土交通省|空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針
  7. 総務省統計局|令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要
  8. 政府広報オンライン|空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化
  9. 埼玉県空き家対策連絡会議|行政代執行マニュアル(費用の徴収、行政代執行法第5条・第6条)
  10. e-Gov法令検索|民法(第717条 土地の工作物等の占有者及び所有者の責任、第940条)
  11. 神戸市|老朽空家等解体補助制度

記事の内容は、2026年9月14日時点の各出典にもとづいています。

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この記事の情報について

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