かかる費用の内訳
解体費と呼ばれる費用は、5つの費目に分かれます。 金額が決まっているのは解体工事の部分だけです。残りは見積もりを取るまで決まりません。
| 家財・残置物の撤去 量と間取り、搬出のしやすさで変わります。仏壇や金庫、農機具は別料金になる場合があります。 | 見積もりで確認 |
|---|---|
| 解体工事(木造) 全国平均です(2025年1〜5月、日本経済新聞)。重機が入りにくい場所は、これより高くなります。 | 約192万円 |
| 解体補助金 補助率は1/3〜1/2、上限は市ごとに違います。築年数や耐震性の条件があります。 | −50万〜−150万円が目安 |
| 整地・廃材の運搬 見積書で別立てか、含まれているかを最初に確かめてください。 | 解体費に含まれる場合が多い |
| 建物滅失登記 取り壊しから1か月以内に申請します。土地家屋調査士に頼むと数万円が目安です。 | 自分で申請すれば実費のみ |
| 自己負担の合計 | 見積もりが出るまで決まりません |
解体費の平均は、市区町村のページと同じ前提です。 補助金の上限と受付期間は市ごとに違います。お住まいの市のページで確かめてください。
6倍にはなりません。更地の課税標準は評価額の70%が上限です(負担調整措置)。住宅用地特例の1/6と比べると、土地の固定資産税は最大約4.2倍です。家屋分の税は消えます。放置して管理不全空家の勧告を受けると、解体しなくても同じ税額になります。
こんな場合は診断へ
- 「更地にすると税金が6倍」と聞いて、解体をためらっている
- 市から空き家の管理について通知が届いた
- 更地にした場合の税額と、売った場合の手取りを並べて見たい
一つでも当てはまる場合は、空き家の診断で市ごとの税額の変化を実数で出せます。
固定資産税の仕組み
固定資産税は、土地と家屋それぞれの課税標準額に税率を掛けて計算します。標準税率は1.4%です。都市計画区域内では都市計画税も加わり、税率の上限は0.3%です(総務省)。
課税標準額の基になるのは、市区町村が3年ごとに決める固定資産税評価額です。納税通知書の課税明細に、土地と家屋それぞれの評価額と課税標準額が書かれています。
都市計画税は、市街化区域内の土地と家屋にかかります。区域外の実家なら、都市計画税はかかりません。税率は市区町村ごとに条例で決めています。
住宅用地特例とは
住宅が建っている土地は、課税標準額が大きく減額されます。
- 200㎡以下の部分(小規模住宅用地): 固定資産税は評価額の1/6、都市計画税は1/3
- 200㎡を超える部分(一般住宅用地): 固定資産税は評価額の1/3、都市計画税は2/3
空き家でも、住宅が建っていれば特例の対象です。解体して更地にすると、翌年度からこの特例が外れます。
なぜ6倍ではないのですか
特例が外れた土地は「商業地等」の扱いになります。商業地等には負担調整措置があり、課税標準額は評価額の70%が上限です(総務省)。
住宅用地のときの課税標準は評価額の1/6です。更地のときの上限は70%です。70% ÷ (1/6) = 4.2なので、土地の固定資産税は最大で約4.2倍です。
「6倍」は、特例が外れると課税標準が評価額の100%になるという前提の計算です。負担調整措置により、その前提は成り立ちません。
都市計画税は1/3から70%なので、最大約2.1倍です。固定資産税と都市計画税を合計すると、土地の税額は約3.6倍になります。
家屋の税はなくなります
解体すると、家屋の固定資産税と都市計画税はかかりません。このサイトの計算機では古い家屋の評価額を18万円としています。この場合の家屋の税額は年約3,000円です。
合計で見ると、土地の増加分から家屋の減少分を引いた額が負担増になります。古い家ほど家屋分が小さいため、増加分は土地の計算に近くなります。
計算例
このサイトの計算機で、土地150㎡、家屋の評価額18万円の条件で出した数字です(2026年9月時点)。固定資産税率1.4%、都市計画税率0.3%で計算しています。
高松市(地価6.2万円/㎡、土地値930万円)
土地の固定資産税は、住宅用地で年約2.2万円、更地で年約9.1万円です。約4.2倍になります。
都市計画税と家屋分を含めた合計は、年約3.4万円から約11.1万円です。増加は年約7.7万円です。
千葉市(地価12万円/㎡、土地値1,800万円)
土地の固定資産税は、住宅用地で年約4.2万円、更地で年約17.6万円です。
合計は年約6.3万円から約21.4万円です。増加は年約15.1万円です。
豊中市(地価21.5万円/㎡、土地値3,225万円)
土地の固定資産税は、住宅用地で年約7.5万円、更地で年約31.6万円です。
合計は年約11.1万円から約38.4万円です。増加は年約27.3万円です。地価が高い地域ほど、更地にした後の負担が重くなります。
200㎡を超える土地の場合
200㎡を超える部分は、住宅用地特例が1/3です。更地になると70%が上限なので、この部分の増加は最大約2.1倍です。
土地260㎡の例では、200㎡分が約4.2倍、残り60㎡分が約2.1倍になります。広い土地ほど、全体の倍率は4.2倍より下がります。
納税通知書での確認方法
毎年4〜6月に届く納税通知書には、課税明細書が付いています。土地の欄に「小規模住宅用地」「一般住宅用地」の区分と、評価額、課税標準額が書かれています。
課税標準額が評価額の約1/6なら、特例が適用されています。更地にした場合の目安は、評価額に0.7を掛け、1.4%を掛けた額です。
更地にした後、売れるまでの負担
更地の税額は、売れるまで毎年かかります。豊中市の例では年約38万円、高松市の例では年約11万円です。
売却に2年かかれば、豊中市で約77万円、高松市で約22万円です。解体費と合わせて、売却価格から回収できるかを先に計算します。
放置しても特例は外れます
2023年12月13日に施行された改正空家法で、「管理不全空家等」の区分ができました。放置すれば特定空家になるおそれがある空き家が対象です。
市区町村から管理不全空家等または特定空家等として勧告を受けると、その敷地は住宅用地特例の対象から外れます(国土交通省)。解体しなくても、更地と同じ税額になります。
「税金が上がるから解体しない」という判断は、勧告を受けた時点で成り立たなくなります。窓ガラスの破損や草木の繁茂、屋根の一部の落下などが管理不全の判断材料です。
税額が変わる時期
固定資産税は、毎年1月1日の状態で課税されます。12月に解体すれば翌年度から更地の税額、1月2日以降の解体なら翌々年度からです。
解体して売る予定なら、売却のタイミングも合わせて考えます。1月1日時点で所有者でなくなっていれば、その年度の税は買主にかかります。
まずやること
- 納税通知書の課税明細で、土地と家屋の評価額と課税標準額を確認する
- 土地の評価額 × 0.7 × 1.4% で、更地にした場合の固定資産税の上限を計算する
- 家屋の税額を引き、年間の増加分を出す
- 建物付きで売った場合の手取りと、解体して売った場合の手取りを並べる
- 市から管理に関する通知が来ている場合は、担当課に状況を確認する
相談先
- 税額の計算と特例の適用は、市区町村の資産税課(固定資産税担当課)
- 管理不全空家等の通知や勧告は、市区町村の空き家担当課
- 解体費と補助金は、市区町村の建築指導課か空き家担当課
- 市ごとの税額の変化と売却の手取りは、このサイトの空き家の診断
見積もりで確かめること
- 残置物の撤去が見積もりに入っているか、別料金か
- 廃材の運搬と処分費が、総額に含まれているか
- 整地まで行うのか、更地に均すだけなのか
- 近隣への挨拶と養生の費用は、どちらが持つのか
- 補助金の申請書類を、業者が用意するのか
総額に何を含めるかは、業者によって違います。項目をそろえてから、金額を比べてください。
よくある質問
- Q. 更地にすると固定資産税は何倍になりますか
- 土地の固定資産税は最大約4.2倍です。更地の課税標準は評価額の70%が上限で、住宅用地特例の1/6と比べた倍率です。都市計画税を含めた土地の合計は約3.6倍、家屋分がなくなる分を引くとさらに小さくなります。
- Q. 空き家のままなら特例は続きますか
- 住宅が建っていれば続きます。市区町村から管理不全空家等や特定空家等として勧告を受けると、敷地は特例から外れます(2023年12月13日施行の改正空家法)。
- Q. いつ解体すれば税額の変化が遅くなりますか
- 固定資産税は毎年1月1日の状態で課税されます。1月2日以降に解体すれば、更地の税額になるのは翌々年度からです。
- Q. 負担調整措置の70%はいつまで続きますか
- 2026年度(令和8年度)まで現行の制度の継続が決まっています(東京都主税局、2026年9月時点)。その後は税制改正で見直される場合があります。
片づける前に、いくらで売れるかを見る
家財が残ったままでも、売れるかどうかの目安は出せます。 7つの質問に答えると、手元に残る金額の目安が分かります。所要時間は1分です。
お住まいの地域の条件で診断する家財が残ったまま査定を取る
処分費込みで引き取る業者もあります。査定は無料で、金額を見てから断れます。 市ごとの補助金と解体費の比較は、市区町村のページに載せています。
広告 当サイトは提携先から報酬を受け取ることがあります。査定は無料で、依頼しても売る義務はありません。
出典
- 総務省|固定資産税の概要(住宅用地特例・負担調整措置)
- 総務省|都市計画税
- 東京都主税局|固定資産税・都市計画税(土地・家屋)
- 東京都主税局|商業地等の負担調整措置の継続
- 国土交通省|固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置
- 国土交通省|空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報
記事の内容は、2026年9月4日時点の各出典にもとづいています。
関連する記事
- 空き家の解体費用の相場と、補助金でいくら戻りますか 木造住宅の解体費は平均約192万円です(2025年1〜5月、日本経済新聞)。自治体の補助金は補助率1/3〜1/2、上限50万〜150万円が中心で、差額は自己負担です。更地にすると土地の固定資産税は最大約4.2倍になります。
- 空き家は仲介と買取、どちらで売るべきですか 手元に残る額は仲介のほうが多く、買取は土地値から解体費と業者の利益を引いた額になります。期間と手間は買取が短く、契約不適合責任も免責が一般的です。地価が低い地域では、差額より確実さで買取を選ぶ人もいます。
- 相続した空き家を売るまでの流れと、3つの期限 相続した家を売るときは、期限のある手続きが3つ重なります。相続登記は3年以内、3,000万円の特別控除は3年目の年末まで、取得費加算は3年10か月以内です。それぞれの内容と、手続きの順番を説明します。
この記事の情報について
費用の目安は、一般的な相場としてまとめたものです。実際の金額は、建物の構造、面積、立地で変わります。 契約の前に、2社以上から見積もりを取って確かめてください。