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相続した家の手続き

祖父の名義のままの家は売れますか

祖父の名義のままの家も売れます。売る前に、祖父の相続と父の相続の2回分をまとめて、今の相続人の名義にする登記が要ります。おじやおば、いとこが相続人に入ることがあり、遺産分割には全員の合意が要ります。令和6年4月1日より前の相続の登記の期限は、令和9年3月31日です(法務省)。令和8年2月2日に始まった所有不動産記録証明制度の使い方と、登録免許税の目安も載せます(2026年10月時点)。

更新日
2026年10月10日
路地に面して並ぶ古い二階建ての家

期限の一覧

期限 手続き
3か月 相続の開始を知った日から 相続放棄 借金のほうが多い場合の手続きです。家財を処分すると、放棄できなくなる場合があります。
10か月 相続の開始を知った日の翌日から 相続税の申告と納付 遺産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合だけ必要です。
3年 相続で取得したと知った日から 相続登記の申請 2024年4月1日から義務です。それより前に起きた相続は、2027年3月31日が期限です。
3年目の12月31日 相続が始まった日から 3,000万円の特別控除を使った売却 正確には「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日」までです。
3年10か月 相続が始まった日から 取得費加算の特例を使った売却 相続税の申告期限の翌日から3年以内です。特別控除とは、どちらか一方を選びます。
2027年12月31日 制度そのものの期限 空き家の特別控除の適用期限 自分の3年の期限より、制度の期限が先に来る場合があります。早いほうが締め切りです。
翌年3月15日 売った年の 譲渡所得の確定申告 控除で税額が0円になる場合も申告が必要です。申告しないと、控除は適用されません。

期限は、物件や相続の事情で変わります。自分の場合の期限は、司法書士か税理士に確かめてください。

「登記を調べたら、実家の名義が祖父のままだった。父も亡くなっている。この家は売れるのか」祖父の名義が残った実家を相続し、売るまでに何が要るかを知りたい人に向けて書いています。

結論

祖父の名義のままの家も売れます。売る前に、祖父の相続と父の相続の2回分をまとめて、今の相続人の名義にする登記が要ります。2回の相続にかかわる相続人の全員が、遺産分割に参加します。おじやおば、いとこが相続人に入ることがあります。令和6年4月1日より前に相続した不動産の登記の期限は、令和9年3月31日です(法務省)。相続人申告登記で義務は果たせますが、売るには相続登記が必要です。

この記事で分かること

  • 相続が2回続くと、相続人が何人になるか
  • 戸籍の集め方と、令和8年2月に始まった所有不動産記録証明制度の使い方
  • 登記が1件で済む場合と、登録免許税と戸籍の実費の目安

こんな場合は診断へ

  • 実家の登記の名義が、祖父や祖母のままになっている
  • 相続人が何人いるのか、まだ数えていない
  • 手続きの費用をかけても、売れば手元に残るのかを知りたい

一つでも当てはまる場合は、空き家の診断で売った場合の手取りの目安を出せます。名義の質問で「亡くなった親の名義のまま」を選ぶと、名義を直せば売れる家の進め方が出ます。祖父の名義の場合も、同じ選択肢で進めてください。

相続が2回続くと相続人は何人になりますか

祖父の相続の登記をしないうちに、相続人だった父が亡くなった状態を、数次相続と呼びます。法務省は、時間が経つと次の世代の相続が発生して、権利関係が複雑になると案内しています。

用語

数次相続 1回目の相続の登記や遺産分割が済まないうちに、相続人が亡くなり、2回目の相続が始まることです。亡くなった相続人の立場は、その人の相続人が引き継ぎます。

相続人の範囲は、民法で決まっています。配偶者は常に相続人になり、子が第1順位です(国税庁 No.4132、令和8年4月1日現在)。次の家族の例で数えます。

  • 祖父が亡くなった。祖母は先に亡くなっている。子は父、おじ、おばの3人
  • その後、父が亡くなった。父の相続人は、母と自分と妹の3人
  • おじも亡くなった。おじの相続人は、おじの妻と、いとこ2人
相続人 祖父の家に対する割合
おば 3分の1
母 6分の1
自分 12分の1
妹 12分の1
おじの妻 6分の1
いとこ(2人) 各12分の1

相続人は7人です。祖父が亡くなった時点では、子の3人だけでした。この例では、合意の要る人数が3人から7人に増えています。

父が祖父より先に亡くなっていた場合は、数え方が変わります。この場合は、父の子である自分と妹が、父に代わって祖父の相続人になります(国税庁 No.4132)。母は相続人に入りません。亡くなった順番は、戸籍で確かめます。

祖父が亡くなった時期で変わる決まり

祖父が亡くなった日によって、当てはまる法律が違います。小諸市の相続人調査マニュアルは、最初に、亡くなった日が昭和22年5月2日以前かどうかを確かめるよう書いています。

名義人が亡くなった日 相続の決まり
昭和22年5月2日以前 戸主が亡くなった場合は家督相続。戸籍に家督相続と書かれた1人が相続人
昭和22年5月3日以降 相続人の考え方は今と同じ
昭和55年12月31日以前 法定相続分が今と違う

家督相続に当たる場合は、相続人が1人に絞られます。戦前に亡くなった曽祖父の名義が残っている場合は、この決まりを先に確かめます。

戸籍はどう集めますか

相続登記には、次の戸籍が要ります(法務局の記載例と必要書類の一覧)。

  1. 祖父の、出生から死亡までの戸籍と除籍
  2. 亡くなった相続人(父やおじ)の、出生から死亡までの戸籍と除籍
  3. 今の相続人全員の、現在の戸籍
  4. 新しく名義人になる人の住民票

令和6年3月1日から、本籍地が遠くても最寄りの市区町村の窓口で戸籍を請求できます(法務省、広域交付)。請求できるのは、本人、配偶者、父母や祖父母、子や孫の戸籍です。孫は、祖父の戸籍を広域交付で請求できます。

注意

広域交付は、本人が窓口に行き、顔写真付きの身分証明書を見せる必要があります。郵送と代理人による請求はできません。おじやおば、いとこの戸籍は、請求できる範囲に入っていません。コンピュータ化されていない一部の戸籍も対象外です。

手数料は、戸籍謄本が1通450円、除籍と改製原戸籍が1通750円です(大阪市の例)。上の家族の例で、実費の目安を出します。亡くなった人の戸籍を1人5通、相続人の戸籍を1人1通とした場合です。

例 亡くなった人の戸籍 相続人の戸籍 合計の目安
相続が1回(相続人3人) 5通で3,750円 3通で1,350円 5,100円
相続が2回(上の例、相続人7人) 15通で11,250円 7通で3,150円 14,400円

通数は、転籍や改製の回数で変わります。戸籍の束の代わりに使える法定相続情報一覧図は、相続登記の費用はいくらですかで説明しています。

祖父の名義の不動産を一覧で調べる制度

祖父の名義の不動産が、実家のほかに残っていることがあります。山林や畑、私道の持分などです。令和8年2月2日に、所有不動産記録証明制度が始まりました(法務省)。登記官が、特定の人が名義人になっている不動産を一覧にして証明します。

項目 内容(法務省、2026年10月時点)
請求できる人 登記名義人本人、相続人その他の一般承継人
手数料(検索条件1件・1通) 書面請求1,600円、オンライン請求で郵送1,500円、オンライン請求で窓口受取1,470円
請求先 全国の法務局・地方法務局。郵送も可
相続人が出す書類 本人確認の書類と、名義人との相続関係が分かる戸籍など

検索は、氏名と住所の組み合わせで行われます。登記に残る祖父の住所が古いままだと、今の住所で検索しても出てきません。過去の住所を検索条件に足すと、条件1件ごとに手数料がかかります。過去の住所を証明する書類も要ります。

未登記の建物と、登記簿が電子化されていない不動産は、一覧に出ません。該当なしの場合も、手数料は戻りません。市区町村の固定資産課税台帳(名寄帳)と合わせて確かめます。

遺産分割は相続人全員で行います

遺産分割は、相続人の全員が参加して、遺産の分け方を決める手続きです(法務省)。上の例では、7人全員の合意が要ります。誰の名義にして売るかを決め、遺産分割協議書に全員が署名し、実印を押します。印鑑証明書も全員の分を付けます(法務局の必要書類の一覧)。

会ったことのない相続人がいる場合は、戸籍の附票で住所を調べ、手紙で事情を伝えます。協議書の書き方は遺産分割協議書は空き家の売却にいつ必要ですかに書いています。返事が来ない場合の手続きは相続人の一人と連絡が取れないとき、実家は売れますかにあります。

ポイント

売って代金を分ける場合は、代表の1人の名義にして売り、代金を分ける方法があります。協議書にその旨を書きます。分け方の決まりは実家を売ったお金は、兄弟でどう分けますかに書いています。

登記は1件で済みますか

2回の相続を、1件の申請で登記できる場合があります。法務局は、1回目の相続の登記が済まないうちに相続人が亡くなった場合の記載例を公開しています。登記原因の欄に、祖父の死亡日と父の名前、父の死亡日を続けて書きます。

1件で済むのは、途中の相続人が1人の場合です。法務局の記載例は、最終の相続以外の相続で、共同相続人の数名が権利を取得している場合は、1件の申請では登記できないとしています。その場合は、相続ごとに申請を分けます。

登録免許税は、不動産の価額の1,000分の4です。1件にまとめた場合の目安を、このサイトに載せている市の地価で出しました。土地は150㎡、建物の評価額は18万円、土地の評価額は地価の7割とした場合です(2026年10月時点)。

市(住宅地の地価) 土地の評価額の目安 登録免許税(1件にまとめた場合)
高松市(6.2万円/㎡) 約651万円 約2万6,700円
千葉市(12万円/㎡) 約1,260万円 約5万1,100円
上尾市(12.33万円/㎡) 約1,295万円 約5万2,500円

相続が2回でも、1件にまとめられれば登録免許税は1回分です。相続が1回の場合と同じ額になります。

申請を分ける場合は、免税の措置があります。相続で土地を取得した人が、登記をしないまま亡くなった場合です。その人を名義人にする登記は、土地の登録免許税がかかりません(法務局)。期限は令和9年3月31日です。申請書に、免税の根拠の条文を書く必要があります。書かないと免税を受けられません。

司法書士の報酬は、相続人の数と戸籍の量で変わります。相続が2回の場合は、見積もりを取って確かめます。相続が1回の場合の報酬の平均は、上の費用の記事に載せています。

相続人申告登記では売れません

相続登記は、令和6年4月1日から義務になりました。令和6年4月1日より前に相続した不動産は、令和9年3月31日までに登記します(法務省)。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象です。

期限までに遺産分割がまとまらない場合は、相続人申告登記で義務を果たせます。相続人の1人が、自分が相続人であることを法務局に申し出る手続きです。

法務省のQ&Aは、相続人申告登記について次のように書いています。

「相続した不動産を売却したり、抵当権の設定をしたりするような場合には相続登記をする必要があります。」

売る予定がある場合は、申告登記で期限を守りながら、遺産分割の話し合いを進めます。法務省は、過料の対象から外れる正当な理由の例に、相続人が極めて多数で、戸籍の収集に多くの時間を要する場合を挙げています。放置した場合に起きることは相続登記をしないまま実家を放置するとどうなりますかに書いています。

まずやること

  1. 法務局で登記事項証明書を取り、名義人の氏名と住所を確かめる
  2. 祖父の出生から死亡までの戸籍を集め、亡くなった日と相続人を確かめる
  3. 亡くなった相続人がいれば、その人の戸籍も集め、今の相続人を一覧にする
  4. 所有不動産記録証明制度と名寄帳で、祖父の名義の不動産がほかに無いかを調べる
  5. 相続人全員に連絡し、誰の名義にして売るかを話し合う
  6. 空き家の診断で、売った場合の手取りの目安を出す

査定は、名義を変える前でも依頼できます。金額の目安があると、相続人どうしの話し合いを進めやすくなります。

まとめ

  • 祖父の名義のままの家は、今の相続人の名義にする登記をしてから売ります
  • 相続が2回続くと、おじやおば、いとこが相続人に入ります。遺産分割には全員の合意が要ります
  • 途中の相続人が1人の場合は、2回の相続を1件の申請で登記できます
  • 祖父の名義の不動産は、令和8年2月2日に始まった所有不動産記録証明制度で一覧にできます
  • 相続人申告登記では売れません。過去の相続の登記の期限は令和9年3月31日です

よくある質問

Q. 祖父の名義から、孫の名義に直接変えられますか
途中の相続人が1人の場合は、2回の相続を1件の申請で登記できます。法務局の記載例は、最終の相続以外の相続で共同相続人の数名が権利を取得している場合は、1件の申請では登記できないとしています。その場合は相続ごとに申請を分けます。
Q. 父が祖父より先に亡くなっていた場合、母は相続人になりますか
なりません。子が先に亡くなっている場合は、その子や孫が代わって相続人になります(国税庁 No.4132、令和8年4月1日現在)。父が祖父より後に亡くなった場合は、父の相続人である母も遺産分割に参加します。
Q. 相続人申告登記をしておけば、そのまま売れますか
売れません。法務省のQ&Aは、相続した不動産を売却する場合には相続登記をする必要があると書いています。相続人申告登記は、登記の義務を期限内に果たすための手続きです。
Q. 祖父の名義の土地がほかにあるか、どう調べますか
令和8年2月2日に始まった所有不動産記録証明制度で、祖父が名義人の不動産を一覧にできます。手数料は、書面請求の場合、検索条件1件・1通につき1,600円です(法務省、2026年10月時点)。登記の住所が古い場合は、過去の住所も検索条件に足します。
Q. 相続登記の期限を過ぎるとどうなりますか
正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象になります(法務省)。令和6年4月1日より前に相続した不動産の期限は、令和9年3月31日です。相続人が極めて多数で戸籍の収集に時間がかかる場合は、正当な理由の例に挙げられています。

壊す前に、査定を取る

建物を残したまま買い取る業者もあります。査定は無料で、金額を見てから断れます。 市ごとの補助金は、市区町村のページに載せています。

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お住まいの市の条件で計算する

建物を残して売った場合の手取りと、解体した場合の自己負担を、市の地価と補助制度から計算します。 所要時間は1分です。名前や連絡先の入力はありません。

お住まいの地域の条件で診断する

出典

  1. 法務省|相続登記の申請義務化について(過去の相続は令和9年3月31日まで、所有不動産記録証明制度は令和8年2月2日開始)
  2. 法務省|相続登記の申請義務化に関するQ&A(過料、正当な理由、相続人申告登記)
  3. 法務省|所有不動産記録証明制度について(請求できる人、手数料、検索条件)
  4. 旭川地方法務局|所有不動産記録証明制度が令和8年2月2日から運用開始
  5. 法務省|不動産を相続した方へ(遺産分割、数次相続)
  6. 法務局|所有権移転登記申請書の記載例(第1の相続の登記が未了の間に相続人が死亡した場合)
  7. 東京法務局|相続登記ガイドブック 申請書の書き方編(相続登記未了の間に相続人が死亡した場合)
  8. 法務局|相続登記の必要書類の一覧(遺産分割協議の場合)
  9. 法務局|相続登記の登録免許税の免税措置について(令和9年3月31日まで)
  10. 法務省|戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行、広域交付)
  11. 国税庁|No.4132 相続人の範囲と法定相続分
  12. 小諸市|相続人調査マニュアル(名義人が亡くなった日による区分)
  13. 大阪市|証明書交付手数料一覧(戸籍謄本450円、除籍・改製原戸籍750円)

記事の内容は、2026年10月10日時点の各出典にもとづいています。

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この記事の情報について

一般的な情報としてまとめたものです。控除が使えるかどうかや税額は、物件と世帯の事情で変わります。 最終的な判断は、税理士や司法書士、または管轄の税務署と法務局に確かめてから決めてください。