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相続した家の手続き

相続税の申告は空き家にも必要ですか。基礎控除と10か月の期限

相続税の申告が必要かどうかは、空き家かどうかでは決まりません。財産の合計が基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えるかで決まります。期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です(国税庁)。2024年に亡くなった人のうち申告書が出されたのは10.4%で、東京都は20.0%でした。親が一人暮らしだった実家は小規模宅地等の特例が使えないことが多く、足立区や杉並区では150㎡の土地だけで基礎控除を超えます。掲載市の地価から出した評価の目安と、申告までの手順を書きます。

更新日
2026年10月11日
木々に囲まれた住宅地の道と古い家

期限の一覧

期限 手続き
3か月 相続の開始を知った日から 相続放棄 借金のほうが多い場合の手続きです。家財を処分すると、放棄できなくなる場合があります。
10か月 相続の開始を知った日の翌日から 相続税の申告と納付 遺産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合だけ必要です。
3年 相続で取得したと知った日から 相続登記の申請 2024年4月1日から義務です。それより前に起きた相続は、2027年3月31日が期限です。
3年目の12月31日 相続が始まった日から 3,000万円の特別控除を使った売却 正確には「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日」までです。
3年10か月 相続が始まった日から 取得費加算の特例を使った売却 相続税の申告期限の翌日から3年以内です。特別控除とは、どちらか一方を選びます。
2027年12月31日 制度そのものの期限 空き家の特別控除の適用期限 自分の3年の期限より、制度の期限が先に来る場合があります。早いほうが締め切りです。
翌年3月15日 売った年の 譲渡所得の確定申告 控除で税額が0円になる場合も申告が必要です。申告しないと、控除は適用されません。

期限は、物件や相続の事情で変わります。自分の場合の期限は、司法書士か税理士に確かめてください。

「親が一人で住んでいた実家を相続した。空き家になった家にも相続税の申告がいるのか」相続した実家をどうするか決める前に、税金の申告の要否を知りたい人に向けて書いています。

結論

相続税の申告が必要かどうかは、空き家かどうかでは決まりません。財産の合計が基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えるかで決まります(国税庁 No.4152)。期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です(国税庁 No.4205)。空き家の土地は小規模宅地等の特例が使えないことが多く、都市部の実家は土地だけで基礎控除を超える場合があります。

この記事で分かること

  • 基礎控除の計算と、申告がいらない人の条件
  • 空き家になった実家で小規模宅地等の特例が使えるかどうかの分かれ目
  • 掲載市の地価から出した、実家の土地の相続税評価の目安

こんな場合は診断へ

  • 親が一人暮らしで、亡くなってから実家に誰も住んでいない
  • 実家の土地の値段が分からず、基礎控除を超えるか見当がつかない
  • 相続税を払ったうえで、実家を売るかどうか迷っている

一つでも当てはまる場合は、空き家の診断で、その市の地価から買取価格の目安を出せます。相続税の評価と売れる値段は別の数字です。両方を並べてから、申告と売却の順番を決めます。

申告が必要かどうかは基礎控除で決まります

相続税の申告は、相続した財産の合計が基礎控除額を超える場合に必要です。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です(国税庁 No.4152)。財産の合計が基礎控除額以下なら、申告も納税もいりません(国税庁 No.4205)。

法定相続人の数 基礎控除額
1人 3,600万円
2人 4,200万円
3人 4,800万円
4人 5,400万円

財産の合計には、実家の土地と建物、預金、株、生命保険金などが入ります。借金と葬式費用は差し引きます。空き家であることは、申告の要否に関係ありません。住んでいない家でも、評価額は財産に入ります。

用語

法定相続人 民法で決まる相続人です。配偶者は常に相続人で、子がいれば子、子がいなければ親、親もいなければ兄弟姉妹が加わります。相続放棄をした人も、基礎控除の人数には数えます。

2024年に亡くなった人は1,605,378人です。そのうち相続税の申告書が出された人は166,730人で、課税割合は10.4%でした(国税庁 令和6年分 相続税の申告事績の概要)。東京都は20.0%、神奈川県は15.5%、千葉県は11.3%、山梨県は8.1%です(東京国税局)。

期限は10か月です

申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。提出先は、亡くなった人の住所地を管轄する税務署で、相続人の住所地ではありません(国税庁 No.4205)。期限が土日祝日にあたる場合は、その翌日が期限になります。

納税も同じ期限です。期限までに納めないと延滞税がかかります。金銭で一度に納められない場合の延納と、財産そのもので納める物納は、期限までに申請して許可を受ける必要があります。

注意

相続登記の期限は3年、空き家の3,000万円特別控除は相続から3年目の年末までです。相続税の10か月が最も早い期限になります。遺産分割がまとまっていなくても、法定相続分で仮に申告し、後で修正する方法があります。

実家の評価はどう出しますか

土地は、路線価が定められている地域では路線価方式で評価します。路線価に奥行きなどの補正率をかけ、面積をかけて計算します。路線価がない地域は、固定資産税評価額に倍率をかける倍率方式です(国税庁 No.4602)。

路線価は、地価公示価格等の80%程度を目途に定められています(国税庁 令和7年分の路線価等について)。建物は、固定資産税評価額と同じ額で評価します(国税庁 No.4602)。古い木造の空き家は、建物の評価額が数十万円まで下がっていることが多く、評価の大半は土地です。

掲載市の地価で見る、土地の評価の目安

掲載市の住宅地の公示地価に0.8をかけて、路線価の目安を出しました。そのうえで土地150㎡の評価額を計算しました(2026年9月時点、補正率は考慮していません)。実際の路線価は道路ごとに違うため、目安として見てください。

市(住宅地の地価) 路線価の目安 150㎡の評価額 小規模宅地の特例(80%減)後
一関市(1.66万円/㎡) 約1.3万円/㎡ 約199万円 約40万円
新潟市(5.57万円/㎡) 約4.5万円/㎡ 約668万円 約134万円
千葉市(12万円/㎡) 約9.6万円/㎡ 約1,440万円 約288万円
名古屋市(23万円/㎡) 約18.4万円/㎡ 約2,760万円 約552万円
横浜市(26.6万円/㎡) 約21.3万円/㎡ 約3,192万円 約638万円
足立区(40.5万円/㎡) 約32.4万円/㎡ 約4,860万円 約972万円
杉並区(70.9万円/㎡) 約56.7万円/㎡ 約8,508万円 約1,702万円

足立区や杉並区では、150㎡の土地だけで相続人1人の基礎控除3,600万円を超えます。地方の市では、土地の評価は数百万円で、預金と合わせても基礎控除に届かない家が多くなります。

ポイント

自分の実家の路線価は、国税庁の路線価図で道路ごとに調べられます。固定資産税の課税明細書にある土地の評価額を0.7で割ると、公示地価に近い水準になり、その0.8倍が路線価の目安です。

空き家で小規模宅地等の特例は使えますか

小規模宅地等の特例は、亡くなった人が住んでいた土地の評価を、330㎡まで80%減らす制度です(国税庁 No.4124)。取得する人によって条件が違います。

取得する人 条件
配偶者 条件なし
同居していた親族 申告期限まで住み続け、土地を持ち続ける
同居していない親族(家なき子) 配偶者も同居相続人もいない。相続前3年以内に自分や配偶者などが持つ家に住んでいない。申告期限まで土地を持ち続ける

親が一人暮らしで、子が自分の持ち家に住んでいる場合は、家なき子の条件を満たしません。親の死後に空き家になった実家の多くは、この特例が使えず、土地は減額なしで評価されます。

親が老人ホームに入っていて実家が空き家だった場合は、入所前に住んでいた土地として特例の対象になり得ます(国税庁 No.4124)。入所の事由などに条件があります。

注意

特例を使うと基礎控除以下になる場合でも、申告は必要です。特例は申告書に適用を受ける旨を記載して初めて使えます(国税庁 No.4124)。申告しないまま期限を過ぎると、特例なしの評価で税額が決まります。

相続税を払った家を売るときの特例

相続税を納めた人が実家を売る場合、納めた相続税のうち実家に対応する分を取得費に加算できます。期限は、相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日までの売却です(国税庁 No.3267)。相続から3年10か月が目安になります。

売却の税金は実家を売ったときの税金にあります。相続税の評価額は路線価が元で、売れる値段とは別の数字です。売れる値段の目安は空き家の買取価格はどう決まりますかにあります。

まずやること

  1. 法定相続人の数を確かめ、基礎控除額を出す
  2. 固定資産税の課税明細書で、実家の土地と建物の評価額を確かめる
  3. 国税庁の路線価図で、実家の前の道路の路線価を調べる
  4. 預金、株、保険金、借金を一覧にし、基礎控除と比べる
  5. 超えそうなら、10か月の期限から逆算して税理士に相談する
  6. 先に空き家の診断で買取価格の目安を出し、納税資金の見当をつける

まとめ

  • 申告の要否は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えるかで決まります
  • 期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月で、納税も同じ期限です
  • 空き家になった実家は小規模宅地等の特例が使えないことが多く、土地は減額なしで評価されます
  • 都市部では150㎡の土地だけで基礎控除を超える市があります
  • 相続税を払った家は、3年10か月以内に売ると取得費加算が使えます

よくある質問

Q. 財産が基礎控除以下なら、何も出さなくてよいですか
申告も納税も不要です(国税庁 No.4205)。ただし、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使った結果として基礎控除以下になる場合は、申告が必要です。特例は申告書に記載して初めて使えます。基礎控除の判定は、特例を使う前の評価額で行います。
Q. 空き家の建物にも相続税の評価はつきますか
つきます。建物は固定資産税評価額と同じ額で評価します(国税庁 No.4602)。古い木造住宅は評価額が数十万円まで下がっていることが多く、財産の大半は土地の評価です。評価額は固定資産税の課税明細書で確かめられます。
Q. 親が老人ホームで亡くなり、実家は空き家でした。小規模宅地等の特例は使えますか
入所などの事由で住めなくなっていた土地は、入所前に住んでいた土地として特例の対象になり得ます(国税庁 No.4124)。取得する人の条件は別に必要で、持ち家のある子が取得する場合は家なき子の条件を満たしません。適用できるかは税理士に確認します。
Q. 10か月以内に遺産分割がまとまらない場合はどうしますか
期限は延びません。法定相続分で分けたものとして申告と納税を済ませ、分割がまとまった後に更正の請求か修正申告をします(国税庁 No.4208)。小規模宅地等の特例は未分割では使えません。申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を付けておけば、申告期限から3年以内の分割で後から適用できます。更正の請求は分割の翌日から4か月以内です。期限内に何も出さないと延滞税の対象になります。
Q. 相続税を払った実家を売ると、税金は安くなりますか
相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日までに売ると、納めた相続税のうち実家に対応する分を取得費に加算できます(国税庁 No.3267)。加算額は譲渡益が上限です。相続から3年10か月が目安で、この期限と空き家の3,000万円特別控除の期限を並べて売る時期を決めます。

壊す前に、査定を取る

建物を残したまま買い取る業者もあります。査定は無料で、金額を見てから断れます。 市ごとの補助金は、市区町村のページに載せています。

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お住まいの市の条件で計算する

建物を残して売った場合の手取りと、解体した場合の自己負担を、市の地価と補助制度から計算します。 所要時間は1分です。名前や連絡先の入力はありません。

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出典

  1. 国税庁|No.4152 相続税の計算(基礎控除 3,000万円+600万円×法定相続人の数、放棄した人も人数に含む)
  2. 国税庁|No.4155 相続税の税率(速算表)
  3. 国税庁|No.4205 相続税の申告と納税(10か月以内、提出先は被相続人の住所地の税務署、延滞税)
  4. 国税庁|No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例。330㎡・80%、家なき子の要件、老人ホーム入所)
  5. 国税庁|No.4602 土地家屋の評価(路線価方式・倍率方式、家屋は固定資産税評価額×1.0)
  6. 国税庁|令和7年分の路線価等について(路線価は地価公示価格等の80%程度を目途)
  7. 国税庁|No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(申告期限の翌日以後3年を経過する日まで)
  8. 国税庁|令和6年分 相続税の申告事績の概要(死亡者数1,605,378人、申告書提出166,730人、課税割合10.4%)
  9. 東京国税局|令和6年分 相続税の申告事績の概要(東京都20.0%、神奈川県15.5%、千葉県11.3%、山梨県8.1%)
  10. 国税庁|No.4208 相続財産が分割されていないときの申告(法定相続分で申告、申告期限後3年以内の分割見込書、更正の請求は分割の翌日から4か月以内)

記事の内容は、2026年10月11日時点の各出典にもとづいています。

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この記事の情報について

一般的な情報としてまとめたものです。控除が使えるかどうかや税額は、物件と世帯の事情で変わります。 最終的な判断は、税理士や司法書士、または管轄の税務署と法務局に確かめてから決めてください。