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空き家の売り方

人が亡くなった実家は告知が必要ですか

親が実家で病気や老衰で亡くなった場合は、原則として買主への告知は要りません。転倒や誤嚥のような日常の事故も同じです(国土交通省のガイドライン、2021年10月)。発見が遅れて特殊清掃が入った場合と、自殺や事故死の場合は告知が必要で、売買には賃貸のような3年の期限がありません。告げるのは発生時期、場所、死因、特殊清掃の有無の4つです。知りながら告げずに売ると、免責特約があっても契約不適合責任を問われます。ガイドラインの原文と警察庁の統計をもとに、告知の要否と告知書の書き方をまとめます(2026年9月時点)。

更新日
2026年9月23日
木々に囲まれた住宅地の道と古い家

3つの売り方の比較

項目 仲介で売る買取で売るそのまま持つ
現金になるまで 目安は3〜6か月です。買い手が見つかるまで進みません。目安は数日〜1か月です。査定額に納得すれば契約に進みます。—
手元に残る額 市場価格に近い金額です。仲介手数料が引かれます。市場価格より低くなります。仲介手数料はかかりません。固定資産税と管理費が毎年かかります。
向いている場合 駅に近い、建物がまだ使えるなど、買い手が見込める家早く手放したい場合。傷みや家財があり、そのままでは売りにくい家子どもが使う予定があるなど、手放さない理由がある場合
気をつけること 売れ残ると値下げが続きます。引き渡し後の不具合に責任を負う場合があります。提示額は業者で差が出ます。2社以上で比べてください。管理が行き届かないと、特定空家等に指定される場合があります。

仲介手数料の上限

売買価格が400万円を超える場合、仲介手数料の上限は「売買価格の3%+6万円」に消費税を加えた額です。 800万円以下の物件は、税込33万円まで受け取れる決まりがあります(2024年7月から)。 根拠は宅地建物取引業法46条と、国土交通省の告示です。

特定空家等または管理不全空家等に指定されて勧告を受けると、住宅用地の特例が外れます。 土地の固定資産税が上がるため、持ち続ける場合にも費用がかかります。

「父が実家で亡くなった。売るときに、買主へ言わなければならないのか」親を自宅で看取った、または一人暮らしの親が家の中で亡くなった人に向けて書いています。

結論

病気や老衰で亡くなった場合は、原則として告知は要りません。転倒や誤嚥のような日常の事故も同じです(国土交通省のガイドライン、2021年10月)。発見が遅れて特殊清掃が入った場合は、告知が必要になります。売買には「何年たてば不要」という期限がありません。告げるのは発生時期、場所、死因、特殊清掃の有無の4つで、名前や亡くなり方の詳しい説明は要りません。

この記事で分かること

  • 告知が要る死と要らない死を、国のガイドラインの原文で区別する方法
  • 発見までの日数が判断を分ける理由と、警察庁の統計に見る実態
  • 告げずに売ったときに買主から何を請求されるか、告知書に何を書くか

こんな場合は診断へ

  • 親が実家で亡くなり、売るときに買主へどう伝えるか決めていない
  • 発見が遅れて清掃業者を入れたが、不動産会社にまだ話していない
  • 告知が要るなら値段が下がると聞いて、売るか壊すか迷っている

一つでも当てはまる場合は、空き家の診断で、売れるかどうかと手取りの目安が出ます。入力は約1分です。

告知の決まりは国のガイドラインにあります

不動産の取引で人の死をどう扱うかは、国土交通省のガイドラインに定められています。正式な名前は「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」で、2021年10月に公表されました。それまでは決まった基準がなく、不動産会社ごとに判断が分かれていました。

ガイドラインは、老衰や持病による病死を「自然死」と呼びます。自然死は「居住用不動産について発生することは当然に予想されるもの」とされ、売買でも賃貸でも「これを告げなくてもよい」と書かれています。親が実家で病気や老衰で亡くなったこと自体は、告知の対象ではありません。

日常生活の中の事故も同じ扱いです。ガイドラインは「自宅の階段からの転落や、入浴中の溺死や転倒事故、食事中の誤嚥」を例に挙げ、告げなくてもよいとしています。

例外が2つあります。1つは、自然死や日常の事故でも「特殊清掃等が行われた場合」です。もう1つは、自殺、他殺、火災などの事故死です。この2つは、買主の判断に重要な影響を及ぼすとして、告知の対象になります。

用語

特殊清掃等 ガイドラインの脚注では「孤独死などが発生した住居において、原状回復のために消臭・消毒や清掃を行うサービス」と説明されています。大規模なリフォームも「等」に含まれます。通常の遺品整理や家財の処分は、ここに入りません。

売買には「3年」の目安がありません

賃貸では、告知が必要な死でも「概ね3年間を経過した後は、原則として、借主に対してこれを告げなくてもよい」と定められています。この3年という数字が、売買にも当てはまると誤解されがちです。

ガイドラインは、3年の目安を賃貸借取引に限って書いています。売買については、期間の定めがありません。10年前の出来事でも、買主の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は告げる必要があります。

亡くなり方 売買での告知 賃貸での告知
病院や施設で亡くなった 不要 不要
自宅で病死・老衰、すぐに発見された 不要 不要
自宅で転倒・誤嚥などの事故、すぐに発見された 不要 不要
自宅で自然死だが、発見が遅れて特殊清掃が入った 必要(期限なし) 必要(概ね3年)
自殺・他殺・火災などの事故死 必要(期限なし) 必要(概ね3年)
隣の家や、日常使わない共用部分で起きた死 原則不要 原則不要

表はガイドラインの区分をもとにまとめたものです(2026年9月時点)。買主から聞かれた場合や、事件として報道されたような場合は、表で「不要」の欄でも告げる必要があります。

発見までの日数が分かれ道になります

親が一人暮らしだった場合、問題になるのは亡くなり方より、発見までの時間です。発見が遅れると特殊清掃が必要になり、自然死でも告知の対象に変わります。

警察庁の集計では、2024年に自宅で亡くなった一人暮らしの人は76,020人でした。警察が取り扱った遺体204,184人の37.2%にあたります。うち65歳以上は58,044人です。

発見までの日数を見ると、1日以内が28,756人、2〜3日が15,421人、4〜7日が9,987人です。8日以上たって発見された人は、合計で21,856人います。全体の約29%です。

ポイント

一人暮らしの親が自宅で亡くなった人のうち、およそ3割が発見まで8日以上かかっています。この場合は特殊清掃が入ることが多く、亡くなった原因が病気でも告知の対象になります。清掃業者の領収書や作業報告書は、告知書を書くときの資料になるので残しておきます。

告げずに売ると、買主から何を請求されますか

2020年4月に施行された改正民法では、売った物が契約の内容に合わないときの責任を「契約不適合責任」と呼びます。人の死の告知が要る家を、告げずに「普通の家」として売ると、この責任を問われます。

買主が請求できるのは、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除の4つです(東京都住宅政策本部の資料)。人の死は修理で直せないので、実際には代金の減額か損害賠償、または解除が争点になります。

期限もあります。買主は、契約不適合を知ってから1年以内に売主へ通知しなければなりません(民法第566条)。逆に言うと、売った後に1年で消える責任ではなく、買主が知った時から1年です。引き渡しから何年たっても、買主が事実を知った日が起点になります。

注意

個人が売主の場合、契約書に「契約不適合責任を負わない」という免責の特約を付けられます。ただし、民法第572条により、売主が知りながら告げなかった事実については、特約があっても免責されません。人の死を知っていて黙っていた場合、免責特約は役に立ちません。売主が不動産会社の場合は、宅地建物取引業法第40条で、責任の期間を引き渡しから2年以上とする特約しか認められていません。

告知書に何を書きますか

不動産会社に仲介を頼むと、売主は「告知書(物件状況等報告書)」を書きます。ガイドラインは、不動産会社が売主にこの書面への記載を求めることで「通常の情報収集としての調査義務を果たしたものとする」と定めています。不動産会社は自分で調べる義務を負わず、売主が書いた告知書がそのまま判断の土台になります。

書く内容は4つです。事案の発生時期、場所、死因、特殊清掃等の有無です。特殊清掃が行われた場合は、発生時期の代わりに発覚した時期を書きます。ガイドラインの原文では、告げる項目はこの4つに限られています。

書かなくてよいものも決まっています。亡くなった人の氏名、年齢、住所、家族構成、具体的な死の態様、発見状況は不要です。「2024年3月、2階の寝室で、病死。発見が遅れ、同年4月に特殊清掃を実施」という程度の記載で足ります。

ポイント

死因が分からない場合は「不明」と書きます。警察の検視で死因が確定しなかった場合や、死亡診断書を見ていない場合は、推測で「病死」と書かないほうが安全です。書いた内容と事実が違うと、契約不適合責任の話になります。

建物を壊して土地で売る場合

「家を壊して更地にすれば告知は要らない」という説明を見かけます。ガイドラインは、この点をはっきり対象外にしています。原文は「人の死が生じた建物が取り壊された場合の土地取引の取扱い」を挙げたうえで、「現時点では、本ガイドラインの対象としていない」と書いています。理由は、裁判例や実務の蓄積がないことです。

つまり、更地にすれば告知が不要になるとも、必要になるとも書かれていません。買主から聞かれたときに事実を答える前提で、不動産会社と相談して決めます。解体を選ぶ場合は、解体費と土地の値段を先に比べます。

市 土地180㎡の値段 解体費(延床112㎡) 市の補助 買取の目安
徳島市 約1,312万円 約183万円 30万円(上限) 613万〜891万円
山形市 約1,057万円 約180万円 約72万円 474万〜690万円
青森市 約605万円 約173万円 30万円(上限) 229万〜334万円

このサイトの計算です(2026年9月時点。地価は令和8年地価公示の住宅地平均、解体費は地価からの推計)。補助は各市の除却補助の上限や計算式を当てはめた額で、山形市は2026年度の受付が終わっています。市ごとの条件は徳島市、山形市、青森市のページにあります。解体してから売るか、そのまま売るかの考え方は更地にしてから売るか、そのまま売るかにまとめています。

値段への影響と売り方

告知が要る家がいくら下がるかは、一律の数字がありません。買主が個人か業者か、立地、経過した年数で変わります。仲介で個人の買主を探す場合、内覧の段階で告知事項を伝えるので、検討から外れる人が出ます。

買取は、不動産会社が自分で買うので、告知事項があっても査定を受け付けます。訳あり物件を専門に扱う買取業者は、人の死があった家を扱った経験があり、告知の手順も業者側が案内します。仲介と買取の違いは空き家は仲介と買取、どちらで売るべきですかにまとめています。

特殊清掃が済んでいない家は、清掃と家財の処分の費用が査定額から引かれます。家財が残っている家の費用の目安は空き家の家財処分はいくらかかりますかを参照してください。土地の値段が解体費を下回る家は、診断で売る以外も考える家と判定されます。このタイプでも、訳あり物件専門の買取業者は全国で査定を受け付けています。

まずやること

  1. 死亡診断書か死体検案書を確認し、死因と亡くなった場所を控えます
  2. 発見までの日数と、特殊清掃を頼んだかどうかを整理します。業者の領収書を残します
  3. 上の表で、告知が要るケースに当たるかを確認します。迷う場合は「要る」側で扱います
  4. 相続登記を済ませます。名義が親のままでは売買契約ができません(相続した空き家を売るまでの流れ)
  5. 不動産会社に事実をそのまま伝え、告知書の書き方を相談します。仲介と買取の両方で査定を取ります

まとめ

  • 病死・老衰・日常の事故は、原則として告知不要(国土交通省ガイドライン、2021年10月)
  • 特殊清掃が入った場合と、自殺・事故死は告知が必要。売買には3年の期限がない
  • 告げるのは発生時期・場所・死因・特殊清掃の有無の4つ。氏名や詳しい経緯は不要
  • 知りながら告げなかった場合、免責特約があっても契約不適合責任を問われる(民法第572条)
  • 更地にした場合の扱いはガイドラインの対象外。事実を伝える前提で不動産会社と決める

よくある質問

Q. 親が実家で病死しました。売るときに買主へ言う必要がありますか
原則として要りません。国土交通省のガイドライン(2021年10月)は、老衰や持病による病死を自然死と呼び、売買でも賃貸でも告げなくてよいとしています。階段からの転落、入浴中の事故、食事中の誤嚥のような日常の事故も同じ扱いです。例外は、発見が遅れて特殊清掃が行われた場合です。この場合は自然死でも告知の対象になります。
Q. 3年たてば告知しなくてよいと聞きました
3年の目安は賃貸に限った決まりです。ガイドラインは、賃貸では告知が必要な死でも概ね3年を過ぎれば原則として告げなくてよいとしています。売買については期間の定めがありません。何年前の出来事でも、買主の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は告げる必要があります。買主から聞かれた場合も同じです。
Q. 告知書には、どこまで詳しく書きますか
書くのは4つです。事案の発生時期(特殊清掃が行われた場合は発覚した時期)、場所、死因、特殊清掃の有無です。死因が分からない場合は「不明」と書きます。亡くなった人の氏名、年齢、住所、家族構成、具体的な死の態様、発見の状況は書く必要がありません。ガイドラインが、告げる内容をこの範囲に定めています。
Q. 免責特約を付ければ、告知しなくても責任を負いませんか
負います。個人が売主の場合、契約不適合責任を負わない特約は付けられます。ただし民法第572条により、売主が知りながら告げなかった事実については、特約があっても免責されません。人の死を知っていて告知書に書かなかった場合、買主は代金の減額や損害賠償、契約の解除を請求できます。期限は、買主が事実を知ってから1年以内の通知です(民法第566条)。
Q. 家を壊して更地にすれば、告知は要りませんか
決まっていません。ガイドラインは、人の死があった建物を取り壊した後の土地の取引について、裁判例や実務の蓄積がないとして対象外にしています。更地にすれば不要になるとも、必要になるとも書かれていません。買主から聞かれたら事実を答える前提で、不動産会社と相談して決めます。解体を選ぶ前に、解体費と土地の値段を市のページで比べてください。

査定は2社以上で比べる

買取の提示額は、業者によって差が出ます。複数の金額を見てから決めてください。 市ごとの解体費との比較は、市区町村のページに載せています。

建物を残したまま、無料で査定を頼む

広告当サイトは提携先から報酬を受け取ることがあります。査定は無料で、依頼しても売る義務はありません。

お住まいの市の条件で計算する

建物を残して売った場合の手取りと、解体した場合の自己負担を、市の地価と補助制度から計算します。 所要時間は1分です。名前や連絡先の入力はありません。

お住まいの地域の条件で診断する

出典

  1. 国土交通省|宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン(令和3年10月)
  2. 東京都住宅政策本部|不動産取引における契約不適合責任・瑕疵担保責任について
  3. 警察庁|令和6年中における警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者について
  4. 警察庁|自宅において死亡した一人暮らしの者(令和6年)年齢階層別・経過日数別
  5. 青森市|令和8年度青森市放置危険空き家対策事業(補助金)
  6. 山形市|山形市老朽危険空き家除却補助事業補助金
  7. 徳島市|危険廃屋解体支援事業について

記事の内容は、2026年9月23日時点の各出典にもとづいています。

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この記事の情報について

一般的な情報としてまとめたものです。実際の売却条件や税額は、物件ごとに変わります。 契約の前に、宅地建物取引業者と税理士に確かめてください。