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相続した家の手続き

相続人がいない空き家はどうなりますか

相続人がいない家は、家庭裁判所が選んだ相続財産清算人が売却や清算をして、残りが国庫に入ります。相続人を探す公告だけで6か月以上かかり、申立ての費用は収入印紙800円と官報公告料5,582円に加え、東京家庭裁判所では原則100万円の予納金を求められます(裁判所、2026年10月時点)。川口市の例では予納金100万円のうち674,855円が戻りました。相続土地国庫帰属制度との違いと、遺言書(法務局保管3,900円)による備えまでまとめています。

更新日
2026年10月19日
木々に囲まれた住宅地の道と古い家

期限の一覧

期限 手続き
3か月 相続の開始を知った日から 相続放棄 借金のほうが多い場合の手続きです。家財を処分すると、放棄できなくなる場合があります。
10か月 相続の開始を知った日の翌日から 相続税の申告と納付 遺産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合だけ必要です。
3年 相続で取得したと知った日から 相続登記の申請 2024年4月1日から義務です。それより前に起きた相続は、2027年3月31日が期限です。
3年目の12月31日 相続が始まった日から 3,000万円の特別控除を使った売却 正確には「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日」までです。
3年10か月 相続が始まった日から 取得費加算の特例を使った売却 相続税の申告期限の翌日から3年以内です。特別控除とは、どちらか一方を選びます。
2027年12月31日 制度そのものの期限 空き家の特別控除の適用期限 自分の3年の期限より、制度の期限が先に来る場合があります。早いほうが締め切りです。
翌年3月15日 売った年の 譲渡所得の確定申告 控除で税額が0円になる場合も申告が必要です。申告しないと、控除は適用されません。

期限は、物件や相続の事情で変わります。自分の場合の期限は、司法書士か税理士に確かめてください。

「子どもも兄弟もいない。自分が死んだら、この家はどうなるのか」相続人がいない人の家をどうするか、本人や周りの人が考え始めたときに向けて書いています。

結論

結論から書きます。相続人がいない家は、家庭裁判所が選んだ相続財産清算人が売却や清算をして、残りが国庫に入ります。相続人を探す公告だけで6か月以上かかり、申立人は予納金を求められます。東京家庭裁判所の目安は原則100万円です(2026年10月時点)。生前に遺言書を残せば、この手続きを避けられます。法務局での保管は1通3,900円です。

この記事で分かること

  • 相続人がいない家が国のものになるまでの手続きと期間
  • 相続財産清算人の申立てにかかる費用と、戻ってくる予納金
  • 相続土地国庫帰属制度との違いと、生前にできる備え

こんな場合は診断へ

  • 配偶者も子も親も兄弟もおらず、家を継ぐ人がいません
  • 近所の空き家の持ち主が亡くなり、相続人がいないと聞きました
  • 自分の家を、生きているうちに手放すか決めたいです

一つでも当てはまる場合は、空き家の診断で、その市の土地の値段から売却の目安を出せます。所要時間は約1分です。

相続人がいないとはどういう状態ですか

民法が定める相続人は、配偶者、子、親などの直系尊属、兄弟姉妹です。兄弟姉妹が先に亡くなっていれば、その子(おい・めい)までが相続人になります。この全員がいない場合が、相続人の不存在です。

相続人の全員が相続放棄をした場合も、同じ扱いです。裁判所は「相続人全員が相続放棄をして、結果として相続する者がいなくなった場合も含まれる」と案内しています(2026年10月時点)。

用語

相続財産清算人 相続人がいない人の財産を管理し、借金を払い、残りを国に引き渡す人です。家庭裁判所が弁護士などから選びます。令和5年3月までは「相続財産管理人」と呼ばれていました。

家が国のものになるまでの流れ

相続人がいない家は、自動的に国のものにはなりません。誰かが家庭裁判所に申立てをして、清算人が選ばれてから手続きが進みます。

段階 内容 期間
1. 申立て 利害関係人か検察官が、亡くなった人の最後の住所地の家庭裁判所に申し立てる —
2. 清算人の選任と公告 家庭裁判所が清算人を選び、相続人がいれば名乗り出るよう官報で公告する 6か月以上
3. 債権者への公告 清算人が、債権者と受遺者に請求を申し出るよう公告する 2か月以上(2の期間内に終える)
4. 清算 家を売るなどして現金にし、借金や費用を払う 家の売却に家庭裁判所の許可
5. 特別縁故者の申立て 世話をしていた人などが財産の分与を申し立てる 2の期間が終わってから3か月以内
6. 国庫帰属 残った財産を国に引き渡す。不動産は財務局が引き受ける —

相続人を探す公告の期間は、民法952条で6か月を下回れないと決まっています。令和5年4月1日の改正前は、公告を順番に行う必要があり、権利の確定まで10か月以上かかっていました(東京弁護士会、2023年5月)。

公告の6か月と特別縁故者の3か月を合わせ、権利が確定するまで9か月以上かかります。家の売却と国への引き渡しは、そのあとに進みます。清算人が家を売るには、家庭裁判所の許可が別に必要です。

注意

相続人を探す公告の期間が終わると、特別縁故者の申立ては3か月以内に限られます。裁判所から期間の連絡は来ません。大阪家庭裁判所は、選任から2〜3か月を目途に自分で確かめるよう案内しています(令和7年1月改訂)。

申立ての費用はいくらかかりますか

申立てには、収入印紙800円と連絡用の郵便切手、官報公告料5,582円がかかります(裁判所、2026年10月時点)。これに加えて、清算人の報酬や管理費が財産から足りない見込みのとき、申立人は予納金を納めます。

家庭裁判所 予納金の目安
東京家庭裁判所 原則として100万円(令和6年10月版の案内)
札幌家庭裁判所 原則として、官報公告料を除き100万円
名古屋家庭裁判所 70万円程度。事案により超える場合もある(令和5年4月版)

予納金は、家が売れて費用が賄えれば戻ってきます。埼玉県川口市が市長として申し立てた例では、予納金100万円を納め、空き家は現状のまま40万円で売れました。返還された予納金は674,855円で、差額の約33万円が清算人の報酬などに充てられました(埼玉県空き家対策連絡会議、令和4年7月)。

ポイント

家の売却代金が清算の費用を下回ると、予納金は戻りません。土地の値段が低い地域の空き家ほど、申立人の持ち出しが大きくなります。申立ての前に、その市の土地の値段で売却の目安を確かめてください。

誰が申し立てますか

申立てができるのは、利害関係人と検察官です。利害関係人には、亡くなった人にお金を貸していた人、遺贈を受けた人、特別縁故者が入ります。

市町村長も申し立てられます。空家等対策特別措置法14条で、空き家の管理に特に必要があるときに、市町村長が家庭裁判所に清算人の選任を請求できます。最高裁判所の調査では、令和5年の相続財産清算人の選任申立て6,948件のうち、国や地方公共団体などからの申立てが870件で13%でした。

相続放棄をした人にも、義務が残ることがあります。放棄のときに家を現に占有している人は、清算人に引き渡すまで、自分の財産と同じ注意で保存します(民法940条、令和5年4月改正)。鍵を持ち、家財を置いたままの人は、この占有に当たると国土交通省と総務省が示しています(令和5年3月)。放棄の前に知っておきたい点は、空き家だけ相続放棄することはできますかにまとめています。

相続土地国庫帰属制度とは別の制度です

「土地を国に引き取ってもらう」と聞くと、相続土地国庫帰属制度を思い浮かべる人が多いです。2つは別の制度で、使える人が違います。

比べる点 相続人不存在の国庫帰属 相続土地国庫帰属制度
使える人 相続人がいない人の財産(申立ては利害関係人など) 相続で土地を取得した相続人
建物がある土地 清算の対象になる。残れば建物付きでも国庫へ 申請できない(却下)
費用 印紙800円、公告料5,582円、予納金 審査手数料1筆14,000円、負担金原則20万円
期間 公告6か月以上+特別縁故者3か月+清算 標準処理期間8か月(京都地方法務局)
田畑や山林 財務局が管理 要件を満たせば可。森林は面積で負担金を計算

財務省は、相続人不存在の場合は「建物や土壌汚染がある土地等であっても国庫に帰属」すると説明しています(財政制度等審議会、令和7年6月)。相続土地国庫帰属制度は、建物を壊してからでないと申請できません。相続人がいる人が土地を手放す方法は、相続土地国庫帰属制度で空き家を手放せますかに書いています。

生前にできる備え

相続人がいない人は、自分の家の行き先を自分で決められます。決めずに亡くなると、上の手続きに9か月以上と予納金がかかり、残りは国に入ります。

遺言書で遺贈先を決める

遺言書で、家を渡す相手を指定できます。相続人でない人や、自治体、団体への遺贈も書けます。自筆証書遺言は法務局で保管でき、手数料は1通3,900円です。家庭裁判所の検認が要らず、紛失や改ざんを防げます(法務省、2026年10月時点)。

公正証書遺言の手数料は、財産の額で決まります。2025年10月1日から改定され、目的価額500万円までは1万3,000円、1,000万円までは2万円、3,000万円までは2万6,000円です。これに遺言加算1万3,000円が付きます(日本公証人連合会、2025年8月時点)。

自治体に遺贈する場合は、受け入れの条件を先に確かめます。世田谷区は、不動産は面積や形状によって受けられない場合があると案内しています(2025年4月時点)。箕面市は、不動産は原則として換金したうえでの寄附を求めています(2026年4月時点)。

生きているうちに売る

家を現金に変えておけば、遺言で分けやすくなり、空き家のまま残りません。買取業者は、建物が古くてもそのまま査定を受け付けます。判断能力があるうちに決めることが条件です。売る以外の選択肢を含めて比べたい人は、診断の「売る以外も考える家」の案内が参考になります。

死後の手続きを頼む

葬儀や家の片付けを頼む相手がいない人は、死後事務委任契約を公正証書で結べます。公証人の手数料は、2025年10月から通常の委任契約の半額になりました(日本公証人連合会)。

まとめ

  • 相続人がいない家は、相続財産清算人が清算し、残りが国庫に入ります
  • 公告は6か月以上で、権利の確定まで9か月以上かかります。清算人が家を売るには家庭裁判所の許可が要ります
  • 申立ての費用は印紙800円と公告料5,582円、予納金は東京で原則100万円です
  • 相続土地国庫帰属制度は相続人向けの制度で、建物がある土地は申請できません
  • 遺言書の法務局保管は3,900円で、この手続きを避けられます

まずやること

  1. 戸籍で、兄弟姉妹やおい・めいまで相続人がいないかを確かめる
  2. 家の固定資産税の納税通知書と登記事項証明書をそろえる
  3. 家の行き先(遺贈する相手、売却、寄附)を決める
  4. 自筆証書遺言を書き、法務局に保管を申請する(1通3,900円)
  5. 近所の空き家の持ち主に相続人がいない場合は、市の空き家担当課に相談する
  6. 売る場合の手取りは、診断でその市の土地の値段から確かめる

相続人の範囲や遺言の書き方は、家庭ごとに違います。申立てや遺言の前に、弁護士、司法書士、または市の相談窓口で確認してください。

よくある質問

Q. 相続人がいない人の家は、申立てをしなくても国のものになりますか
なりません。利害関係人か検察官が家庭裁判所に申し立て、相続財産清算人が選ばれてから手続きが進みます。誰も申し立てなければ、亡くなった人の名義のまま空き家として残ります。市町村長は、空家等対策特別措置法14条に基づいて申立てができます(2026年10月時点)。
Q. 予納金は必ず100万円かかりますか
家庭裁判所が財産の内容を見て決めます。東京家庭裁判所は原則100万円、名古屋家庭裁判所は70万円程度を目安にしています(令和6年10月版、令和5年4月版の案内)。財産が多く、清算の費用を賄える見込みなら、求められないこともあります。家が売れれば、費用を引いた残りが戻ります。
Q. 亡くなった人の世話をしていました。家をもらえますか
特別縁故者として、家庭裁判所に財産分与を申し立てられます(民法958条の2)。生計を同じくしていた人や、療養看護に努めた人が対象です。申立ての期限は、相続人を探す公告の期間が終わってから3か月以内です。分与が認められるかは、家庭裁判所が決めます。
Q. 相続人全員が相続放棄をした空き家は、誰が管理しますか
放棄のときに家を現に占有している人は、清算人に引き渡すまで、自分の財産と同じ注意で保存する義務があります(民法940条、令和5年4月改正)。鍵を持ち、家財を置いたままの人が当たります。占有していない人には義務がありません。清算人を選ぶには、利害関係人か市町村長の申立てが必要です。
Q. 遺言で自治体に家を寄附できますか
遺言書に遺贈先として書けます。受け入れるかは自治体が決めます。世田谷区は、不動産は面積や形状によって受けられない場合があると案内しています(2025年4月時点)。箕面市は、不動産は原則として換金したうえでの寄附を求めています(2026年4月時点)。先に自治体へ相談し、公正証書遺言と遺言執行者の指定を勧める自治体が多いです。

壊す前に、査定を取る

建物を残したまま買い取る業者もあります。査定は無料で、金額を見てから断れます。 市ごとの補助金は、市区町村のページに載せています。

建物を残したまま、無料で査定を頼む

広告当サイトは提携先から報酬を受け取ることがあります。査定は無料で、依頼しても売る義務はありません。

お住まいの市の条件で計算する

建物を残して売った場合の手取りと、解体した場合の自己負担を、市の地価と補助制度から計算します。 所要時間は1分です。名前や連絡先の入力はありません。

お住まいの地域の条件で診断する

出典

  1. 裁判所|相続財産清算人の選任(申立人、収入印紙800円、官報公告料5,582円、予納金、相続人全員が相続放棄した場合も含む)
  2. 東京家庭裁判所|相続財産清算人選任申立ての案内(予納金 原則100万円、令和6年10月版)
  3. 名古屋家庭裁判所|相続財産清算人選任申立ての手引き(予納金 70万円程度)
  4. 札幌家庭裁判所|相続財産清算人選任申立て(予納金 原則100万円)
  5. 熊本家庭裁判所|相続財産の清算人の職務について(公告6か月、請求申出2か月、不動産の処分には家庭裁判所の許可、新旧法の適用)
  6. 裁判所|特別縁故者に対する相続財産分与(公告期間満了後3か月以内)
  7. 大阪家庭裁判所|特別縁故者の財産分与申立ての手引き(令和7年1月改訂、期間は自分で確認)
  8. 東京弁護士会 LIBRA 2023年5月号|相続財産清算人の公告期間の短縮(改正前は10か月以上)
  9. 国土交通省・総務省|相続放棄者の空き家の管理責任の考え方について(民法940条、現に占有の例)
  10. 最高裁判所|財産管理人等選任事件の新受件数(令和5年 相続財産清算人 6,948件、国・地方公共団体等 870件)
  11. 国土交通省|空き家対策における財産管理制度の活用に関する参考資料(空家法14条による市町村長の申立て)
  12. 埼玉県空き家対策連絡会議|川口市の相続財産管理人申立て事例(予納金100万円、売却40万円、返還674,855円)
  13. 財務省理財局|相続土地国庫帰属制度等に係る現状と課題(相続人不存在は建物付きでも国庫帰属、令和7年6月)
  14. 法務省|相続土地国庫帰属制度(審査手数料 1筆14,000円、負担金 原則20万円、建物がある土地は不可)
  15. 京都地方法務局|相続土地国庫帰属制度(標準処理期間8か月)
  16. 法務省|自筆証書遺言書保管制度の手数料(保管の申請 1通3,900円)
  17. 日本公証人連合会|公正証書の手数料が変わります(2025年10月1日改定、遺言加算1万3,000円、死後事務委任契約は半額)
  18. 世田谷区|遺贈・相続財産の寄附(不動産は受けられない場合がある)
  19. 箕面市|遺贈寄附(不動産は原則として換金したうえで)

記事の内容は、2026年10月19日時点の各出典にもとづいています。

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この記事の情報について

一般的な情報としてまとめたものです。控除が使えるかどうかや税額は、物件と世帯の事情で変わります。 最終的な判断は、税理士や司法書士、または管轄の税務署と法務局に確かめてから決めてください。