空き家コンパス 1分で診断

空き家の売り方

相続土地国庫帰属制度で空き家を手放せますか

相続土地国庫帰属制度は、建物が残ったままでは申請できません。先に解体して更地にします。費用は審査手数料が1筆14,000円、負担金が原則20万円です。市街化区域の宅地は面積で決まり、100㎡で548,000円です。解体費の平均約192万円を足すと、合計は200万円を超えます。申請できない土地、承認されない土地、費用の計算、申請の前に試すことを順に説明します(2026年9月時点)。

更新日
2026年9月17日
路地に面して並ぶ古い二階建ての家

3つの売り方の比較

項目 仲介で売る買取で売るそのまま持つ
現金になるまで 目安は3〜6か月です。買い手が見つかるまで進みません。目安は数日〜1か月です。査定額に納得すれば契約に進みます。—
手元に残る額 市場価格に近い金額です。仲介手数料が引かれます。市場価格より低くなります。仲介手数料はかかりません。固定資産税と管理費が毎年かかります。
向いている場合 駅に近い、建物がまだ使えるなど、買い手が見込める家早く手放したい場合。傷みや家財があり、そのままでは売りにくい家子どもが使う予定があるなど、手放さない理由がある場合
気をつけること 売れ残ると値下げが続きます。引き渡し後の不具合に責任を負う場合があります。提示額は業者で差が出ます。2社以上で比べてください。管理が行き届かないと、特定空家等に指定される場合があります。

仲介手数料の上限

売買価格が400万円を超える場合、仲介手数料の上限は「売買価格の3%+6万円」に消費税を加えた額です。 800万円以下の物件は、税込33万円まで受け取れる決まりがあります(2024年7月から)。 根拠は宅地建物取引業法46条と、国土交通省の告示です。

特定空家等または管理不全空家等に指定されて勧告を受けると、住宅用地の特例が外れます。 土地の固定資産税が上がるため、持ち続ける場合にも費用がかかります。

「売れない実家を、国に引き取ってもらえないか」そう考えている人に向けて書いています。

結論

相続土地国庫帰属制度は、建物が残ったままでは申請できません。先に解体して更地にする必要があります。費用は、審査手数料が1筆14,000円、引き取り後の負担金が原則20万円です。市街化区域の宅地は面積で決まり、100㎡で548,000円です(2026年9月時点)。解体費を足すと、多くの空き家で合計200万円を超えます。買取や隣地への譲渡を先に試す価値があります。

この記事で分かること

  • 空き家のままでは使えない理由と、申請できる土地の条件
  • 審査手数料と負担金の額、解体費を足した合計の目安
  • 却下や不承認になる土地と、申請前に試すこと

こんな場合は診断へ

  • 土地の値段より解体費のほうが高く、買い手が付かない
  • 買取業者に断られ、手放す方法が他に見つからない
  • 国に引き取ってもらう費用と、売った場合の手取りを並べて見たい

一つでも当てはまる場合は、空き家の診断で土地の値段と解体費の差を市ごとに出せます。入力は約3分です。診断で「売る以外も考える家」と出た人は、この記事の順に進めてください。

相続土地国庫帰属制度とは

相続や遺贈で取得した土地を、国に引き取ってもらう制度です。2023年4月27日に始まりました(法務省)。申請先は、土地のある都道府県の法務局か地方法務局の本局です。

申請できるのは、相続か相続人への遺贈で土地を取得した人です。制度が始まる前に相続した土地も申請できます。共有の土地は、共有者全員がそろって申請します。一人でも反対する共有者がいると、申請できません(法務省Q&A)。

用語

国庫帰属 土地の所有権が国に移ることです。売却ではないため、代金は入りません。逆に、引き取ってもらう側が負担金を払います。

法務省の集計では、2026年8月31日までの申請は5,997件です。そのうち宅地は2,091件です。国庫に帰属した土地は3,119件で、宅地は1,164件です(法務省、令和8年8月31日現在)。

建物があると申請できない

建物がある土地は、すべて却下されます(法務省Q&A)。空き家を残したまま国に引き取ってもらう道はありません。先に解体して、更地にしてから申請します。

申請後にすぐ取り壊す予定がある場合は、申請する法務局の本局に事前に相談できます(法務省Q&A)。ただし原則は更地での申請です。

木造住宅の解体費は、平均約192万円です(2025年1〜5月、日本経済新聞)。解体費の内訳と市の補助金は空き家の解体費用の相場と、補助金でいくら戻りますかで説明しています。

注意

解体すると、翌年から土地の固定資産税が上がります。住宅用地の特例が外れるためです。上がり方は最大約4.2倍で、詳しくは空き家を更地にすると固定資産税は6倍になりますかにあります。国の審査には標準で8か月かかります(法務省Q&A)。解体から引き取りまでの間は、上がった税金を自分で払います。

申請できない土地と、承認されない土地

引き取ってもらえない土地は、2つに分かれます。申請の段階で却下される土地と、審査の結果で不承認になる土地です(法務省)。

区分 該当する土地
却下(申請できない) 建物がある土地
却下(申請できない) 担保権や使用収益権が設定されている土地
却下(申請できない) 通路など、他人の利用が予定されている土地
却下(申請できない) 土壌汚染されている土地
却下(申請できない) 境界が明らかでない土地、所有権に争いがある土地
不承認(審査で落ちる) 一定の勾配・高さの崖があり、管理に過分な費用がかかる土地
不承認(審査で落ちる) 工作物、車両、樹木など管理を妨げる物が地上にある土地
不承認(審査で落ちる) 除去が必要な物が地下にある土地
不承認(審査で落ちる) 隣接地の所有者との争いを解決しないと管理できない土地
不承認(審査で落ちる) その他、通常の管理や処分に過分な費用や労力がかかる土地

空き家の場合に引っかかりやすいのは、境界と残置物です。境界がはっきりしない土地は、申請の段階で却下されます。隣との境界がどこか分からない場合は、先に測量が必要です。

解体した後の庭の物置、ブロック塀、庭木も「地上の有体物」に当たります。実際に、不承認100件のうち46件が工作物等の存在を理由にしています(法務省、令和8年8月31日現在)。解体のときに、これらも撤去しておきます。

用語

却下と不承認 却下は、申請の要件を満たさず受け付けられないことです。不承認は、審査した結果として引き取らない判断です。どちらの場合も、払った審査手数料は戻りません(法務省Q&A)。事由を解消すれば、再申請はできます。

費用はいくらかかりますか

かかる費用は、審査手数料と負担金の2つです。それに解体費と、必要なら測量費が加わります。

審査手数料は、土地1筆につき14,000円です(法務省)。申請書に収入印紙を貼って納めます(法務省Q&A)。取り下げた場合も、却下や不承認になった場合も返還されません(法務省Q&A)。

負担金は、国が10年分の管理費用として受け取るお金です。原則は1筆20万円です(法務省)。市街化区域か用途地域の中にある宅地は、面積に応じて増えます。計算式は政令の別表で決まっています。

宅地の面積(市街化区域・用途地域内) 計算式 例
50㎡以下 面積×4,070円+208,000円 50㎡で411,500円
50㎡超100㎡以下 面積×2,720円+276,000円 100㎡で548,000円
100㎡超200㎡以下 面積×2,450円+303,000円 165㎡で707,250円
200㎡超400㎡以下 面積×2,250円+343,000円 300㎡で1,018,000円
400㎡超800㎡以下 面積×2,110円+399,000円 500㎡で1,454,000円
800㎡超 面積×2,010円+479,000円 1,000㎡で2,489,000円

市街化区域の外にある宅地は、面積に関係なく20万円です。自分の土地が市街化区域かどうかは、市区町村の都市計画の窓口で確認できます。

負担金は、承認の通知が届いた翌日から30日以内に納めます(法務省)。期限を過ぎると承認の効果は失われます(法務省Q&A)。隣り合う2筆以上の宅地は、1筆とみなして負担金を計算する申し出ができます。

ポイント

負担金の通知が来てから納付までは30日です。承認が出てから資金を用意するのではなく、申請の前に負担金の額を計算しておきます。

解体費を足した合計の目安

空き家を国に引き取ってもらうまでの費用を、仮の条件で並べます。土地は165㎡(約50坪)、建物は木造で、残置物や庭の工作物はない前提です。

項目 市街化区域の宅地 市街化区域外の宅地
解体費(平均) 約192万円 約192万円
審査手数料 14,000円 14,000円
負担金 707,250円 200,000円
合計 約264万円 約213万円

国に引き取ってもらうには、合計で約200万〜260万円が出ていきます。これに、境界が不明なら測量費、家財が残っていれば片付け費が加わります。売却ではないため、代金は入りません。

同じ土地を買取業者が0円でも引き取るなら、解体費も負担金もかかりません。隣地の所有者が引き取る場合も同じです。取り下げ1,139件のうち586件は、自治体や隣接地所有者の引き受けなど「有効活用の見込みが生じた」ことが理由です(法務省、令和8年8月31日現在)。申請した後で、引き取り手が見つかった人が多くいます。

道が狭くて建て替えられない土地は、隣の人にとっては価値があります。売り方は再建築不可の空き家は売れますかで説明しています。

国庫帰属が向いている土地

費用を払ってでも国庫帰属を選ぶのは、次のような土地です。

  • 買取業者に断られ、隣地の所有者も引き取らない
  • 市街化区域の外にあり、負担金が20万円で済む
  • 建物がすでにない、または解体費より管理の負担が重い
  • 境界が確定していて、地上に工作物がない

土地の値段が解体費を下回る家は、診断で「売る以外も考える家」と出ます。この場合も、先に複数の買取業者に査定を出します。断られてから国庫帰属を検討しても遅くありません。買取と仲介の違いは空き家は買取と仲介のどちらで売ればよいですかにあります。

注意

名義が亡くなった親のままの土地は、相続登記を済ませてから申請します。共有者がいる場合は、共有者全員で申請します。一人でも同意しない共有者がいると、申請できません(法務省Q&A)。話し合いの進め方は共有名義の空き家はどうすれば売れますかにあります。

まずやること

  1. 空き家の診断で、土地の値段と解体費の差を出す
  2. 買取業者2〜3社に、建物付きのまま査定を頼む
  3. 隣地の所有者に、土地を引き取る意思があるか聞く
  4. 市区町村の都市計画の窓口で、市街化区域か用途地域の中かを確認する
  5. 負担金の額を政令の表で計算し、解体費と合計する
  6. 法務局の本局で事前相談を申し込む(予約制)
  7. 境界の確認、解体、庭の工作物の撤去を済ませてから申請する

法務局の相談は事前予約制です(法務省Q&A)。予約の方法は法務省のページに載っています。

まとめ

  • 建物が残ったままでは申請できず、先に解体が必要
  • 審査手数料は1筆14,000円で、却下されても戻らない
  • 負担金は原則20万円。市街化区域の宅地は面積で決まり、100㎡で548,000円
  • 解体費を足すと合計200万円を超えることが多く、代金は入らない
  • 申請の前に、買取業者と隣地の所有者に引き取りを打診する

よくある質問

Q. 空き家を建物ごと国に引き取ってもらえますか
引き取ってもらえません。建物がある土地は、すべて申請の段階で却下されます(法務省Q&A)。先に解体して更地にしてから申請します。申請の後にすぐ取り壊す予定がある場合は、申請先の法務局の本局に事前に相談してください。
Q. 負担金はいくらですか
原則は土地1筆につき20万円です(法務省)。市街化区域か用途地域の中にある宅地は、面積に応じて増えます。100㎡なら548,000円、200㎡なら793,000円です(政令別表、2026年9月時点)。承認の通知が届いた翌日から30日以内に納めます。
Q. 却下された場合、審査手数料は戻りますか
戻りません。審査手数料の14,000円は、取り下げた場合も、却下や不承認になった場合も返還されません(法務省Q&A)。却下や不承認の事由を解消すれば、再び申請できます。その場合は手数料をもう一度納めます。
Q. 申請してから引き取りまで、どのくらいかかりますか
標準処理期間は8か月です(法務省Q&A)。事案によってはこれより長くかかります。解体してから引き取りまでの間は、更地になった土地の固定資産税を自分で払います。
Q. 買取業者に断られた土地でも、国は引き取ってくれますか
条件を満たせば引き取ります。建物がなく、境界が確定していて、地上に工作物がなければ申請できます。崖地や、隣接地との争いがある土地は不承認になります。2026年8月31日までの申請5,997件のうち、却下は85件、不承認は100件です(法務省)。

査定は2社以上で比べる

買取の提示額は、業者によって差が出ます。複数の金額を見てから決めてください。 市ごとの解体費との比較は、市区町村のページに載せています。

建物を残したまま、無料で査定を頼む

広告当サイトは提携先から報酬を受け取ることがあります。査定は無料で、依頼しても売る義務はありません。

お住まいの市の条件で計算する

建物を残して売った場合の手取りと、解体した場合の自己負担を、市の地価と補助制度から計算します。 所要時間は1分です。名前や連絡先の入力はありません。

お住まいの地域の条件で診断する

出典

  1. 法務省|相続土地国庫帰属制度の概要
  2. 法務省|相続土地国庫帰属制度に関するQ&A
  3. 法務省|相続土地国庫帰属制度の負担金
  4. 法務省|相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(令和4年政令第316号、負担金の別表)
  5. 法務省|相続土地国庫帰属制度の統計(令和8年8月31日現在)
  6. 政府広報オンライン|相続した土地を手放したいときの「相続土地国庫帰属制度」
  7. 日本経済新聞|木造住宅の解体費、2025年1〜5月平均約192万円(クラッソーネ調べ)

記事の内容は、2026年9月17日時点の各出典にもとづいています。

関連する記事

この記事の情報について

一般的な情報としてまとめたものです。実際の売却条件や税額は、物件ごとに変わります。 契約の前に、宅地建物取引業者と税理士に確かめてください。