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相続した家の手続き

親が元気なうちに実家の名義を変えるべきですか

将来その実家を売る予定なら、名義は相続で変えるほうが税は軽くなります。生前贈与は登録免許税2%と不動産取得税3%がかかり、相続は登録免許税0.4%のみです(国税庁・東京都主税局、2026年4月時点)。空き家の3,000万円特別控除と取得費加算の特例は、相続か遺贈で取得した家にしか使えません。評価額700万円の実家で、贈与と相続にかかる税を並べ、相続時精算課税と7年に延びた生前贈与の加算、遺言書による備えまでまとめています。

更新日
2026年10月19日
花の咲く庭の奥に建つ古い木造の家

期限の一覧

期限 手続き
3か月 相続の開始を知った日から 相続放棄 借金のほうが多い場合の手続きです。家財を処分すると、放棄できなくなる場合があります。
10か月 相続の開始を知った日の翌日から 相続税の申告と納付 遺産の総額が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合だけ必要です。
3年 相続で取得したと知った日から 相続登記の申請 2024年4月1日から義務です。それより前に起きた相続は、2027年3月31日が期限です。
3年目の12月31日 相続が始まった日から 3,000万円の特別控除を使った売却 正確には「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日」までです。
3年10か月 相続が始まった日から 取得費加算の特例を使った売却 相続税の申告期限の翌日から3年以内です。特別控除とは、どちらか一方を選びます。
2027年12月31日 制度そのものの期限 空き家の特別控除の適用期限 自分の3年の期限より、制度の期限が先に来る場合があります。早いほうが締め切りです。
翌年3月15日 売った年の 譲渡所得の確定申告 控除で税額が0円になる場合も申告が必要です。申告しないと、控除は適用されません。

期限は、物件や相続の事情で変わります。自分の場合の期限は、司法書士か税理士に確かめてください。

「親が元気なうちに、実家の名義を自分に変えておいたほうがよいのか」親が高齢になり、実家をどうするか話し合い始めた人に向けて書いています。

結論

結論から書きます。将来その実家を売る予定なら、名義は相続で変えるほうが税は軽くなります。生前贈与は登録免許税が2%、不動産取得税が3%かかります。相続は登録免許税0.4%で、不動産取得税はかかりません(国税庁・東京都主税局、2026年4月時点)。さらに、空き家の3,000万円特別控除は、相続か遺贈で取得した家にしか使えません。生前贈与で受け取った実家には使えません。

この記事で分かること

  • 生前贈与と相続で、名義を変えるときにかかる税の違い
  • 相続時精算課税と、7年に延びた生前贈与の加算
  • 贈与すると使えなくなる特例と、代わりに取れる手

こんな場合は診断へ

  • 親が80歳を超え、実家は将来誰も住まない見込みです
  • 兄弟から、早く名義を変えるよう勧められています
  • 名義を変えたあと、いつ、いくらで売れるか知りたいです

一つでも当てはまる場合は、空き家の診断で、その市の土地の値段から売却の目安を出せます。所要時間は約1分です。

生前贈与と相続で、かかる税はどう違いますか

名義を変える方法は2つです。親が生きているうちに贈与するか、亡くなったあとに相続するかです。同じ家でも、かかる税の種類と率が変わります。

比べる点 生前贈与 相続
登録免許税(名義変更の登記) 固定資産税評価額の2% 固定資産税評価額の0.4%
不動産取得税 土地・住宅は3%(宅地は評価額の2分の1に課税) かからない
財産にかかる税 贈与税(基礎控除110万円) 相続税(基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人)
空き家の3,000万円特別控除 使えない 使える(要件あり)
取得費加算の特例 使えない 使える(相続税を払った人)

登録免許税の率は、国税庁のタックスアンサーNo.7191にあります(2026年4月時点)。不動産取得税の3%と宅地の2分の1の特例は、令和9年3月31日までの取得に適用されます(東京都主税局)。相続による取得は、不動産取得税の対象になりません。

名義を変える費用だけを見ても、贈与は相続の5倍の登録免許税がかかります。

用語

固定資産税評価額 市町村が固定資産税を計算するために付けた価格です。登録免許税と不動産取得税は、この価格に率を掛けて計算します。売買価格ではありません。

評価額700万円の実家で比べる

このサイトの計算の前提は、土地の評価額600万円、建物の評価額100万円の実家です。贈与税の計算では、土地は路線価、建物は固定資産税評価額で評価します。ここでは合計を700万円と置きます。相続人は子1人とします。

項目 生前贈与(暦年課税) 相続
登録免許税 約14万円(700万円×2%) 約2.8万円(700万円×0.4%)
不動産取得税 約12万円(土地600万円×1/2×3%+建物100万円×3%) 0円
贈与税または相続税 約88万円(下記) 0円(基礎控除3,600万円以内)
合計の目安 約114万円 約2.8万円

贈与税は、700万円から基礎控除110万円を引いた590万円に、特例税率を当てます。税率20%、控除額30万円で、約88万円です(国税庁No.4408、2026年4月時点)。特例税率は、18歳以上の子が父母や祖父母から受けた贈与に使えます。

不動産取得税には中古住宅や住宅用地の軽減があり、要件を満たせばさらに減ります。ここでは軽減を入れていません。実際の額は都道府県税事務所で確かめてください。

注意

上の計算は、相続税がかからない家を前提にしています。相続財産の合計が基礎控除を超える家庭では、相続税の計算が別に必要です。基礎控除は3,000万円に、法定相続人1人あたり600万円を足した額です(国税庁No.4152)。

相続時精算課税なら贈与税はかかりませんか

相続時精算課税を選ぶと、贈与の累計2,500万円まで贈与税がかかりません。令和6年1月1日以後の贈与は、さらに年110万円の基礎控除が使えます。超えた分には一律20%の贈与税がかかります(国税庁No.4103、2026年4月時点)。

使えるのは、60歳以上の父母や祖父母から、18歳以上の子や孫への贈与です。最初に贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、税務署へ選択届出書を出します。一度選ぶと、その親からの贈与はすべて相続時精算課税になります。暦年課税には戻れない決まりです。

贈与した家は、親が亡くなったときに相続財産へ加えて相続税を計算します。評価は贈与時の価額です。贈与税が0円でも、相続税の計算からは外れません。

ポイント

相続時精算課税で贈与税を0円にしても、登録免許税2%と不動産取得税3%は変わりません。評価額700万円の実家なら、約26万円が贈与の時点でかかります。相続で名義を変えれば約2.8万円です。

7年に延びた生前贈与の加算

暦年課税で少しずつ贈与しても、亡くなる前の贈与は相続財産に戻して計算します。この期間が、令和6年1月1日以後の贈与から段階的に延びています(国税庁No.4161、2026年4月時点)。

相続開始日 加算の対象になる贈与
令和8年12月31日まで 相続開始前3年以内の贈与
令和9年1月1日〜令和12年12月31日 令和6年1月1日から亡くなる日までの贈与
令和13年1月1日以後 相続開始前7年以内の贈与

3年より前の分は、合計100万円までは加算しません。基礎控除110万円以下の贈与も、加算の対象です。実家の名義を贈与した直後に親が亡くなると、贈与した家は相続財産に戻ります。

贈与すると使えなくなる特例

ここが、名義を急いで変えた人が後で気付く点です。実家を売るときの税の特例は、相続で取得した家を前提にしています。

空き家の3,000万円特別控除

相続した実家を売ったとき、売却益から最高3,000万円を引ける特例です。国税庁は、売った人の要件を「相続または遺贈(死因贈与を含む)により取得した相続人」と定めています(No.3306、2026年4月時点)。生前贈与で取得した家は、この文言に当てはまりません。

対象は昭和56年5月31日以前に建てられた家です。相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ります。売却代金は1億円以下で、令和9年12月31日までの売却に限ります。相続人が3人以上の場合は、控除は2,000万円までです。詳しくは空き家の3,000万円特別控除は、どんな家なら使えますかにまとめています。

取得費加算の特例

相続税を払った人が、相続した家を申告期限から3年以内に売ると、払った相続税の一部を取得費に足せます(No.3267)。これも「相続や遺贈により財産を取得した者」が要件です。

取得費は贈与でも相続でも引き継ぎます

贈与で受け取った家を売るときの取得費は、親が買ったときの代金が基準です(No.3270)。贈与時の評価額は取得費になりません。相続でも同じです。親の購入代金が分からない家は、売却代金の5%を取得費として計算します。

贈与しても売却益は減らず、使える特例だけが減ります。古い実家ほど、この差が大きくなります。

まとめ

  • 名義変更の税は、贈与が登録免許税2%と不動産取得税3%、相続が登録免許税0.4%のみです
  • 相続時精算課税で贈与税を0円にしても、登記と取得の税は変わりません
  • 空き家の3,000万円特別控除と取得費加算は、相続で取得した家にしか使えません
  • 生前贈与の加算は、令和13年以降の相続で7年に延びます

名義を変えずに備える方法

名義を急いで変えなくても、親が元気なうちにできることがあります。

遺言書を残す

実家を誰に相続させるかを遺言書で決めておけば、相続のあとの話し合いが短くなります。自筆証書遺言は法務局で保管できます。手数料は1通3,900円で、家庭裁判所の検認が要りません(法務省、2026年10月時点)。

判断能力があるうちに決める

親の判断能力が落ちると、贈与も売却もできなくなります。成年後見人が付いても、本人が住んでいた家を売るには家庭裁判所の許可が必要です。許可を得ずに売った契約は無効になります(裁判所)。親が認知症になった場合の売却は、親が認知症の場合、実家は売れますかに書いています。

相続後の登記は3年以内

相続で名義を変える場合、相続登記は相続を知った日から3年以内に行います。登記の費用と自分で手続きする方法は、相続登記の費用はいくらですかにまとめています。名義さえ直せば売れる家は、診断では「名義を直せば売れる家」として出ます。

まずやること

  1. 実家の固定資産税の納税通知書で、土地と建物の評価額を確かめる
  2. 評価額に2%と0.4%を掛け、贈与と相続の登録免許税を比べる
  3. 実家が昭和56年5月31日以前の建築なら、3,000万円特別控除の要件を確かめる
  4. 贈与を考えるなら、相続時精算課税の届出の期限(翌年3月15日)を押さえる
  5. 名義を変えないなら、遺言書の作成と法務局での保管を親と相談する
  6. 売るときの手取りは、診断でその市の土地の値段から確かめる

税の計算は、家庭ごとの財産の合計で変わります。申告の前に税務署か税理士に確認してください。

よくある質問

Q. 相続時精算課税を使えば、生前贈与でも損はありませんか
贈与税は累計2,500万円と年110万円の基礎控除まで0円です(国税庁No.4103、2026年4月時点)。登録免許税2%と不動産取得税3%はそのままかかります。贈与した家は相続時に相続財産へ加えて相続税を計算します。空き家の3,000万円特別控除は、相続で取得した家が要件なので、精算課税で贈与した家には使えません。
Q. 毎年110万円ずつ実家の持分を贈与すれば、税はかかりませんか
持分を分けて贈与する方法はあります。贈与のたびに登記が必要で、登録免許税2%と不動産取得税3%がその都度かかります。亡くなる前の贈与は相続財産に戻します。令和13年以降の相続では7年分が対象です(国税庁No.4161)。基礎控除以下の贈与も加算の対象になります。
Q. 親が認知症と診断されたあとでも、名義変更はできますか
本人に判断能力がないと、贈与も売買も有効に行えません。成年後見人が付いても、本人が住んでいた家を売るには家庭裁判所の許可が必要です。許可を得ない処分は無効になります(裁判所)。贈与は本人の財産を減らす行為なので、後見人が行うことは原則としてできません。判断能力があるうちに、遺言書の作成などを相談してください。
Q. 生前贈与で受け取った実家を売るとき、取得費はいくらになりますか
親が買ったときの代金と購入手数料が基準です(国税庁No.3270)。贈与時の評価額ではありません。親の購入代金が分からない場合は、売却代金の5%を取得費として計算します。贈与のときに払った登録免許税と不動産取得税は、取得費に含められます。
Q. 相続で名義を変えるとき、期限はありますか
相続登記は、相続で所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請します。令和6年4月1日より前の相続も、令和9年3月31日が期限です。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です(法務省)。登記の費用は、土地の課税標準が100万円以下なら令和9年3月31日まで登録免許税が免除されます(国税庁No.7191)。

壊す前に、査定を取る

建物を残したまま買い取る業者もあります。査定は無料で、金額を見てから断れます。 市ごとの補助金は、市区町村のページに載せています。

建物を残したまま、無料で査定を頼む

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お住まいの市の条件で計算する

建物を残して売った場合の手取りと、解体した場合の自己負担を、市の地価と補助制度から計算します。 所要時間は1分です。名前や連絡先の入力はありません。

お住まいの地域の条件で診断する

出典

  1. 国税庁|No.7191 登録免許税の税額表(相続 1,000分の4、贈与 1,000分の20、相続登記の免税措置)
  2. 東京都主税局|不動産取得税(税率3%、宅地の2分の1特例、相続による取得は非課税)
  3. 国税庁|No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税、基礎控除110万円、特例税率)
  4. 国税庁|No.4103 相続時精算課税の選択(特別控除2,500万円、基礎控除110万円、一律20%)
  5. 国税庁|No.4152 相続税の計算(基礎控除 3,000万円+600万円×法定相続人の数)
  6. 国税庁|No.4161 贈与財産の加算と税額控除(加算対象期間 3年→7年、100万円の控除)
  7. 国税庁|No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(相続または遺贈により取得した相続人が要件)
  8. 国税庁|No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
  9. 国税庁|No.3270 相続や贈与によって取得した土地建物の取得費と取得の時期
  10. 裁判所|成年後見人等による居住用不動産の処分の許可(許可を得ない処分は無効)
  11. 法務省|自筆証書遺言書保管制度の手数料(保管の申請 1通3,900円)
  12. 法務省|相続登記の申請義務化について(3年以内の申請、過去の相続は令和9年3月31日まで、10万円以下の過料)

記事の内容は、2026年10月19日時点の各出典にもとづいています。

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この記事の情報について

一般的な情報としてまとめたものです。控除が使えるかどうかや税額は、物件と世帯の事情で変わります。 最終的な判断は、税理士や司法書士、または管轄の税務署と法務局に確かめてから決めてください。