かかる費用の内訳
解体費と呼ばれる費用は、5つの費目に分かれます。 金額が決まっているのは解体工事の部分だけです。残りは見積もりを取るまで決まりません。
| 家財・残置物の撤去 量と間取り、搬出のしやすさで変わります。仏壇や金庫、農機具は別料金になる場合があります。 | 見積もりで確認 |
|---|---|
| 解体工事(木造) 全国平均です(2025年1〜5月、日本経済新聞)。重機が入りにくい場所は、これより高くなります。 | 約192万円 |
| 解体補助金 補助率は1/3〜1/2、上限は市ごとに違います。築年数や耐震性の条件があります。 | −50万〜−150万円が目安 |
| 整地・廃材の運搬 見積書で別立てか、含まれているかを最初に確かめてください。 | 解体費に含まれる場合が多い |
| 建物滅失登記 取り壊しから1か月以内に申請します。土地家屋調査士に頼むと数万円が目安です。 | 自分で申請すれば実費のみ |
| 自己負担の合計 | 見積もりが出るまで決まりません |
解体費の平均は、市区町村のページと同じ前提です。 補助金の上限と受付期間は市ごとに違います。お住まいの市のページで確かめてください。
「解体の見積書が届いたが、『解体工事一式 180万円』としか書いていない。高いのか安いのか分からない」実家の解体を考えていて、届いた見積書をどう読めばよいか知りたい人に向けて書いています。
結論
見積書は5つの項目に分けて読みます。建物本体、付帯工事、廃棄物の運搬と処分、仮設と養生、諸経費です。「一式」でまとめた見積書は、何が入っていて何が入っていないかが分かりません。追加請求の争いは、ほぼここから起きます。木造二階建ての本体は1㎡あたり約7,000円、養生は1㎡あたり約800円の例があります(クラッソーネ、2026年9月時点)。項目ごとの単価と数量が書かれた見積書を、2社以上から取ります。
この記事で分かること
- 見積書の5つの項目と、それぞれに書かれているべき単価と数量
- 「一式」表記が追加請求につながる理由
- 見積もりに入りにくく、あとから請求されやすい3つの費用
こんな場合は診断へ
- 見積書が「一式」の1行で、内訳が無い
- 2社の見積額が50万円以上違い、どちらが正しいか分からない
- 解体費を払ってまで更地にするより、建物付きで売る方法も比べたい
一つでも当てはまる場合は、空き家の診断で、解体して売る場合と建物を残して売る場合の手取りの目安を出せます。解体費の相場は空き家の解体費用の相場にあります。
項目1 建物本体の解体費
見積書の中心です。構造、延べ床面積、1㎡あたりの単価、その積で書かれているかを見ます。木造二階建てで1㎡あたり7,000円、軽量鉄骨造で8,000円の例があります(クラッソーネ、2026年9月時点)。延べ床115㎡の木造なら、本体だけで約80万円です。
面積は、登記事項証明書か固定資産税の課税明細書の床面積と照らします。見積書の面積が登記より大きければ、その理由を聞きます。物置や車庫を含めているなら、付帯工事の欄に分けて書いてもらいます。
用語
延べ床面積 各階の床面積を足した面積です。解体の単価はこの面積に掛けます。建物の外周で囲った建築面積とは違います。登記事項証明書の「床面積」欄に階ごとに書かれています。
補助金がある市では、この面積が上限額の計算にも使われます。東大阪市の補助金は、3つのうち最も低い額です。解体費の5分の4、延べ床面積×12,000円、50万円の3つです。杉並区の助成は、延べ面積×16.5千円が上限の一つです。見積書の面積と単価が、補助金の額を左右します。
項目2 付帯工事
建物の外にある物を壊す費用です。ブロック塀、門扉、カーポート、庭木、庭石、物置、浄化槽、井戸などです。1件ずつ数量と単価で書かれているかを見ます。塀は1㎡あたり3,000円の例があります(クラッソーネ)。
浄化槽と井戸は、見積もりの段階で伝えないと入りません。浄化槽や便槽の撤去は1基5万〜15万円、井戸の埋め戻しは1か所10万円からの単価を公表している解体業者があります(日本クレスト、税別)。付帯物ごとの費用は付帯物の解体費の記事にあります。
注意
隣家との境にある塀は、どちらの所有物かを先に確かめます。共有の塀を勝手に壊すと、隣とのトラブルになります。見積書に「境界塀は残す」か「撤去する」かを明記してもらいます。
項目3 廃棄物の運搬と処分費
解体で出る木材、コンクリート、瓦、石膏ボードなどを、種類ごとに分けて処分する費用です。解体費の中で、本体の次に大きい項目です。廃材の種類ごとに、量(㎥または t)と単価で書かれているかを見ます。石綿を含む建材の運搬処分は1㎥あたり18,000円の例があります(クラッソーネ)。
床面積80㎡以上の建物の解体は、建設リサイクル法の対象です。コンクリート、アスファルト・コンクリート、木材を現場で分別し、再資源化することが義務づけられています(環境省)。工事着手の7日前までに、発注者が都道府県知事に届け出ます。届出は業者が代行することが多く、見積書に届出費として書かれます(例では50,000円)。
処分した廃棄物には、産業廃棄物管理票(マニフェスト)が付きます。排出事業者である解体業者が交付し、処分が終わると写しが戻ります。写しは5年間保存します(群馬県)。工事が終わったら、マニフェストの写し(E票)を見せてもらいます。不法投棄された場合の責任を避けるためです。
項目4 仮設と養生費
工事の前に組む足場と、粉じんや騒音を抑える養生シートの費用です。足場養生は1㎡あたり800円、200㎡で160,000円の例があります(クラッソーネ)。隣家との距離が近い、道路が狭いといった条件で単価が上がります。
養生の面積は、建物の外周に高さを掛けた面積です。本体の延べ床面積とは別の数量になります。養生費が「一式」で書かれていると、実際にどこまで覆うのかが分かりません。隣家の側だけ二重にするなど、範囲を図で示してもらいます。
ポイント
養生を省いて安くする業者は、近隣の苦情が出たときに対応しません。近隣への挨拶と養生の範囲は、金額より先に確かめます。工事の前に近隣へ挨拶に回るか、業者に聞いておきます。
項目5 諸経費と重機回送費
重機を現場に運ぶ回送費、現場の管理費、保険料、事務手続きの費用です。重機回送費30,000円、諸経費80,000円の例があります(クラッソーネ)。諸経費は本体費の1割前後で書かれることが多く、極端に高い場合は内訳を聞きます。
解体業者は、都道府県の解体工事業登録か建設業許可のどちらかが要ります。請負金額が500万円以上の解体工事は建設業許可が必要で、500万円未満は解体工事業登録で行えます(神奈川県)。見積書に登録番号か許可番号が書かれているかを見ます。登録業者の一覧は各都道府県が公開しています。
「一式」が危ない理由
「解体工事一式」の見積書は、次の3つが分かりません。
| 分からないこと | 起きること |
|---|---|
| 何が含まれているか | 塀や浄化槽が「別途」と言われ、追加請求になる |
| 数量と単価 | 2社の見積もりを比べられない |
| 廃棄物の処分先 | 処分費を抑えるために不法投棄されても気づけない |
見積書は、5つの項目ごとに数量と単価が書かれた形式で出してもらいます。項目が細かい見積書を出す業者は2割ほどとされています(クラッソーネ)。細かい見積書を出す業者を選ぶことが、そのまま業者選びになります。
あとから請求されやすい3つの費用
見積もりの時点で分からず、工事中に見つかって追加請求になる費用があります。
- 地中埋設物。古い基礎、コンクリートの塊、生活ごみ、埋められた浄化槽などです。コンクリートは1㎥あたり10,000円前後から、地中の杭は1本7,000円からの単価があります(日本クレスト、税別)。見積もり後に見つかった埋設物は、解体費とは別に追加請求されるのが一般的です
- 石綿を含む建材。事前調査で見つかると、手作業で外して分けて処分するため、処分費が上がります。調査の手順はアスベストの調査は必要ですかにあります
- 残置物。家具や家電が残っていると、解体とは別に処分費がかかります。家庭ごみとして自分で出すか、解体業者に頼むかで金額が変わります。目安は空き家の家財処分はいくらかかりますかにあります
追加を避けるには、契約書に「地中埋設物が見つかった場合は、写真を撮り、撤去の前に見積もりを出して発注者の承諾を得る」と書いてもらいます。業者に任せきりにすると、撤去したあとに請求書だけが届きます。
まずやること
- 登記事項証明書か課税明細書で、建物の構造と延べ床面積を確かめる
- 塀、庭木、浄化槽、井戸、物置の有無を書き出し、見積もりの依頼時に伝える
- 2社以上から、5つの項目ごとに数量と単価が書かれた見積書を取る
- 見積書に登録番号か許可番号があるか、届出とマニフェストの扱いが書かれているかを見る
- 空き家の診断で、解体して売る場合と建物を残して売る場合の手取りを比べる
まとめ
- 見積書は本体、付帯、廃棄物、養生、諸経費の5項目に分けて、数量と単価を見ます
- 「一式」の見積書は含まれる範囲が分からず、追加請求の原因になります
- 80㎡以上の解体は建設リサイクル法の届出が要り、廃棄物にはマニフェストが付きます
- 地中埋設物、石綿、残置物は追加請求になりやすく、契約書で扱いを決めておきます
- 補助金の上限は延べ床面積で決まる市があり、見積書の面積が額を左右します
見積もりで確かめること
- 残置物の撤去が見積もりに入っているか、別料金か
- 廃材の運搬と処分費が、総額に含まれているか
- 整地まで行うのか、更地に均すだけなのか
- 近隣への挨拶と養生の費用は、どちらが持つのか
- 補助金の申請書類を、業者が用意するのか
総額に何を含めるかは、業者によって違います。項目をそろえてから、金額を比べてください。
よくある質問
- Q. 2社の見積額が大きく違います。安いほうを選んでよいですか
- 金額だけでは決められません。5つの項目ごとに数量と単価を並べ、どこが違うかを見ます。安い見積書は、付帯工事や養生を含んでいなかったり、廃棄物の処分先が書かれていなかったりすることがあります。同じ範囲で比べたうえで、登録番号か許可番号があり、マニフェストの写しを出すと言う業者を選びます。
- Q. 見積書の面積が登記より大きいのはなぜですか
- 物置や車庫、増築した部分を含めていることがあります。登記されていない増築部分は登記事項証明書に出ません。理由を聞き、本体と付帯に分けて書いてもらいます。補助金の上限を延べ床面積で計算する市では、登記や課税明細書の面積を根拠にすることが多くあります。見積書の面積とずれると、申請で問題になります。
- Q. 届出やマニフェストは自分でやるのですか
- 建設リサイクル法の届出は発注者の義務ですが、解体業者が代行することが一般的で、見積書に届出費として書かれます。マニフェストは排出事業者である解体業者が交付します。所有者がすることは、届出の控えとマニフェストの写しを受け取っておくことです。写しは5年間保存されます。
- Q. 地中埋設物の追加費用は、必ず払うものですか
- 見積もり後に見つかった埋設物は、解体費とは別に追加請求されるのが一般的です。ただし、撤去の前に写真と見積もりを出して承諾を得る手順を契約書に書いておけば、金額を確かめてから払えます。撤去したあとに請求書だけが届く形は避けます。土地を売る予定なら、埋設物を残したまま売ると買主から撤去を求められるため、撤去して記録を残すほうが後の争いが少なくなります。
- Q. 補助金を使う場合、見積書に何が要りますか
- 多くの市で、補助の対象になる工事とならない工事を分けた見積書が要ります。杉並区の助成は外構工作物や石綿の撤去費を対象外としており、本体と分かれていないと申請できません。東大阪市のように延べ床面積×単価で上限を計算する市では、面積の記載も要ります。申請の順番は解体補助金の申請の記事にあります。
家財が残ったまま査定を取る
処分費込みで引き取る業者もあります。査定は無料で、金額を見てから断れます。 市ごとの補助金と解体費の比較は、市区町村のページに載せています。
売らずに片付けだけ先に済ませたい場合は、不用品回収の見積もりを取ると費用の目安がつきます。
片づける前に、いくらで売れるかを見る
家財が残ったままでも、売れるかどうかの目安は出せます。 7つの質問に答えると、手元に残る金額の目安が分かります。所要時間は1分です。
お住まいの地域の条件で診断する出典
- クラッソーネ|解体工事の見積書の見方とは?(本体 木造二階建 7,000円/㎡、足場養生 800円/㎡、塀 3,000円/㎡、重機回送費 30,000円、届出費 50,000円、諸経費 80,000円の例)
- クラッソーネ|実例!住宅解体工事の見積書(詳細型の見積書を出す業者は約2割)
- 環境省|建設リサイクル法の概要(解体は床面積80㎡以上、特定建設資材、工事着手の7日前までに発注者が届出)
- 国土交通省|建設リサイクル法の対象となる建設工事では届出が必要です(チラシ)
- 群馬県|産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度の概要(排出事業者が交付、写しは5年間保存)
- 神奈川県|解体工事業登録(請負金額500万円以上は建設業許可、未満は登録)
- 日本クレスト|解体工事の地中埋設物とは?撤去費用はどのくらい?(コンクリート 10,000円前後〜/㎥、杭 7,000円〜/本、浄化槽 5万〜15万円/基、井戸 10万円〜、税別)
- 解体無料見積ガイド|解体工事の地中埋設物 不当な追加費用を避けるポイント(書面の明細、発見時の写真と見積もり)
- 東大阪市|空き家解体費補助制度(解体費×5分の4、延床面積×12,000円、50万円のうち最も低い額)
- 杉並区|木造住宅密集地域等の除却建物への助成制度(延べ面積×16.5千円、石綿・外構は対象外)
記事の内容は、2026年9月28日時点の各出典にもとづいています。
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この記事の情報について
費用の目安は、一般的な相場としてまとめたものです。実際の金額は、建物の構造、面積、立地で変わります。 契約の前に、2社以上から見積もりを取って確かめてください。