空き家コンパス 1分で診断

空き家の売り方

市街化調整区域の空き家は売れますか

市街化調整区域の空き家も売れます。売ること自体に都市計画法の制限はなく、制限がかかるのは買主がその家を使えるか、建て替えられるかです。農家住宅などは用途変更の許可が要り、国の指針は所有者の死亡をやむを得ない事情の例に挙げています(国土交通省、平成28年12月27日)。調整区域かどうかの調べ方、解体の前に確かめること、補助金に区域の条件がある市を載せています(2026年10月時点)。

更新日
2026年10月7日
草の伸びた庭と、誰も住んでいない二階建ての家

3つの売り方の比較

項目 仲介で売る買取で売るそのまま持つ
現金になるまで 目安は3〜6か月です。買い手が見つかるまで進みません。目安は数日〜1か月です。査定額に納得すれば契約に進みます。—
手元に残る額 市場価格に近い金額です。仲介手数料が引かれます。市場価格より低くなります。仲介手数料はかかりません。固定資産税と管理費が毎年かかります。
向いている場合 駅に近い、建物がまだ使えるなど、買い手が見込める家早く手放したい場合。傷みや家財があり、そのままでは売りにくい家子どもが使う予定があるなど、手放さない理由がある場合
気をつけること 売れ残ると値下げが続きます。引き渡し後の不具合に責任を負う場合があります。提示額は業者で差が出ます。2社以上で比べてください。管理が行き届かないと、特定空家等に指定される場合があります。

仲介手数料の上限

売買価格が400万円を超える場合、仲介手数料の上限は「売買価格の3%+6万円」に消費税を加えた額です。 800万円以下の物件は、税込33万円まで受け取れる決まりがあります(2024年7月から)。 根拠は宅地建物取引業法46条と、国土交通省の告示です。

特定空家等または管理不全空家等に指定されて勧告を受けると、住宅用地の特例が外れます。 土地の固定資産税が上がるため、持ち続ける場合にも費用がかかります。

「相続した実家が市街化調整区域にあると言われた。建て替えできない土地は売れないのか」不動産会社に難しいと言われた人と、これから査定を頼む人に向けて書いています。

結論

市街化調整区域の空き家も売れます。売ること自体に、都市計画法の制限はありません。制限がかかるのは、買った人がその家を使えるか、建て替えられるかです。許可が要るかどうかは、家が建った経緯で決まります。売る前に、市区町村の開発許可の窓口で2点を確かめます。建物が適法に建てられたかと、使う人が限られていないかです(神戸市の案内)。

この記事で分かること

  • 調整区域の家で、買主の使用や建て替えが認められる場合
  • 農家住宅や分家住宅を相続したときに要る手続き
  • 調整区域かどうかの調べ方と、解体の前に確かめること

こんな場合は診断へ

  • 不動産会社に「調整区域なので扱いにくい」と言われた
  • 解体して更地で売るか、建物を残して売るかを決めていない
  • 固定資産税と草刈りの費用を払い続けるか、手放すかを比べたい

一つでも当てはまる場合は、空き家の診断で解体費と買取価格の目安を出せます。診断は、市の住宅地の平均地価で計算します。調整区域の土地の値段は、この平均と違う場合があります。金額は査定で確かめてください。

市街化調整区域とは

都市計画法は、都市計画区域を2つに分けられると定めています。市街化区域と市街化調整区域です。分けることを、区域区分や線引きと呼びます。

市街化区域は、すでに市街地になっている区域と、おおむね10年以内に優先的に市街化を図る区域です(7条2項)。市街化調整区域は「市街化を抑制すべき区域」です(7条3項)。

調整区域は、山奥に限った話ではありません。国土交通省の都市計画現況調査によると、市街化調整区域は全国で3,758,731ヘクタールです(令和7年3月31日現在)。市街化区域は1,456,349ヘクタールで、調整区域のほうが約2.6倍広い計算です。線引きをしている都市計画区域は、全国に246あります。

用語

線引き 都市計画区域を、市街化区域と市街化調整区域に分けることです。線引きをした日は市によって違います。神戸市は1970年12月28日です。この日より前から建っている家かどうかで、扱いが変わります。

調整区域では、建物を建てるのに知事などの許可が要ります。開発許可を受けた区域の外では、許可なく建築物を新築できません。改築や用途の変更にも制限があります(43条1項)。農林漁業を営む人の住宅などは、許可が要らない建物です(29条1項2号)。

売ること自体に制限はありますか

ありません。制限がかかるのは、買ったあとの使い方です。

福井市は、調整区域の中古住宅についてこう説明しています。「中古住宅の購入については都市計画法上の制限はありませんが、その中古住宅を使用することに制限がかかります」(2024年2月更新)。同じページは、購入の前に手続きが必要だと案内しています。

神戸市の説明も同じ趣旨です。「適法な家で住む人の制限がなければ手放せます。制限がある場合は、制限を解除する許可を受ければ手放すことができます」。

買主が知りたいのは、自分が住めるか、将来建て替えられるかです。売主がこの2点を先に確かめておくと、査定と交渉が進みます。確かめないまま売り出すと、買主は金額を出せません。

買主の使用や建て替えが認められる3つの場合

認められる場合は、大きく3つに分かれます。基準は自治体ごとに違うため、下の表は例です。

場合 内容 例
適法に建ち、使う人の制限がない家 線引きの前からある家や、許可を受けて建った家。従前の敷地と用途を変えなければ建て替えできる場合がある 神戸市
条例で指定された区域にある家 市街化区域に近く、おおむね50以上の建築物が連なる地域など。条例で区域と用途が決まる 都市計画法34条11号、12号
用途変更の許可を受けた家 農家住宅など使う人が限られた家を、誰でも住める家に変える許可 松江市、神戸市

1つ目は、制限のない家です。神戸市は、適法な建築物を3種類挙げています。線引きの時に存在した建築物、線引きのあとに許可不要で新築された建築物、許可を受けて新築された建築物です。一定の要件を満たせば、許可不要で建て替えや増改築ができます。

建て替えの大きさには、上限がある市があります。仙台市の例では、改築後の延べ面積は既存の1.5倍以内です。取り壊しから1年以内に着手することも条件です。数字は市ごとに違います。

2つ目は、条例で区域が指定されている場合です。区域の中では、住む人を限らずに住宅の建築が認められる場合があります。区域の有無と範囲は、市の開発許可の窓口で分かります。

3つ目は、次の見出しで書きます。

注意

「既存宅地だから建てられる」という古い説明は、いまは通用しません。既存宅地の制度は、平成13年5月18日の法改正で廃止されました。経過措置も平成18年5月17日に終わっています(北九州市)。確認を受けた土地でも、建築には許可が必要です。古い重要事項説明書や親の話は、現在の基準で確かめ直してください。

農家住宅や分家住宅を相続した場合

調整区域には、使う人が限られた家があります。農家住宅、分家住宅、既存集落の自己用住宅などです。農業を営む人やその家族が住むことを条件に、建築が認められた家です。

神戸市は、これを「使用者制限のある建築物」と呼んでいます。使う人を変えるには、制限を解除する手続きが必要です。第三者に売る場合がこれに当たります。相続人が住む場合の扱いは、窓口で確かめます。

国は、この手続きを通しやすくする方針を出しています。国土交通省は平成28年12月27日に、開発許可制度の運用指針を改正しました。判断の目安は次の2つです。

  • 適法に建築され、相当期間、適正に利用された建物であること。期間は「10年程度を目安」としつつ、期間だけで一律に判断しないよう求めています
  • 用途を変えることに、やむを得ない事情があること。例は「所有者の死亡、破産、遠方への転居」です

所有者が亡くなって空き家になったことは、やむを得ない事情の例に入っています。相続した農家住宅でも、許可を受けて売れる場合があります。

この指針は国の助言で、許可の基準は自治体が決めます。松江市の基準は、原則として10年以上、同じ用途で適法に使われたことです。死亡、転勤、倒産など、本人の意思によらない場合は、10年に満たなくても認められます。

許可を誰が申請するか、売買契約の前か後かは、市によって違います。売り出す前に窓口で聞き、買主に説明できるようにします。

買主が住宅ローンを使う場合

金融機関は、土地と建物を担保にして住宅ローンを貸します。調整区域の家は、買主が使えるか、建て替えられるかが許可で決まります。審査では、この点の資料を求められる場合があります。

フラット35の技術基準は、一般の道に2m以上接することなどを求めています(住宅金融支援機構)。基準のページに、調整区域を対象外とする記載はありません。扱いは金融機関ごとに違うため、買主には早めに事前審査を受けてもらいます。

売主が用意できる資料は3つあります。建築確認の資料、開発許可や建築許可の写し、窓口で相談した結果の記録です。資料がそろわない家は、現金で買う買主や買取業者が相手になる場合があります。不動産会社に断られた場合の進め方は不動産会社に「うちでは扱えない」と断られた実家はどうすればいいですかに書いています。

調整区域かどうかの調べ方

  1. 市の都市計画図を見る。多くの市が、インターネットで都市計画情報の地図を公開しています
  2. 固定資産税の納税通知書を見る。都市計画税は、市街化区域内の土地と家屋に課される税です(地方税法702条)。都市計画税がかかっていなければ、調整区域の可能性があります
  3. 市の開発許可の窓口で、開発登録簿を見る。開発許可の内容が登録され、誰でも閲覧と写しの請求ができます(都市計画法47条)
  4. 建築指導の窓口で、建築計画概要書を見る。建築確認を受けた建物かどうかが分かります

2つ目は目安です。調整区域でも、条例で定めた区域には都市計画税を課せます(702条1項後段)。都市計画税を課していない市もあります。都市計画税の税率の上限は0.3%、固定資産税の標準税率は1.4%です。

窓口に相談するときは、資料を持参します。川崎市は、案内図、公図、登記事項証明書などを挙げています。窓口の名前は、開発審査課、開発指導課、建築指導課など、市によって違います。

解体する前に確かめること

調整区域では、建物を壊すと不利になる場合があります。建て替えの基準が、いまある建物を前提にしている場合があるためです。仙台市の例では、取り壊しから1年以内の着手が条件です。

姫路市は、解体補助金のページで注意を促しています。「市街化調整区域で建築物を除却される場合は、都市計画法上の制限を事前にご確認ください」。更地にしたあとで家を建てられるかを、解体の前に窓口で聞きます。

解体の補助金にも、区域の条件があります。このサイトが補助金を載せている100市区のうち、市街化区域や用途地域を条件にしているのは次の4市です(2026年10月時点)。

市 補助の上限 区域の条件
小樽市 30万円 市街化区域にあること
旭川市 30万円 市街化区域内で、倒壊すると周辺に被害が出るおそれのある住宅など
岡崎市 10万円 市街化区域内にあること。倒壊などで歩行者に危害を加えるおそれのある家は区域を問わない
高岡市 20万円 用途地域内にあること。区域の外は、老朽化が認められた場合に対象

佐世保市は、市街化区域内の家に限って上限が60万円から100万円に上がります。前橋市は、居住誘導区域内の家に5万円を加算します。ほかにも、対象の地区を限っている市があります。条件は年度で変わるため、申請の前に全国の空き家解体補助金一覧から市のページを確かめてください。

国に土地を引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度は、調整区域の土地でも申請できます。建物がある土地は申請できないため、解体が先です。審査手数料は土地1筆あたり14,000円です(法務省)。

負担金は、調整区域の宅地なら20万円です。市街化区域の宅地は面積で計算し、200㎡で793,000円になります(施行令の式から計算)。条件と手順は相続土地国庫帰属制度で空き家を手放せますかに書いています。

農地が付いている場合

調整区域の実家には、田や畑が付いていることがあります。農地を売るには、農業委員会の許可が必要です(農地法3条)。

宅地などに変える目的で売る場合は、知事などの許可が必要です(農地法5条)。市街化区域の農地は、農業委員会への届出で足ります。調整区域の農地は、届出では済みません。

家と農地を分けて売るか、一緒に売るかで、買主の範囲が変わります。進め方は農地や山林が付いた実家は売れますかにまとめています。

まずやること

  1. 都市計画図と納税通知書で、調整区域かどうかを確かめる
  2. 登記事項証明書と、建築確認や許可の書類を探す。建てた年と、建てた人の職業を整理する
  3. 市の開発許可の窓口で、建物が適法か、使う人の制限があるかを聞く。相談の日付と担当課を記録する
  4. 制限がある場合は、用途変更の許可の基準と、申請の時期を聞く
  5. 解体は、窓口で建て替えの可否を聞くまで決めない
  6. 調整区域の取引の経験がある不動産会社か、買取業者に査定を頼む

まとめ

  • 調整区域の家も売れる。制限がかかるのは、買主がその家を使えるか、建て替えられるかという点
  • 売る前に窓口で、建物が適法か、使う人が限られていないかを確かめる
  • 農家住宅などは用途変更の許可が要る。国の指針は、所有者の死亡をやむを得ない事情の例に挙げている
  • 既存宅地の制度は平成13年に廃止された。古い説明は現在の基準で確かめ直す
  • 解体の前に、建て替えの可否と補助金の区域の条件を確かめる。国庫帰属の負担金は、調整区域の宅地なら20万円

よくある質問

Q. 市街化調整区域の家は、建て替えできますか
家が建った経緯で決まります。神戸市は、適法な建築物で、従前の敷地や用途を変えないなどの要件を満たせば、許可不要で建て替えできると案内しています。基準は市ごとに違います。市の開発許可の窓口で、建物が適法か、使う人の制限があるかを確かめてください。
Q. 親が建てた農家住宅を、農業をしていない人に売れますか
用途変更の許可を受ければ売れる場合があります。国土交通省の運用指針は、適法に建てられ相当期間使われた建物について、所有者の死亡などやむを得ない事情があれば用途変更を認める考え方を示しています。期間の目安は10年程度です。許可の基準は自治体が決めるため、窓口で確かめます。
Q. 調整区域かどうかは、どこで分かりますか
市の都市計画図で分かります。固定資産税の納税通知書も目安になります。都市計画税は市街化区域内の土地と家屋に課される税です(地方税法702条)。条例で調整区域に課税する市もあるため、最後は市の窓口で確かめます。
Q. 既存宅地なら家を建てられますか
許可が必要です。既存宅地の制度は、平成13年5月18日の法改正で廃止されました。経過措置も平成18年5月17日に終わっています(北九州市)。現在の扱いは、市の条例や開発審査会の基準で決まります。
Q. 売れない場合、国に引き取ってもらえますか
相続土地国庫帰属制度は、調整区域の土地でも申請できます。建物がある土地は申請できないため、解体が先です。審査手数料は土地1筆あたり14,000円、負担金は調整区域の宅地なら20万円です(2026年10月時点)。審査で承認されない土地もあります。

査定は2社以上で比べる

買取の提示額は、業者によって差が出ます。複数の金額を見てから決めてください。 市ごとの解体費との比較は、市区町村のページに載せています。

建物を残したまま、無料で査定を頼む

広告当サイトは提携先から報酬を受け取ることがあります。査定は無料で、依頼しても売る義務はありません。

お住まいの市の条件で計算する

建物を残して売った場合の手取りと、解体した場合の自己負担を、市の地価と補助制度から計算します。 所要時間は1分です。名前や連絡先の入力はありません。

お住まいの地域の条件で診断する

出典

  1. e-Gov法令検索|都市計画法(7条、29条、34条、43条、47条)
  2. 国土交通省|都市計画現況調査(令和7年3月31日現在。市街化調整区域 3,758,731ha)
  3. 国土交通省|令和7年都市計画現況調査 概要
  4. 国土交通省|市街化調整区域の古民家等を活用できるよう開発許可制度の運用を弾力化(平成28年12月27日)
  5. 国土交通省|開発許可制度運用指針の改正について(国都計第138号)
  6. 神戸市|市街化調整区域に関するQ&A(適法な建築物、使用者制限、線引き1970年12月28日)
  7. 福井市|市街化調整区域の中古住宅の購入(2024年2月1日更新)
  8. 北九州市|既存宅地制度の廃止について
  9. 仙台市|開発許可に関するよくある質問(改築の基準)
  10. 内閣府 地方分権改革|松江市開発審査会運用基準の例(原則10年以上)
  11. 川崎市|市街化調整区域で建築できますか(相談時の資料)
  12. e-Gov法令検索|地方税法(350条、702条、702条の4)
  13. e-Gov法令検索|建築基準法(93条の2 建築計画概要書の閲覧)
  14. 住宅金融支援機構|フラット35 技術基準
  15. 姫路市|老朽空家対策補助金(調整区域で除却する場合の注意)
  16. 岡崎市|空き家除却事業費補助金(2026年7月3日更新)
  17. 法務省|相続土地国庫帰属制度の概要(審査手数料14,000円)
  18. 法務省|相続土地国庫帰属制度に関するQ&A(負担金)
  19. e-Gov法令検索|相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令(5条)
  20. e-Gov法令検索|農地法(3条、5条)

記事の内容は、2026年10月7日時点の各出典にもとづいています。

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この記事の情報について

一般的な情報としてまとめたものです。実際の売却条件や税額は、物件ごとに変わります。 契約の前に、宅地建物取引業者と税理士に確かめてください。