空き家コンパス 1分で診断

空き家の売り方

境界がはっきりしない土地は売れますか

境界が決まっていない土地でも売れます。仲介で売るなら売主が境界を示すのが一般的で、確定測量は隣接6筆の例で約39万円(税抜、2022年度)です。隣が立ち会わない場合は法務局の筆界特定制度があり、手数料は数千円、標準処理期間は9か月です。測量を待てない場合は、現況のまま買う買取業者に査定を出す方法があります。費用と期間、2023年4月の民法改正で変わった点をまとめます(2026年9月時点)。

更新日
2026年9月21日
花の咲く庭の奥に建つ古い木造の家

3つの売り方の比較

項目 仲介で売る買取で売るそのまま持つ
現金になるまで 目安は3〜6か月です。買い手が見つかるまで進みません。目安は数日〜1か月です。査定額に納得すれば契約に進みます。—
手元に残る額 市場価格に近い金額です。仲介手数料が引かれます。市場価格より低くなります。仲介手数料はかかりません。固定資産税と管理費が毎年かかります。
向いている場合 駅に近い、建物がまだ使えるなど、買い手が見込める家早く手放したい場合。傷みや家財があり、そのままでは売りにくい家子どもが使う予定があるなど、手放さない理由がある場合
気をつけること 売れ残ると値下げが続きます。引き渡し後の不具合に責任を負う場合があります。提示額は業者で差が出ます。2社以上で比べてください。管理が行き届かないと、特定空家等に指定される場合があります。

仲介手数料の上限

売買価格が400万円を超える場合、仲介手数料の上限は「売買価格の3%+6万円」に消費税を加えた額です。 800万円以下の物件は、税込33万円まで受け取れる決まりがあります(2024年7月から)。 根拠は宅地建物取引業法46条と、国土交通省の告示です。

特定空家等または管理不全空家等に指定されて勧告を受けると、住宅用地の特例が外れます。 土地の固定資産税が上がるため、持ち続ける場合にも費用がかかります。

「隣との境界がどこか分からない。このままで売れるのか」実家の土地の図面が古く、境界の杭も見当たらない人に向けて書いています。

結論

境界が決まっていなくても、売ることはできます。ただし仲介で売るなら、売主が境界を示す義務を負うのが一般的です。確定測量には、180㎡・隣接6筆の例で約39万円(税抜、2022年度)かかります。隣の人が立ち会ってくれない場合は、法務局の筆界特定制度が使えます。手数料は数千円で、東京法務局の標準処理期間は9か月です。測量を待てない場合は、現況のまま買い取る業者に査定を出す方法があります。

この記事で分かること

  • 境界が決まっていない土地を、そのまま売る方法と測ってから売る方法の違い
  • 確定測量と筆界特定にかかる費用と期間の目安
  • 2023年4月の民法改正で、隣地に入って測量しやすくなった点

こんな場合は診断へ

  • 登記簿の面積と、実際の広さが合っていない気がする
  • 隣の家との間に塀や杭がなく、どこまでが自分の土地か分からない
  • 隣の所有者と連絡が取れない、または関係がよくない

一つでも当てはまる場合は、空き家の診断で、売れるかどうかと手取りの目安が出ます。入力は約1分です。

境界が決まっていない土地は珍しくありません

国土交通省によると、地籍調査の全国の進捗率は53%です(令和6年度末)。土地の境界を国と自治体が測り直す調査で、まだ半分近くが終わっていません。住宅地を含む優先実施地域でも81%です。

調査が終わっていない地域では、登記所の図面が明治時代の地租改正のころの測量に基づいていることがあります。図面と現地がずれていること自体は、その土地の欠点ではなく、全国に広くある状態です。

用語

筆界と所有権界 筆界は、登記された土地の区画の線で、公の線です。所有権界は、隣どうしが「ここまでが自分の土地」と認め合っている線です。ふつうは一致しますが、塀の位置や古い取り決めでずれていることがあります。

そのまま売れますか

売れます。境界が決まっていないことは、売買を禁じる理由にはなりません。売り方によって、何をしておく必要があるかが変わります。

売り方 境界の扱い 費用と期間の目安
仲介で一般の買主に売る 売主が境界を明示するのが一般的。確定測量を求められることが多い 測量に数か月。隣接6筆の例で約39万円
買取業者に売る 現況のままで買う業者がある。測量費は業者側の負担になることが多い 数週間。測量費はかからない
隣地の所有者に売る 境界の当事者どうしなので、話がまとまれば早い 測量は簡略にできる場合がある

仲介で売る場合、売買契約書には、売主が買主に境界を現地で示す条項が入ります。境界標がなければ、確定測量をして杭を入れてから引き渡すのが一般的です。買主が住宅ローンを使う場合、金融機関から境界の確認を求められることもあります。

買取業者の中には、境界が決まっていない土地を現況のまま買うところがあります。この場合、測量は業者が買ったあとに行い、その費用の分だけ査定額は下がります。空き家は仲介と買取、どちらで売るべきですかで、両方の違いを比べています。

注意

相続土地国庫帰属制度は、境界が明らかでない土地を引き取りません。法務省が「引き取ることができない土地」として、境界が明らかでない土地と、所有権の範囲に争いがある土地を挙げています。審査手数料は1筆14,000円で、却下されても戻りません。この制度を考えている人は、先に境界を決めておく必要があります。詳しくは相続土地国庫帰属制度で空き家を手放せますかにあります。

確定測量の費用と期間

確定測量は、土地家屋調査士が隣接するすべての土地の所有者と立ち会い、境界を確認して図面と杭を作る作業です。道路に面している場合は、道路を管理する市区町村との立ち会いも必要になります。

日本土地家屋調査士会連合会の報酬ガイド(2022年度アンケート)に、市街地の宅地180.00㎡の例があります。隣接6筆と道路の筆界を確認し、地積更正登記まで行う内容です。報酬の平均は390,316円、中央値は372,584円です(税抜)。隣接地の数や、官民の境界の有無で額は変わります。

期間は、隣接地の所有者全員の日程が合うかで決まります。相続で所有者が複数になっている隣地があると、連絡だけで数か月かかることがあります。

ポイント

2023年4月1日施行の民法改正で、境界標の調査や境界の測量のために隣地を使えることが条文に明記されました(民法第209条)。目的、日時、場所、方法をあらかじめ隣地の所有者に通知すれば、承諾がなくても測量のために立ち入れます。

隣が立ち会ってくれないときの筆界特定制度

隣の所有者が立ち会いを断る、または連絡が取れない場合は、法務局の筆界特定制度が使えます。土地の所有者として登記されている人などが、土地を管轄する法務局に申請します。筆界特定登記官が、外部の筆界調査委員の意見をもとに、現地で筆界の位置を特定します。

手数料は、自分の土地と相手の土地の固定資産評価額を足して2で割り、5%を掛けた額をもとに計算します。この額が100万円までは、10万円ごとに800円です。両方の土地の評価額の合計が4,000万円なら、手数料は8,000円になります。

測量を専門家に委託する場合、その費用は申請人の負担です。東京法務局は、概ね50万円から80万円の間のものが多いと案内しています。標準処理期間は9か月で、事案によってはこれを超えます。

筆界特定の結果は、裁判の判決と違い、あとから争うこともできます。それでも、法務局が現地で線を示した記録が残るため、売買では買主の安心材料になります。共有者の一人だけでも申請できます。

越境した枝や塀はどうしますか

境界を測ると、隣の木の枝が越えてきている、塀が数センチ入り込んでいる、といったことが分かります。売買では、こうした越境を「越境の覚書」にして、買主に引き継ぐのが一般的です。

隣地の木の枝は、2023年4月1日の民法改正で扱いが変わりました。所有者に切除を求めても相当の期間内に切らない場合、所有者が分からない場合、急迫の事情がある場合は、自分で切り取れます(民法第233条)。横浜市は、相当の期間の目安を基本的には2週間程度と案内しています。

測量費と土地の値段を比べる

確定測量に約39万円かけるかどうかは、土地の値段との比で考えます。たとえば富山市の住宅地の平均地価は1㎡あたり約43,600円で、30坪(約99㎡)なら約430万円です。測量費は土地値の1割近くになります。奈良市は1㎡あたり約102,200円で、同じ広さなら約1,010万円です。測量費は4%ほどです。

土地値が低い地域では、測量してから仲介で売るより、現況のまま買取に出したほうが手取りが多くなることがあります。市ごとの地価は市区町村ごとの補助金と地価にあります。前の道が狭くて建て替えられない土地は、隣にこそ価値がある家のタイプに当たります。

まずやること

  1. 法務局で登記事項証明書、公図、地積測量図を取る。地積測量図がない土地も多い
  2. 現地で境界標(杭、プレート、鋲)を探す。写真を撮っておく
  3. 仲介と買取の両方に査定を頼み、測量費を誰が持つかを聞く
  4. 仲介で売るなら土地家屋調査士に確定測量を依頼する。隣が応じない場合は筆界特定制度を検討する
  5. 越境があれば覚書を作り、買主に引き継ぐ

まとめ

  • 境界が決まっていなくても売れる。仲介なら確定測量、買取なら現況のままが一般的
  • 確定測量は隣接6筆・地積更正登記込みの例で約39万円(税抜)。地籍調査の進捗率は全国53%
  • 隣が立ち会わないなら筆界特定制度。手数料は数千円、測量委託は50万〜80万円、期間は9か月が目安
  • 2023年4月から、通知すれば測量のために隣地に入れる
  • 国庫帰属制度は境界が明らかでない土地を引き取らない

よくある質問

Q. 境界が決まっていないと、売買契約はできませんか
契約はできます。仲介の売買契約書には、売主が引き渡しまでに境界を現地で示す条項が入るのが一般的です。境界標がない場合は、確定測量をして杭を入れてから引き渡します。買取業者に売る場合は、現況のままで契約する形が多く、測量は業者が引き取ったあとに行います。
Q. 確定測量と現況測量はどう違いますか
現況測量は、塀や杭など今ある目印をもとに測るもので、隣の立ち会いはありません。確定測量は、隣接するすべての土地の所有者と道路の管理者が立ち会い、境界を確認して図面と杭を作ります。売買で求められるのは確定測量です。日本土地家屋調査士会連合会の2022年度アンケートでは、180㎡・隣接6筆で地積更正登記まで行う例の報酬平均が390,316円(税抜)です。
Q. 筆界特定制度の手数料はいくらですか
自分の土地と相手の土地の固定資産評価額を足して2で割り、5%を掛けた額をもとに計算します。100万円までは10万円ごとに800円です。両方の評価額の合計が4,000万円なら8,000円です。測量を専門家に委託する場合の費用は別で、東京法務局は概ね50万円から80万円の間が多いと案内しています。
Q. 隣の所有者が亡くなっていて、相続人が分かりません
筆界特定制度は、相手の所在が分からない場合でも申請できます。法務局が公告などの手続きを進めます。越境した枝についても、2023年4月1日の民法改正で、所有者を知ることができない場合は自分で切り取れるようになりました(民法第233条)。売却を急ぐ場合は、現況のまま買う買取業者に査定を出す方法もあります。
Q. 境界が決まっていない土地を、国に引き取ってもらえますか
相続土地国庫帰属制度では、境界が明らかでない土地は引き取りの対象外です。所有権の範囲に争いがある土地も同じです。申請には1筆14,000円の審査手数料がかかり、却下されても戻りません。この制度を使うなら、先に境界を確定させる必要があります。

査定は2社以上で比べる

買取の提示額は、業者によって差が出ます。複数の金額を見てから決めてください。 市ごとの解体費との比較は、市区町村のページに載せています。

建物を残したまま、無料で査定を頼む

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お住まいの市の条件で計算する

建物を残して売った場合の手取りと、解体した場合の自己負担を、市の地価と補助制度から計算します。 所要時間は1分です。名前や連絡先の入力はありません。

お住まいの地域の条件で診断する

出典

  1. 国土交通省|「土地の戸籍」に関する最新の調査実施状況を公表します(令和6年度末)
  2. 法務省|筆界特定制度
  3. 東京法務局|筆界特定制度に関する“よくある質問”(手数料・測量費用・標準処理期間)
  4. 日本土地家屋調査士会連合会|土地家屋調査士 報酬ガイド(2022年度アンケート)
  5. 中小企業基盤整備機構 J-Net21|改正民法(第1回)相隣規定の見直し
  6. 横浜市|越境した枝の切取りルールの改正について
  7. 法務省|相続土地国庫帰属制度の概要
  8. 訳あり物件買取プロ|筆界未確定の土地を売却する方法

記事の内容は、2026年9月21日時点の各出典にもとづいています。

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この記事の情報について

一般的な情報としてまとめたものです。実際の売却条件や税額は、物件ごとに変わります。 契約の前に、宅地建物取引業者と税理士に確かめてください。