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家財の処分

解体の補助金に税金はかかりますか

空き家の所有者が自分で申請し、解体費に充てた補助金は、所得税の収入に入れません(所得税法第44条、国税庁の文書回答事例、2026年10月時点)。所有者でない親族が受け取った場合は一時所得になり、50万円の特別控除を引いた残りの2分の1が課税の対象です。掲載129市区の上限額で多い20万円・50万円・100万円・150万円ごとに、一時所得として計算した場合の税額と確定申告の要否を表にしています。解体した土地を売るときの解体費と補助金の扱いも説明します。

更新日
2026年10月16日
木々に囲まれた住宅地の道と古い家

かかる費用の内訳

解体費と呼ばれる費用は、5つの費目に分かれます。 金額が決まっているのは解体工事の部分だけです。残りは見積もりを取るまで決まりません。

家財・残置物の撤去 量と間取り、搬出のしやすさで変わります。仏壇や金庫、農機具は別料金になる場合があります。 見積もりで確認
解体工事(木造) 全国平均です(2025年1〜5月、日本経済新聞)。重機が入りにくい場所は、これより高くなります。 約192万円
解体補助金 補助率は1/3〜1/2、上限は市ごとに違います。築年数や耐震性の条件があります。 −50万〜−150万円が目安
整地・廃材の運搬 見積書で別立てか、含まれているかを最初に確かめてください。 解体費に含まれる場合が多い
建物滅失登記 取り壊しから1か月以内に申請します。土地家屋調査士に頼むと数万円が目安です。 自分で申請すれば実費のみ
自己負担の合計 見積もりが出るまで決まりません

解体費の平均は、市区町村のページと同じ前提です。 補助金の上限と受付期間は市ごとに違います。お住まいの市のページで確かめてください。

「市から解体の補助金を50万円もらった。これは所得になるのか、確定申告が要るのか分からない」補助金を受け取ったあと、税金の扱いが気になっている人に向けて書いています。

結論

結論から書きます。空き家の所有者が自分で申請し、解体費に充てた補助金は、所得税の収入に入れません(所得税法第44条、国税庁の文書回答、2026年10月時点)。この場合、補助金そのものに所得税はかからず、補助金だけを理由に確定申告をする必要もありません。所有者でない親族が申請して受け取った場合や、解体費に充てなかった分は一時所得になります。一時所得には50万円の特別控除があり、残りの2分の1が課税の対象です。

この記事で分かること

  • 解体補助金が所得税の収入に入らない条件と、一時所得になる場合
  • 一時所得になった場合の計算と、確定申告が要るかどうかの分かれ目
  • 解体した土地を売るときの、解体費と補助金の扱い

こんな場合は診断へ

  • 補助金を引いても残る解体費の自己負担と、建物を残して売る場合の手取りを比べたい
  • 解体後に土地を売る予定で、税金まで含めた手残りを知りたい
  • 補助金の受付が終わっていて、解体せずに売る道を探している

一つでも当てはまる場合は、空き家の診断で解体費と買取の目安を出せます。所要時間は約1分です。

原則は一時所得です

国や自治体から個人が受け取る補助金は、所得税では原則として一時所得に区分されます。国税庁のタックスアンサーNo.1490は、一時所得の例として法人から贈与された金品を挙げています。すまい給付金についても、受け取った年分の一時所得として課税の対象になると案内しています(No.1490のQ&A、2026年10月時点)。

魚沼市の税務課は、対価性がなく継続性もない市からの助成金・補助金は一時所得に区分されると説明しています。三次市やいちき串木野市も同じ案内を出しています。解体補助金も、何も手当てがなければ一時所得です。

用語

一時所得 懸賞の賞金や生命保険の一時金のように、働いた対価でも資産を売った対価でもない、一時的な収入です(所得税法第34条)。50万円の特別控除があり、控除後の金額の2分の1だけが他の所得と合算されます。

解体費に充てた補助金は収入に入れません

所得税法には、一時所得の扱いより先に見る規定があります。第44条の「移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入」です。

国税庁の文書回答事例(広島国税局、2016年9月12日回答)が、空き家の除却補助金についてこの規定を確認しています。市の空家等除却支援事業補助金について、照会者は次のように整理しました。個人が国や地方公共団体から、資産の移転や除却の費用に充てる補助金を受ける。その目的に従って費用に充てたときは、充てた金額を総収入金額に算入しない。国税局は、事実関係を前提とする限り、この見解のとおりで差し支えないと回答しています。

この規定を使える条件は、解体する空き家が補助金を受け取る人の資産であることです。文書回答事例では、これを所有者要件と呼んでいます。

補助金を受け取る人 第44条の扱い 所得税の扱い
空き家の所有者本人(相続人を含む) 所有者要件を満たす 解体費に充てた金額は収入に入れない
所有者の承諾を得て申請した親族 所有者要件を満たさない 一時所得として計算する
所有者本人だが、補助金が解体費を上回った 上回った分は目的の支出に充てていない 上回った分は一時所得(No.1490の例(6))

タックスアンサーNo.1490も、一時所得の例の(6)に交付金を挙げています。「資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうち、その交付の目的とされた支出に充てられなかったもの」です。裏を返せば、充てた分は一時所得に入りません。

注意

補助金は、ほとんどの市で解体費の全額より小さい金額です。補助率は2分の1の市が45、5分の4の市が21、3分の1の市が23あります(掲載129市区、2026年10月16日時点)。木造住宅の解体費は平均で約192万円です(2025年1〜5月、日本経済新聞)。補助金が解体費を上回る場面は、通常は起きません。

ポイント

所有者本人が申請して受け取り、解体費に充てた補助金は、所得税の収入に入りません。所有者でない親族が申請者になると、一時所得の計算に進みます。申請者を誰にするかで扱いが変わります。

一時所得になった場合の計算

親族が受け取った場合など、一時所得として計算する場面の式は次のとおりです(No.1490、2026年10月時点)。

総収入金額 − 収入を得るために支出した金額 − 特別控除額(最高50万円)= 一時所得の金額

課税の対象になるのは、一時所得の金額の2分の1です。この2分の1の金額を、給与や年金などの他の所得と合算して税額を計算します。

「収入を得るために支出した金額」に解体費が入るかどうかは、国税庁の明文を確認できていません。そこで下の表は、支出を差し引かず、補助金の全額を収入とみた場合で計算しています。実際の負担がこれより大きくなることはありません。

掲載している市の上限額は、50万円が44市区と最も多い数です。次いで100万円が16市区、20万円が11市区、150万円が5市です(掲載129市区、2026年10月16日時点)。上限額ごとに計算すると次のようになります。

受け取った補助金 特別控除後の一時所得 課税の対象(2分の1) 給与所得者の確定申告
20万円 0円 0円 補助金を理由とする申告は不要
50万円 0円 0円 補助金を理由とする申告は不要
100万円 50万円 25万円 20万円を超えるので必要
150万円 100万円 50万円 20万円を超えるので必要

他に一時所得(生命保険の一時金など)が同じ年にあれば、合算して50万円を引きます。補助金が50万円以下で他の一時所得がなければ、一時所得としても税額は0円です。

用語

特別控除50万円 一時所得の計算で、収入から差し引ける定額の控除です。その年の一時所得の合計に対して1回だけ使えます。

100万円を受け取った場合の税額の目安

課税の対象25万円に、本人の所得税率をかけます。所得税率は課税所得の大きさで5%から45%まで変わります(No.2260、2026年10月時点)。課税所得が195万円以上330万円未満の人は10%で、25万円に対して25,000円です。これに復興特別所得税2.1%が加わります。住民税は、一時所得の2分の1に10%がかかります(江戸川区の案内、2026年10月時点)。25万円なら25,000円です。

確定申告が要るかどうかの分かれ目

所有者本人が申請し、解体費に充てた場合は、補助金を理由とする確定申告は要りません。収入に算入しないためです。

一時所得として計算する場合は、課税の対象になる金額(2分の1後)で判定します(No.1903、2026年10月時点)。

立場 申告が不要になる条件 根拠
給与を1か所から受けている人 給与・退職所得以外の所得が20万円以下 No.1900
公的年金を受けている人 年金収入が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下 No.1600
上記に当てはまらない人 一時所得の2分の1を含めて税額の計算が必要 No.2020

20万円の判定は、特別控除後の一時所得を2分の1にした金額で行います。補助金100万円なら25万円で、20万円を超えます。補助金50万円なら0円です。

注意

所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は別です。横浜市は、給与以外の所得が20万円以下で確定申告が不要な場合でも、市民税・県民税の申告は必要と案内しています(2026年10月時点)。北区や三次市も同じ案内です。補助金が一時所得になり、2分の1後の金額が0円を超える人は、お住まいの市区町村の税務課に申告の要否を確かめてください。

ポイント

一時所得になっても、50万円以下なら所得税額は0円です。100万円以上を一時所得として受け取った給与所得者は、確定申告が必要になります。

解体した土地を売るときの扱い

解体のあとに土地を売る場合、解体費は譲渡所得の計算で譲渡費用に入ります。国税庁のタックスアンサーNo.3255は、土地を売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用を、譲渡費用の例に挙げています(2026年10月時点)。

補助金を受けた分の解体費を譲渡費用に含めてよいかは、個人向けの国税庁の明文を確認できていません。第44条で収入に入れなかった補助金に対応する解体費まで費用にすると、二重に控除することになります。法人の事例では、取壊し費用から補助金を控除した金額を土地の取得価額にすると整理されています(大阪国税局の文書回答事例、2016年)。個人の譲渡では、補助金を差し引いた自己負担分を譲渡費用として申告する前提で、税務署か税理士に確かめてください。

用語

譲渡費用 土地や建物を売るために直接かかった費用です(所得税法第33条)。仲介手数料、売買契約の印紙代、売るための取壊し費用が入ります。固定資産税や修繕費は入りません。

相続した実家を解体して売る場合は、譲渡所得から3,000万円を引ける特例があります。昭和56年5月31日以前の家で、相続開始から3年を経過する年の12月31日までに売ることが条件です。特例の要件に、解体補助金を受けたかどうかは出てきません(No.3306、2026年10月時点)。補助金を受けて解体し、更地を売った場合も特例の対象になります。要件の詳しい確認は空き家の3,000万円特別控除は、どんな家なら使えますかに書いています。

解体費192万円、補助金50万円、土地の売却代金800万円の例で考えます。自己負担の解体費142万円が譲渡費用です。取得費が不明なら売却代金の5%の40万円を取得費にします。利益は800万円−40万円−142万円で618万円です。3,000万円特別控除が使えれば、課税される譲渡所得は0円になります。使えない場合は、利益に20.315%の税率がかかります。税金の計算の全体は実家を売ったときの税金はいくらかかりますかにまとめています。

申請者を決める前に確認すること

税の扱いは、補助金を誰が受け取るかで変わります。申請の前に次を確認します。

  1. 補助金の申請者を空き家の所有者本人(相続人)にできるか。名義が亡くなった親のままなら、相続登記を先に済ませるか、市に相続人として申請できるかを聞く
  2. 補助金が解体費を上回らないか。見積書と補助金の上限額を並べる
  3. 同じ年に他の一時所得(保険の一時金、懸賞金など)がないか
  4. 給与所得者か年金受給者か。年金収入が400万円を超えていないか
  5. 解体のあとに土地を売る予定があるか。売る場合は解体費の領収書と補助金の交付決定通知を保管する

補助金の申請の順番と締切は解体補助金の申請はいつ、どの順番でしますかに書いています。受けられない条件は解体補助金がもらえない7つの理由にまとめています。お住まいの市の制度は全国の空き家解体補助金一覧から探せます。

まずやること

  1. 市の補助金の交付決定通知書と、解体費の領収書を1つの封筒にまとめる
  2. 補助金の申請者と、空き家の登記名義人が同じ人か確かめる
  3. 同じ人なら、補助金を理由とする所得税の申告は不要。念のため税務署の電話相談で「所得税法第44条の除却補助金」と伝えて確認する
  4. 違う人なら、補助金の額から50万円を引いて2分の1にする。20万円を超えたら翌年2月16日から3月15日の間に確定申告する
  5. 0円を超えたら、市区町村の税務課に住民税の申告の要否を聞く
  6. 土地を売る予定なら、補助金を引いた自己負担の解体費を譲渡費用に入れる前提で、税務署か税理士に確認する

まとめ

  • 所有者本人が受け取り解体費に充てた補助金は、所得税の収入に入らない(所得税法第44条)
  • 親族が受け取った場合は一時所得。50万円の特別控除を引き、2分の1が課税の対象
  • 補助金50万円以下で他の一時所得がなければ、一時所得でも税額は0円
  • 一時所得の2分の1が20万円を超えると、給与所得者も確定申告が必要。住民税の申告は別に要る
  • 土地を売るときは、補助金を引いた自己負担の解体費を譲渡費用に入れる前提で確認する

見積もりで確かめること

  1. 残置物の撤去が見積もりに入っているか、別料金か
  2. 廃材の運搬と処分費が、総額に含まれているか
  3. 整地まで行うのか、更地に均すだけなのか
  4. 近隣への挨拶と養生の費用は、どちらが持つのか
  5. 補助金の申請書類を、業者が用意するのか

総額に何を含めるかは、業者によって違います。項目をそろえてから、金額を比べてください。

よくある質問

Q. 補助金の振込を受けただけで、確定申告が必要になりますか
所有者本人が申請し、解体費に充てた補助金なら必要ありません。所得税法第44条により、収入に算入しないためです(国税庁の文書回答事例、2016年回答)。所有者でない親族が受け取った場合は一時所得として計算し、特別控除後の2分の1が20万円を超えると確定申告が要ります(2026年10月時点)。
Q. 親の名義のままの家を、子どもが申請して補助金を受けました。どうなりますか
補助金を受け取る人の資産でない場合、第44条の所有者要件を満たしません。文書回答事例では、所有者の承諾を得て親族が申請者になった補助金は、所有者要件を満たさないと整理されています。一時所得として、補助金から50万円を引いた残りの2分の1を他の所得に合算します。相続人として申請できる市も多いので、申請の前に市へ確かめてください。
Q. 補助金が50万円でした。一時所得になっても税金はかかりますか
同じ年に他の一時所得がなければ、かかりません。一時所得には50万円の特別控除があります。50万円から50万円を引くと0円で、課税の対象も0円です。生命保険の一時金などが同じ年にあれば、合計してから50万円を引きます(No.1490、2026年10月時点)。
Q. 住民税の申告も不要ですか
所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告が必要な場合があります。横浜市は、給与以外の所得が20万円以下で確定申告をしない人も市民税・県民税の申告は必要と案内しています(2026年10月時点)。一時所得の2分の1が0円を超える人は、市区町村の税務課に確かめてください。所有者本人が解体費に充てた補助金は収入に入らないので、住民税でも所得になりません。
Q. 補助金をもらって解体した土地を売ります。解体費は経費にできますか
土地を売るための取壊し費用は譲渡費用になります(No.3255、2026年10月時点)。補助金で賄った分まで費用にできるかは、個人向けの国税庁の明文を確認できていません。補助金を引いた自己負担分を譲渡費用にする前提で、税務署か税理士に確認してください。相続した実家なら、3,000万円特別控除の要件に補助金の有無は関係ありません(No.3306)。

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出典

  1. 国税庁 広島国税局|市の空家等除却支援事業補助金交付要綱に基づき交付される補助金の課税上の取扱いについて(文書回答事例、平成28年9月12日回答)
  2. 国税庁 広島国税局|同 別紙(所得税法第44条、所有者要件、親族が補助事業者になる場合)
  3. 国税庁|タックスアンサー No.1490 一時所得(定義、例(6)資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金、計算式、特別控除50万円、2分の1)
  4. 国税庁|No.1490 Q&A すまい給付金等を受け取った場合(一時所得として課税、第42条の明細書)
  5. 国税庁|所得税基本通達 34-1 一時所得の例示((9)国庫補助金等のうち第42条・第43条の適用を受けないもの)
  6. 国税庁|No.1903 給与所得者に生命保険の満期返戻金などの一時所得があった場合(2分の1後の金額が20万円を超えるかで判定)
  7. 国税庁|No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(給与以外の所得が20万円超)
  8. 国税庁|No.1600 公的年金等の課税関係(年金収入400万円以下かつ他の所得20万円以下は申告不要、住民税の申告が必要な場合)
  9. 国税庁|No.2020 確定申告(申告期間は翌年2月16日から3月15日)
  10. 国税庁|No.2260 所得税の税率(速算表 5%〜45%、復興特別所得税2.1%)
  11. 国税庁|No.3255 譲渡費用となるもの(土地を売るための建物の取壊し費用)
  12. 国税庁|No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(要件、令和9年12月31日まで)
  13. 国税庁 大阪国税局|文書回答事例(法人。建物の取壊費用から補助金等を控除した金額を土地の取得価額に算入)
  14. 魚沼市|助成金・補助金等を受け取った場合の課税(対価性・継続性のない市からの補助金は一時所得、50万円の特別控除、住民税の申告)
  15. 三次市|助成金・補助金等を受給された方へ(一時所得、確定申告不要でも住民税申告は必要)
  16. いちき串木野市|助成金等を受け取った場合の税の取扱い(一時所得、50万円を超えない限り課税対象にならない)
  17. 横浜市|市民税・県民税の申告(給与以外の所得が20万円以下で確定申告が不要でも市民税・県民税の申告は必要)
  18. 東京都北区|住民税の申告が必要な方
  19. 江戸川区|所得の種類と計算方法(一時所得の2分の1が課税対象、総合課税の税率10%)
  20. 日本経済新聞|木造住宅の解体費、2025年1〜5月平均約192万円(クラッソーネ調べ)

記事の内容は、2026年10月16日時点の各出典にもとづいています。

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この記事の情報について

費用の目安は、一般的な相場としてまとめたものです。実際の金額は、建物の構造、面積、立地で変わります。 契約の前に、2社以上から見積もりを取って確かめてください。